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ラリー/WRC ニュース

投稿日: 2022.07.06 12:55
更新日: 2022.07.06 13:03

地元出身マルティン・セスクが圧巻の全SS制覇。MRFタイヤの新作に勝利をもたらす/ERC第5戦

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ラリー/WRC | 地元出身マルティン・セスクが圧巻の全SS制覇。MRFタイヤの新作に勝利をもたらす/ERC第5戦

 7月2~3日の第5戦ラリー・リエパヤでシーズン後半戦を迎えた2022年のERCヨーロッパ・ラリー選手権は、地元ラトビア出身のマルティン・セスク(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)が初日から驚異的スピードでラリーを席巻。インド発のチームMRFタイヤがこのラウンドより投入した新型グラベル・スペックが威力を発揮し、デイ1、デイ2の各6SS、全12ステージでトップタイムを叩き出し、ERCの歴史上すべてのSSを制覇した史上初のラリーウイナーとしてその名を刻むこととなった。

 ラトビア西部の高速グラベルステージ群を舞台に、SS総距離181.01kmの勝負となったラリー・リエパヤは、粒の小さな浮砂利のハイスピード路面に対し、出走順が大きくモノを言う設定に。そのため、金曜3.77kmの予選ステージ順位が重要度を増すと目されるなか、イタリア出身のアルベルト・バティストーリ(シュコダ・ファビア・ラリー2)がわずか0.03秒差でスタート順選択権の優位を勝ち獲った。

「実際、僕自身がこの結果に1番驚いているよ。ポップオフバルブに問題があり、ステージ中に少なくとも2回は不具合が起きていたからね。ずっと、僕はタイムを失っていると思っていたんだ」と明かしたピレリタイヤ装着のバティストーリ。

 トップ10が1.5秒圏内にひしめくなか、注目のスポット参戦組ヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 Nラリー2)も、首位よりわずか0.152秒遅れの3番手につけるなど、順調な出だしをみせた。

 しかし明けた土曜のオープニングから主役の座に躍り出たのは、開催都市出身の“ローカルヒーロー”セスクで、ERCオープン卒業生でレッドブル契約ドライバーでもある22歳の新鋭は、僚友のエフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)とともに新スペックタイヤを実戦デビューさせると、すぐにそのパフォーマンスの高さを証明。

 高速グラベルで正確無比なドライビングを見せ、タルシ地域の6つのステージすべてでベストを奪取し、エースのヤレーナに対し22.9秒ものリードを築いてサービスへと帰還した。

「いや、僕自身が1番驚いているよ。改善できる場所はたくさんあるし、スピードだけでなく正確さも上げていきたいと思っているんだ」と、まずは反省の弁を口にしたセスク。

「確かに、午後2番目のループではフラットアウトできる場所がいくつかあったけれど、トリッキーな轍や石もあって気をつけなくちゃならない。初日で22秒のリードはかなり良さそうだけど、ひとつ間違えればギャップなんて吹き飛ぶ。今は速いこととプッシュすること、そして少し保守的であることのミックスでいくつもりさ」

直前のデリバリーから、予選ステージで実質シェイクダウンとなったヘイデン・パッドン(ヒョンデi20 N Rally2)
ハイスピードグラベルで正確無比なドライビングを披露したマルティン・セスク(シュコダ・ファビアRally2 EVO)が、初日から全SSを制する

■「これまでで最高のラリーだと思う」と喜びを語ったセスク

 一部のセクションで「ブレーキングポイントを判断するのに苦労した」と語る2番手ヤレーナの背後では、初日を通じて“苦労人”ニル・ソランス(ヒョンデi20 Nラリー2)が、ポーランドのコワックス・レーシングと挑む2戦目で奮闘を見せていたものの、最終ステージでフロントタイヤのパンクに見舞われ、一気に13番手へ後退。代わって僚友のトム・クリステンセン(ヒョンデi20 R5)がトップ3を形成して最終日を迎える展開となった。

 明けた日曜はサービスパークから東に設定された20km越えのステージを含む引き続きの高速グラベル路で、最終パワーステージを含む全6SSでの勝負に。ここでも手綱を緩めなかった若きラリーリーダーは、ふたたび最速タイムを連発するパフォーマンスで締め括り、最後のボーナスポイントも手にしてリエパヤのフィニッシュランプに上がることとなった。

「これは純粋な喜びだ。とても素晴らしい気分だし、チームMRFタイヤとスポーツ・レーシング・テクノロジーズのおかげでこの機会が得られて、とても素晴らしい週末になった。これまでで最高のラリーだと思うよ」と、最終的に2位ヤレーナに1分10秒9もの大差を築いた勝者セスク。

 それでもスペイン出身のエースはチームMRFタイヤのワン・ツー・フィニッシュに貢献するとともに、選手権でライバルとなるソランスがこの日も12位までしか挽回できなかったこともあり、ポイントスタンディング上でのリードを46点に拡大した。

 3位にはヤレーナに対しわずか0.7秒差まで追撃を見せたミッコ・ヘイッキラ(シュコダ・ファビア・ラリー2)が入り、エストニア出身ケン・トーン(フォード・フィエスタ・ラリー2)とグレゴール・ジーツ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)の続くトップ5に。

 自身が率いるパッドン・ラリースポーツ・グループ(PRG)から参戦したパッドンは、ラリー直前にデリバリーを受けた新車であらゆるセットアップを試しつつ6位となり、WRC世界ラリー選手権第7戦『ラリー・エストニア』へのウォーミングアップで大きな収穫を得る1戦となった。

 続く2022年のERC第6戦は久しぶりにイタリアでのターマック(舗装路)戦が控え、今月後半の7月23~24日にシリーズでもお馴染みとなった『ラリー・デ・ローマ・キャピタル』が開催される。

エフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビアRally2 EVO)も2位表彰台で、選手権でのリードを大きく拡大した
「とても素晴らしい週末。これまでで最高のラリー」と勝者マルティン・セスク(シュコダ・ファビアRally2 EVO)


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