ステージで走行を見ていて感じたのは、勝田の走りがアンダーステア気味だったことだ。曲がらないクルマをなんとか曲げようと苦労しているように見えた。基本設計が古いフィエスタR5は、ライバルのシュコダ・ファビアR5や、シトロエンC3 R5と比べると、アンダーステアがやや強いといわれている。
また、WRC2プロの面々がミシュランタイヤを履いていたのに対し、勝田はピレリタイヤを履く。昨年までグラベルラリーではミシュランを使っていたが、今季はタイヤが大きく変わり、その点でもやや苦労しているようだ。
勝田は、「たしかに、ピレリの良い部分をまだ完全には引き出すことができていません。今後はタイヤに対する理解を深め、性能をフルに引き出せるようになったら、もっと速く走れるようになるとおもいます。そういったタイヤの使い方やセッティングに関しても、これからさらに勉強していく必要があります」
勝田の成長曲線は決して急激ではないが、確実に上を向いている。1戦ごとに着実な成長がみられ、結果もついてきている。
今回の優勝でWRC2のドライバーズランキングでは2位に浮上した。しかし、勝田は「タイトル争いはそれほど重視していません」と言い切る。
彼がもっとも重要だと考えているのは、今シーズンが終わった時点で、ラリードライバーとしてどこまで成長できているかだ。勝田の次なる戦いは、5月下旬のフィンランド国内選手権『リーヒマキ・ラリー』となる。
このラリーで勝田は、トヨタ・ヤリスWRCによる今年2回目の参戦を果たす。前回はスノーイベントで、降り積もった深い雪が大きな抵抗となり、思うようにタイムが伸びないなかで辛勝した。
グラベルイベントとなるリーヒマキ・ラリーでは、果たしてどのようなパフォーマンスを示すのか? リーヒマキ・ラリーにはライバルである若手フィンランド人のヤリ・フットネンも、ヒュンダイi20クーペWRCでの参戦を表明している。

