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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2016.06.09 00:52
更新日: 2016.06.09 00:53

ポルシェ919ハイブリッド ル・マン24時間プレビュー

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ル・マン/WEC | ポルシェ919ハイブリッド ル・マン24時間プレビュー
WEC第2戦スパ ポルシェ919ハイブリッド
WEC第2戦スパ ポルシェ919ハイブリッド

レースのポイント1:給油のピットストップ
 レースを計画する上で勝負の行方を左右する大きな要素となるのは、給油のためのピットストップの間隔です。WECでは、周回あたりの燃料および電気エネルギーの最大消費値が規定されているため、給油までの最長距離がわかります。また、各チームのストラテジストは、ライバル車両に関する情報も把握しています。ル・マンの1周13.629 kmのコースでは、ポルシェ919ハイブリッドは満タンの62.5リッターの燃料で最大14周の走行が可能です。

 24時間のレース中に走行する距離をこの14周でぴったり割ることはできません。しかし、目標は車両が文字通り燃料の最後の1滴を使ってフィニッシュラインを通過することです。タンク内の燃料が少ないほど車重が軽くなり、より速く走行できるからです。そのため、満タンにしない給油ストップが1回あり、最も適したタイミングを考慮する必要があります。何もなければ、この満タンにしないピットストップは最後まで取っておきます。しかし、天候の変化やセーフティーカーフェーズなどがあった場合、たとえばレインタイヤに換装するためのピットストップなどと組み合わせて前倒しで行うことで、時間を節約することになります。これらは非常に迅速な対応が求められ、時には数秒という非常に短い時間で決定しなければなりません。ストラテジーエンジニアのズールランデン(フランス)が常に情報を入力しているシミュレーションプログラムが、この決定プロセスをサポートします。彼が入手できるデータは、車両本体、ライバル車両の観察、および気象学者から得られるものです。

レースのポイント2:タイヤ交換
 レース戦略の2番目の大きな要素は、タイヤの性能曲線で、この分野ではミシュランのエンジニア達の専門知識が不可欠です。タイヤの摩耗が大きいほど、ラップタイムは悪くなります。そのため、このラップタイムの悪化とピットでのタイヤ交換によるタイムロスを比較評価する必要があります。タイヤの劣化は、必ずしも理論通りに発生するわけではありません。また、数周してもゴム(コンパウンド)の表面温度がなかなか上がらないことがあります。しかし、車両は周回を重ねる毎に軽くなるので、状況によっては、これがタイヤの寿命を延ばす要因となることがあります。アンドレア・ザイドルは、「2015年のル・マンでは、1セットのタイヤでの最長走行記録は54周でした。これは、タイヤを交換せず3回の給油を行ったことを意味します。燃料の重量を加味して、タイヤは最大限のグリップ力から徐々に低下し、1周あたりに約1.6秒ずつタイムが落ちます。満タンからタンクが空になるまでの重量差の44 kgで、1周あたり約2秒の差が出ます」と説明しています。

 24時間で最も長い距離を走行する上で何より重要なのは、車速とピットストップの長さです。2015年にル・マンで優勝を決めたとき、チームは1台あたり30回の給油を行いました。ピットロードの走行時間を含め、最も早い給油のピットストップは51.3秒で、ドライバー交替とタイヤ交換を行った最短のピットストップは1分13秒9でした。ドライバーは、タイヤが許す限りできるだけ長くコースに留まらなければなりません。ドライバー交替のためだけのピットストップは、時間の無駄になります。しかし、ドライバーがタイムを落とさず走行し続けることができるのは果たして何周でしょうか?


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