【全日本ラリー選手権第5戦/北海道ニセコ町周辺】
今年も北海道ニセコ地域を舞台に開催されたグラベル初戦の『ARKラリー・カムイ』、最高峰のJN-1クラスで奴田原文雄選手組が待望のラリー2マシン初優勝を飾った!

 全8戦で競われる2025年の全日本ラリー選手権は後半戦に突入、第5戦は今シーズン初のグラベル(未舗装路)ラリーとなる『2025ARKラリー・カムイ』が7月4日(金)~6日(日)に北海道のニセコ町を拠点に開催され、最高峰のJN-1クラスに参戦する奴田原文雄選手/東駿吾選手組がトヨタ・GRヤリス・ラリー2で初優勝を飾った。

 2018年からニセコ町周辺で開催されているARKラリー・カムイも今年で8年目、地元の協力もあり地域に定着した大会としてますますの盛り上がりを見せている。今年は蘭越町の林道に加え、京極町にも初めてSS(スペシャルステージ)を設定。さらに蘭越町中心部にも特設のショートステージが設けられ、多くの町民がラリー車の迫力ある走りを楽しんだ。

 SSは2日間で全11本を設定、合計距離は102.37km。グラベルかつ100km以上ということで規定によりシリーズポイントには1.5の係数がかけられるため、シリーズを戦ううえでも重要度の高い一戦となる。また、新設された京極のSSは大会最長となる16.01km、この道にはターマック(舗装路)区間も含まれ勝負どころになると目された。

 競技は5日(土)にスタート、蘭越町は最高気温が29.4℃に達する暑さとなった。奴田原選手組はオープニングのSS1を2番手で終えると、続くSS2『ORCHID SHORT 1(12.55km)』でライバルを3.3秒引き離すステージベストを獲得。SS3『KNOLL 1(7.77km)』も4.2秒差をつけて連続ベスト、時間とともに気温と路面温度も高まるなかで『ADVAN A053』の高いポテンシャルを活かした快走が続く。

 サービスをはさんで午後のセクションに入っても勢いが留まることはなく、ノートラブル、ノーミスで7本のSSを走りきり、2番手に28.6秒の差をつけてトップで初日を終えた。

横浜ゴム 2025全日本ラリー第5戦ラリー・カムイ ラリーレポート
総合優勝を飾った奴田原文雄/東駿吾組(ADVAN KTMS GRヤリス Rally2)

 一夜明けた2日目の6日(日)も、蒸し暑さを感じる一日となった2025年の「ARKラリー・カムイ」。この日は4本のSSを設定、新設された京極町のステージ「SUNFLOWER(16.01km)」も2回走行する。

 競技2日目のオープニングとなる注目の『SUNFLOWER』の1回目、奴田原選手組は2番手に対して8.2秒と1kmあたり約0.5秒上回る速さを見せて、本大会5回目のステージベストをマーク。ライバルとの差を43.4秒に拡大、主導権をガッチリと握ってフィニッシュを目指す。そして『SUNFLOWER』の2回目でもステージベストを叩き出し、最終的に2番手に55.8秒の大差をつけてトップでフィニッシュ。

 昨年の開幕戦から最高峰のJN-1クラスにトヨタ・GRヤリス・ラリー2を投入して戦う奴田原選手/東選手組が、北の大地で待望のラリー2マシンでの初優勝を飾り、9月に開催される次戦『RALLY HOKKAIDO』に向けてさらなる活躍を期待させる結果を残した。

 また、エンジン排気量1500cc超2500cc以下の後輪駆動車で競われるJN-3クラスでは、ディフェンディングチャンピオンで今年もシリーズランキングリーダーに立っている山本悠太選手/立久井和子選手組(トヨタGR86)が強さを見せた。昨年はトップを快走していたが最終SSでマシントラブルによるリタイアを喫しているが、その借りを返すという強い意気込みで臨んだ今年のARKラリー・カムイ。

競技が始まるとオープニングから圧巻の5連続ステージベストで、初日を20.1秒差のトップで終えた。2日目もその勢いが留まることはなく、4本のSSすべてでベストを刻み、全11SSのうち10本のSSを制する強さを見せて今シーズン4勝目を獲得。奴田原選手組と並んでのフルポイント優勝、シリーズランキング争いで連覇に王手をかけることに成功した。

横浜ゴム 2025全日本ラリー第5戦ラリー・カムイ ラリーレポート
JN-3クラスを制した山本悠太/立久井和子組(Sammy K-oneルブロスYHGR86)

■奴田原文雄選手(ADVAN KTMS GRヤリス Rally2)

【今回の成績:JN-1クラス優勝】

「今シーズン初のグラベルラリーでしたが、マシンのセットアップが決まれば充分勝負になると考えていました。今回は粘土質の滑りやすいグラベルからターマック区間までさまざまな路面がありましたが、『ADVAN A053』は路面を選ばないオールラウンドな性能を持っているので、タイヤに助けられた部分もあったと思います」

「気温や路面温度も上がるなかでターマック区間も多かったラリーですが、タイヤについて暑さの影響を感じることはなく、ADVAN A053はこれまでの実績もありますから安定感に支えられて戦えましたね」

「SS2を終えてトップに立ち、差を確保したことで無理せず確実に走ってタイムを出していけました。クルマの動きも良くて、ラリー2はセットアップの幅がとても広いのですが、ここまで蓄積したデータも活かして良いクルマを仕上げてくれているチームの努力が実る結果にもなりました」

「次戦のRALLY HOKKAIDOは今回と同じグラベルですが、アベレージスピードも上がるのでクルマのセットアップもより煮詰めて、連勝を目指していきます」

最高峰で5年ぶり、GRヤリス・ラリー2では初。奴田原文雄が波乱のラリー・カムイで優勝飾る/全日本ラリー第5戦
優勝した奴田原文雄(右)と東駿吾(左:ADVAN KTMS GRヤリス Rally2) 2025年JRC第5戦ラリー・カムイ

■山本悠太選手(Sammy K-oneルブロスYHGR86)

【今回の成績:JN-3クラス優勝】

「昨年のRALLY HOKKAIDOまでにクルマのセットアップがかなり決まっていたので、前戦のトラブルによって今回はブッツケ本番のような状態でしたが不安はなく臨めたARKラリー・カムイでした。金曜日のレッキ(下見走行)では各SSを見て『荒れた展開になるかも』と思いました。それはターマック区間の多さや道の狭さによるのですが、実際に競技レベルで走ってみると『そこまでリスキーな道でもないな』という印象で。新設された京極のSSは、1回目の走行では場所によって滑りやすさの違いも感じましたが、2回目では思ったほどワダチが掘れていなくて、気持ちよく走れました」

「初日を終えてトップでしたが、本音ではもう少しマージンを稼ぎたかったところでした。それは2日目に鬼門となりそうな京極のSSがあったからですが、結果的にはその京極で2回ともステージベストを獲れたので良かったです」

「トップで最終SSを終えましたが、ラリーはまだ終わりません。しっかりサービスパークへ戻って最終SSへ戻らなければなりませんから、今回も最後まで気を引き締めて走りきりました」

「これで連覇にも一歩近づけて、嬉しいと同時にホッと一安心した、そんな今年のARKラリー・カムイでした」

横浜ゴム 2025全日本ラリー第5戦ラリー・カムイ ラリーレポート
Sammy K-oneルブロスYHGR86(山本悠太/立久井和子組) 2025年JRC第5戦ラリー・カムイ

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