一方、スタッフとしてともに働いている人たちからは、ロッシはどんな印象を持たれているのだろうか。実際、ロッシのマシンのメンテナンスをしているセカンド・メカニックのベンジャミン・ペケはこう言う。
「彼はすごくいいドライバーだと思う。過去にMotoGPでキャリアを積んできているけど、いまでもベストを尽くしているし、戦っている。だから、僕らも彼を手助けしているんだ。ドライバーとしても、すごくいいよね。フィードバックも素晴らしいし、エンジニアへの説明もとても理解しやすいと思うよ」
「メカニックとしては、とても仕事しやすい。あんまり多くを要求しないから。シートやペダルの位置、ボタンの位置などにもうるさくないんだ。開幕前に一度シートを作ったら、それを通年使っている。
「彼は他のドライバーから、いつもできる限りのことを学ぼうとしているよね。そこが素晴らしいよ。そのほかに普段彼と話していること? それは言えない(笑)。彼はいつも冗談を言っているからね。リラックスしている時は、とにかく面白いんだ」
そして、最後に話を聞いたのは、WRTのトラベル&ロジスティック・オフィサーであるクレア・オルセル。彼女から見たロッシは、他のみんなが言うように、とてもいい人だと言うことだが、警備の面では心配もあるのだと言う。
「彼は大スターであるにも関わらず、とても親しみやすいの。特にピットの中にいる時は、他の人とまったく変わらない。普通なのよ。いつも礼儀正しいし、常にジョークを言っているタイプ。私は、彼とともに常に旅しているアシスタントのマックス・モンタナリと一緒に仕事をすることが多いんだけど、彼も含めて、とにかくいい人たちで素晴らしい」
「旅程に関しても、他のドライバーと同じで、彼らの予定や希望に確実に沿うだけだから違いはない。ただ、違いがあるとすれば、どの国に行っても、多くの人々がヴァレに会いたいって思うこと。日本にも多くのファンがいるから、セキュリティという面で彼に一番いいのはどういうことかっていうのを、確実にする必要はあると思う」
「ヴァレは『サインが欲しい』とか『写真を撮りたい』っていうリクエストに対して、いつも『イエス』って答えるんだけど、ある時点で、チームとしては彼がレースに集中できるように、どこかで彼をプロテクトしなきゃ、と思う。ガレージから出ていくたびに、彼はサインをしてあげようとしたり、子どもと写真を撮ってあげようとしたりするんだけど、チームとしては彼に集中するための完璧な環境を用意しなきゃって思うから。ル・マンやスパ、日本では、特に多くのファンが来るから気を使わないといけないって思うわ」
ということで、とても気さくで正直で親切というのが、近くで働いている人たちのロッシの総評となった。もちろんそれが伝わっているから、世界、そして日本のファンの皆さんも、ロッシを応援したくなるということだろう。来季以降のロッシの活動は果たしてどうなるのか、とても気になるオフシーズンに突入していくことになる。




