アルピーヌ・エンデュランス・チームから2024年WEC世界耐久選手権のハイパーカークラスに参戦するニコラ・ラピエールは、フランスのシグナテックチームが運営する新型LMDhカー『アルピーヌA424』に搭載されるメカクローム製エンジンの信頼性について、心配していないと語った。
アルピーヌは、3月2日(土)に決勝レースが行われるWEC開幕戦『カタール1812km』でのデビューが予定されている新型プロトタイプカーの心臓部に搭載されるシングルターボエンジンのベースとして、メカクロームのV6エンジン『V634』を選択した。
V634はその名のとおり、排気量3.4リットルのV型6気筒エンジンだ。フォーミュラ・シリーズのFIA F2でターボ仕様が、FIA F3では自然吸気エンジンとして採用されているが、前者で2016年に導入されて以来、その信頼性の低さからシングルシーター界では悪名高い存在となっている。
このエンジンは短期間ではあるが、スポーツカーレースでも使用された例がある。2018-19年WEC“スーパーシーズン”の序盤、LMP1クラスに参戦していたジネッタG60-LT-P1には、V634がベースの『V634P1』が搭載されていたのだ。しかしジネッタチームはエンジンの性能不足などを理由に、翌2019-20年のキャンペーンに向けAER(アドバンスド・エンジン・リサーチ)製パワーユニットへとエンジンを載せ替えている。
そんなメカクロームのエンジンについて感想を求められたラピエールは、ルノーのF1パワーユニットも生産されているフランスのヴィリー・シャティヨンにあるアルピーヌのチームによって、V634がWECへの再導入のために「大幅な改良」を受けたことを強調した。
「このエンジンを耐久レースに適応させるのは大変な作業だった」とラピエールは語った。
「構造は同じだが、内部はすべて変更されている」
「アルピーヌの強みのひとつは、ヴィリー・シャティヨンにエンジンベンチがたくさんあることだ。ベンチでエンジンがよく動いていたことは確かだよ」
「また、シミュレーション(テスト)では30時間連続で走ることができていた。エンジン面では、かなり大丈夫だと思う」
「ル・マンはご存知のように特別で、(他のサーキットとは)異なるトラック、異なるコンディションだが、今のところはこのエンジンにとっては良好だ」