そこから、ガレージに入れられた5号車はウマに上げられたが、オイルがフロアから滴り落ちていた。幸いなことに、5号車はシリンダー内部まではダメージが及んでおらず、最後はチェッカーを受けるために、1周だけコースに出た。それでも“楽勝”モードから、奈落の底に落とされたような結果に、チームは意気消沈。コクピットを下りた一貴はメカニックと抱き合った。
「残念ですよ、もちろん。ポルシェがコケてくれたので、思った以上にラクな展開にはなりましたけど。待っている間は“勝てる”と思わないようにしていたんですけど、(2014年の)ル・マンと同じでしたね(苦笑)。でも、ダウンフォースレベルがしっかりしていれば、ライバルとも戦えると分かりましたし、ル・マンに向けての方向性は見えているのかなと思います。(開幕2戦がツイていなかったので)“3度目の正直”になればいいなと思っていますよ」