「さあ、誰かエキサイティングな質問をしてくれよ!」

 バルセロナF1テスト3日目、セッションを終えたあとの取材対応の場で、ジェンソン・バトンは開口一番そう言った。その言葉には、わずか21周という結果に終わった当日の内容がエキサイティングなものではなかったという思いが込められているのは明らかだ。

「50周くらい走れればと思ってはいたけど、今日は僕の日じゃなかったね。昨日のデータからしても正しい方向に進んでいることはわかっていたし、着実に前進しているという意味では、チームにとってはポジティブだ。でも、個人的にはタフな1日だった」

 バトンは自身が担当したバルセロナ・テスト初日と、この3日目に相次いで貧乏くじを引いた格好になった。

 ホンダは初日にトラブルが起きたMGU-Kのシーリングを新たに取り寄せてパワーユニットに組み込み、3日目から新仕様で走行を始めた。しかし午前中に12周走ったところで同じような症状が発生、パーツ交換のため約4時間をロスすることになった。ホンダの新井康久F1総責任者は、こう語る。

「初日に出たのと同じMGU-Kのシーリングの問題で、同じ症状です。昨日新たに作り直したパーツを持ち込んで組み込んだんですが、また同じ症状が出てしまいました。その時点で午前中の走行を切り上げることにして、ユニットを取り外して新たに組み込むことにしました。その作業が終わって午後4時過ぎにまた走り始めましたが、当然同じ症状が発生するリスクがあるのでパワーユニットのパフォーマンスに制限をかけた状態で走らせています」

 レッドブルなど複数のチームがレースシミュレーションのロングランをこなす一方で、マクラーレン・ホンダは午後4時半前になってようやくコース復帰を果たし、ゆっくりとしたペースで数周ずつのランを繰り返した。パワーユニット側に制約があるため、短いランで空力のセッティング変更データを収集することになったのだ。

 午前中にはコース上にストップする場面もあったが、これは「ハーネスが一部で接触不良を起こしていて、突然電源が落ちてしまった」のだという。アブダビのテストでも同じような症状を抱えたが、その問題はすでに克服しており、今回はマイナートラブルだという。

 二度にわたってMGU-Kのシールという同じパーツにトラブルが起きてしまったわけだが、設計の根幹に問題があるわけではないと新井総責任者は言う。

「パワーユニット全体に関わる問題ではないんですが、MGU-Kのシールがきちんとできていないという問題。その点は、もう一度きちんと見直さなければなりません。すでに明日の走行に向けて対策品を持ち込む手はずを整えました」

 バトンは「ドライバビリティの面では確かに大きく向上したし、ポテンシャルはある。でも、それを引き出すのがすごく大変だ。開幕戦までに勝てるクルマができるとは言えない」と珍しく不快感を滲ませながら、最後には突き放すように言った。

「明日は今日よりも走れることを祈っているけど、いきなり150周走れるとは思わないよ」

 ぜひとも最終日、ホンダには二度目の対策部品で、その言葉を打ち消すような走りを見せてもらいたい。

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