3月1日から2日にかけて、愛知県蒲郡市を拠点に2025年シーズンのJRC全日本ラリー選手権第1戦『ラリー三河湾2025』が開催され、トヨタ・ガズー・レーシング・ワールドラリーチーム・ジャパン(TGR-WRJ)から参戦した大竹直生/橋本美咲組(トヨタGRヤリスGR4ラリー)が、“MCC”ことモリゾウチャレンジカップを制した。
TGR-WRJから同じくMCCに挑んだ平川真子/竹原静香組(GRヤリスGR4ラリーDAT)は9位でフィニッシュしている。
人材育成と、モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりの実践を掲げ、これまでもJRCに参戦してきたTGR-WRJ。2025年は体制を刷新し、その一環として昨年まで同チームでドライバーを務めてきた眞貝知志が監督に就任した。
またチームは、今季からフィンランドのユバスキュラを拠点にWRC世界ラリー選手権を戦うトヨタ・ガズー・レーシング・ワールドラリーチーム(TGR-WRT)との連携をいっそう深め、世界を見据えた活動を行っていくとしている。
そんなTGR-WRJが行う2025年のプログラムは、JRCのJN-2クラス内に設けられたMCCへの参戦だ。昨シーズンから国内に戻りMCCを戦う大竹がマニュアル・トランスミッション(MT)仕様のトヨタGRヤリスGR4ラリーで、WRCの女性ドライバー育成プログラムにも選出された平川が高性能スポーツ8速AT(GR-DAT/GRダイレクト・オートマチック・トランスミッション)搭載車のGRヤリスGR4ラリーDATで出場する2台体制がとられている。
■競技初日から速さを見せた大竹
今季開幕戦となったラリー三河湾は、高低差のあるワインディングロードや竹島埠頭を利用したフラットなコース、曲がりくねった林道セクション、サービスパークに隣接する未舗装路の『KIZUNA SSS』など、バリエーションに富んだSS(スペシャルステージ)の設定が特徴的。ドライバーたちにとっては、さまざまなコース特性やコンディションへの対応力が求められる一戦となっている。
2月28日の夕方に蒲郡駅前で行われた華やかなセレモニアルスタートに続き、競技はレグ1となる3月1日土曜から開始。大竹はオープニングのSS1からSS4まで連続でベストタイムを刻む好走を披露すると、午後のSS6でもベストタイムをマークしMCCをリードして初日の走行を終える。
一方の平川は、午後ループの一本目となったSS4でマシントラブルに見舞われ、競技続行が不可能に。ここでレグ離脱を余儀なくされてしまった。

高速SSを主体としたレグ1から一転、レグ2は曲がりくねったテクニカルコースが中心となった。初日に充分なリードを確保した大竹は、慎重なペースでの走りに切り替え、着実に走行を続けながらも3度のベストタイムをマーク。危なげなくフィニッシュを果たし、見事MCC優勝の座を勝ち取った。
車両を修復して再出走を果たした平川は、デイ2のSSをすべて走り切り、難しい林道ステージでも貴重な経験を積む一日となった。
チーム監督としての初戦を終えた眞貝は次のように語っている。「私が監督という新しい役割について2カ月が経ちます。TGR-WRTをお手本に、新しい取り組みをいろいろとするなかで開幕戦を迎え、あらためて課題がたくさん見えてきたというのが正直な印象です」
「やるべきことを紐解きながら、優先順位や重要性を分析して改善すべく、チームの皆さんと一丸となって挑戦する一年が始まりました。ワクワクしていますし、気が引き締まる思いです」
チームの新監督は次世代のスター誕生に期待を寄せる。
「今大会はチームの地元ということもあり、ラリーそしてTGR-WRJを多くの皆さんに応援していただきました。本当にありがとうございます」と眞貝監督。
「2025年の活動はMCCに絞っていますが、切磋琢磨しながら、ときには挫けながらもさまざまな課題を乗り越えて成長し、世界に羽ばたく選手が必ず出てくると思いますので、ぜひ応援いただけたら幸いです」
また、ドライバーを務めるふたりも開幕戦を振り返りコメントを残している。
●大竹直生(MCC優勝/GRヤリスGR4ラリー)
「まずは開幕戦のMCCで優勝できてホッとしています。今回の目標は、ずっと100%で走るのではなく、安全マージンを持って周囲とのタイム差を見ながら走ることでした」
「その目標どおり、初日にリードを築いて、2日目には後ろとの差を見ながら走ることができた点は、ポジティブだったと考えています」
「今シーズンからは眞貝監督、そしてTGR-WRTからのサポートをいただいています。ラリーに向けての準備も万全でしたし、競技中もチームの皆さんが真剣に作戦を考えてくれました。今回のラリーが狙いどおりうまくいったのは、チームの皆さんのおかげだと思います」
●平川真子(MCC9位/GRヤリスGR4ラリーDAT)
「初日はSS4でコース上のクッションドラムにフロントをかすってしまい、SS終了後に確認したところ水が漏れていたので、最終日のことを考えてレグ離脱しようという判断になりました」
「残念でしたがチームの皆さんがクルマを修復してくれて、2日目はしっかり走り切ることができました。今回のラリーを終えて課題もたくさん見つかったので、この経験を必ず今後につなげていきたいと思います」
「初めての4WDターボ車は、まだフィーリングを確かめる感じですが、コドライバーの竹原選手やチームのみなさんも暖かく見守ってくれているので、気持ち良くラリーを戦わせていただいています」

