第8戦 ツインリンクもてぎ 決勝レポート (GT300)
CR-Z驚異の追上、最後を飾る

　決勝はドライコンディションになる予報が出ていたが、少し雨が残る事も想定されていたので、ドライコンディションのセッティングでレインタイヤでも走れるようなセットの確認をした。
　そのセット変更が良かったのか、スタートを担当した高木は毎周1台ずつ抜いていくペースでレースを進めていった。なんと10周目までに4番手まで上がる驚異的なペースだった。さらに18周目に1台抜いて表彰台圏内に早くも到達。ARTA CR-Z GT最後のレースを何とかして表彰台で終わりたいとチーム全員が願っていた。
　しかしながら、後半は徐々に路面が乾いてきたので、ARTA CR-Z GTにとっては不利な要素が徐々に増えてくる。高木は24周目にルーティンのピットインを行い、小林に替わった。
　小林がピットアウトしたタイミングで500クラスの車の部品が散乱し、セーフティーカーが導入された。小林はこの周回でタイヤを暖める事が出来て、CR-Z GTが苦手とするアウトラップのスピードをカバーする事が出来た。　　その後、小林は4番手でコースに復帰していたが、その順位をキープしながら順調に周回を重ねた。しかし、セーフティーカーが入った事で、周回遅れが間に入ってしまい、これらの車を抜くのに手間取ってしまい、これ以上順位を上げる事は難しかったが、CR-Z GT最後のレースを見事ポイントゲットで終え、引退に華を添える事が出来た。

土屋圭市エグゼクティブアドバイザーのコメント
「予選13番手から4位でゴール出来るなんて素晴らしいレースをしてくれた。ドライバーとチームに感謝したいね。この1年は希望を失いそうな事もあったけど、皆諦めずに取り組んでくれた事が良かったね。CR-Z GT最後のレースで表彰台には登れなかったけど、良いレースが出来たのでホッとしています。1年間応援して下さった皆さまに感謝します。ありがとうございました」

一瀬俊浩エンジニアのコメント
「決勝はドライになる事が予想されていたので、朝のフリー走行ではドライセットでウェットタイヤのフィーリングをチェックしました。そこで多少セッティングの変更が必要でしたので、ウェットのセットを残しつつ、ドライでも走れるような味付けをしました。レースはセーフティーカーが入ったタイミングが我々にとっては良かったのと、タイヤが最後まで持ってくれたので、順位を稼げたと思います。またモテギは不得意なコースではあるのですが、ウェットのペースが良くて、何とかポイントを獲る事が出来ました。CR-Z GT最後のレースでしたので、欲を言えば表彰台に登りたかったです」

高木真一選手のコメント
「昨日は予選で天候が悪い方向に行って味方してくれなかったんですけど、今日は逆にスタート前に雨が降ってくれた事が僕達にとって良い方向にしてくれたと思います。いい時もあれば悪い時もありますが、レースでは天候がこうやって味方してくれたので、レースは本当に面白いな、と感じました。雨の中、13番手から上位まで追い上げる事が出来たのはブリヂストンのレインタイヤが非常に高性能であったという事と、ホンダのCR-Z GTという車が非常に優れた車である事を証明出来たのは本当に良かったな、と思いました。終盤のドライコンディションに関しては、テストをしていなかった訳ではありませんでしたが、今週末の中ではドライを走れていなかったので、タイヤのチョイスやセッティングの想定が出来ていませんでした。そんな中、小林は最後までタイヤを持たせてくれましたし、CR-Z GT最後のレースを良いカタチで出来た事は良かったと思います。出来れば表彰台に登りたかったですね。1年間応援ありがとうございました」

小林崇志選手のコメント
「昨日予選があんな順位で、モテギも抜きづらいので、厳しいレースになるだろうと思いましたが、スタート前に僕達に有利なコンディションになってくれたので、上位に行けるような手応えがありました。前半、高木さんが3番手で帰ってきてくれるなんて本当に凄いと思いました。僕達が苦手としているアウトラップもちょうどセーフティーカーが入ってくれて、タイヤを十分暖める事が出来ました。セーフティーカーが入って良かった面もありましたが、周回遅れの車が前に入ってしまって抜くのが大変だったのが悪い面でした。後半ペースが良かったのですが、ストレートが遅いので、抜くのに時間がかかってしまい、表彰台を逃してしまいました。CR-Z GT最後のレースで、13番手から4位まで順位を上げる事が出来て、ホンダさん、ブリヂストンさん、M-TECさん、そしてご協力下さった全ての方と、応援して下さった皆さまに感謝したいです。ありがとうございました」