ちょっと毒舌なF1ジャーナリストがお届けするF1の裏話:アブダビGP編。昨年は本誌で連載していたこちらのコラム。今年は【携帯サイト限定】版としてお届けしていきます!

サム・マイケルが見せてくれたお宝映像
 私の今季最終戦はなかなか終わらなかった。日曜深夜2時半のフライトでアブダビを発つつもりで空港に向かったのだが、出発が大幅に遅れ、多くのF1関係者とラウンジで待ち時間をやり過ごすことになってしまったのだ。
 その中には、マクラーレンを今季一杯で退職することが決まり、これが最後のGPとなったサム・マイケルのほか、大勢のマーケティング/ケータリング関係のスタッフ、WECシリーズの今季チャンピオンとなったアンソニー・デビッドソンも含まれていた。

 7時間後、朝食が供されるような時間になっても、私たちはまだ空港にいて、搭乗のアナウンスを待ち続けている。仲間との会話を楽しみながら時間を潰すのもそう悪くないと思えたのは、長丁場のシーズンが終わった開放感はもちろんだが、サム・マイケルが見せてくれたフィルムも大いに役立ってくれた。

 彼がジョーダン・チームに所属した1998年、この戦い振りをつぶさに記録したお宝映像は、当然ながらスパの大番狂わせがハイライトだ。当時のラインナップ、デイモン・ヒルとラルフ・シューマッハーが、雨のレースで奇跡のワンツー・フィニッシュを達成。

 このときサムは、ラルフのレースエンジニアを務めていたのだった。そのワンツー走行のシーンを眺めていたとき、「面白そうなものを見てるじゃないか、どれどれ」とやってきたのがデイモン・ヒルその人だったから、偶然にしても出来過ぎと思えたものだ。

 しかし、出来過ぎの話はそれだけではなかった。デイモンが言うには、このワンツー走行の最中に無線でエディ・ジョーダンを脅す必要があったのだという。

 このまま二人がトップ争いを続けたら間違いなく同士討ちになる、それがイヤならさっさとチームオーダーを出せ、とどやしつけたのだとか。正気に返ったエディが一も二もなくそれに従って、チーム初勝利をワンツーで飾ったという次第。EJを叱り飛ばすデイモンの機転がなければ、伝説の勝利は生まれなかったかもしれない、ということだ。

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