日本人初のル・マン24時間レース総合優勝者として、現役引退後は後進の育成や自ら立ち上げたカテゴリーの運営と、国内モータスポーツでさまざまな立場で積極的な活動を続けている関谷正徳の不定期コラムがオートスポーツwebでスタートします。関谷氏が今、伝えたい、現在の日本モータースポーツ界への提言を『改革論』という形で訴えます。初回となる第1回は、現在の日本レース界が変わらなければいけない理由と、数あるスポーツのなかで“モータースポーツが社会で一番役に立つ”理由を語ります。

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 このたびオートスポーツwebでコラムを掲載することになりました関谷正徳です。まず初回となる今回は、私のことをご存じない方もいらっしゃるかと思いますので、近年の活動と、現在のモータースポーツに変化が必要な背景を語りたいと思います。

 私は2000年からトヨタが行っているレーシングドライバー育成プログラム、当時のFTRS(フォーミュラ・トヨタ・レーシング・スクール)、現在のTGR-DC(TOYOTA GAZOO Racingドライバー・チャレンジ・プログラム)に携わっています。

 FTRSとTGR-DCでは内容が変わっているのかと言うと、当時はトヨタがF1に参戦していましたので、FTRSではF1ドライバーを育成するという方針もありましたが、現在のTGR-DCでもレーシングドライバーを育成するという内容には変わりはありません。TGR-DCでの自分の仕事は全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権やFIA-F4などに帯同して、若い育成ドライバーたちにお説教をするという役目です(笑)。

 また、2013年からスーパーGTやスーパーフォーミュラで活躍するトップドライバー達のドライビング・コンペティションであるインタープロトシリーズ(IPS)を立ち上げ、2022年でちょうど10年目を迎えます。さらに2017年からは女性ドライバー達のシリーズ戦であるKYOJO CUPも立ち上げました。そちらは今年で6年目を迎えました。

 また、一方では、トヨタが掲げる『参加するモータースポーツ』を、より多くの方々に楽しんで頂けるよう、少ない費用で参加できるモータースポーツイベントの開催など、さまざまな活動を行っているTMSC(トヨタ・モータースポーツ・クラブ)の会長を舘信秀さんから引き継いでいます。

 このTMSCでは、2022年の11月に愛知県と岐阜県で行われたWRC世界ラリー選手権第13戦『FIA世界ラリー選手権 フォーラムエイト・ラリージャパン2022』に協力させていただきました。WRCというシリーズは、これを機にこれからも日本で継続開催されていくはずです。モータースポーツファンのなかにはレースも好きだけどラリーも好きだという人もたくさんいます。そういった意味ではラリーを通じても日本のモータースポーツの普及をしていかなくてはならないと考えています。

 今回のラリージャパン開催によって強く感じたことは、特に今の日本の環境では、ラリードライバーを輩出していくことはとてもハードルが高いということでした。世界で活躍している海外のラリードライバーとの違いは何か、それは日本では、ラリーに必要な環境が整っていないという事です。最近はモータースポーツに限らずいろいろなスポーツでもそうなのですが、優秀な選手たちは、本当に皆が幼少のころからそのスポーツに触れてきています。

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