これら2種類のエネルギー源の使用と相互作用には、高度な制御が必要です。制動時には毎回エネルギーを獲得、すなわち回生されます。ニュルブルクリンクの全長5.148kmのグランプリサーキットでは、これがあらゆるコーナーの手前で毎周17回発生します。回生されるエネルギーの量は、制動の激しさによって、言い換えると、ドライバーがコーナーに達した時の速度とコーナーがどれだけタイトかによって変わります。制動と回生は全てのコーナーのエイペックスまで続き、ドライバーはそこから再び加速します。この瞬間における目標は、できるだけ多くのエネルギーを利用することです。それゆえドライバーは、スロットルペダルを踏み込んで燃料エネルギーを使うと共に、バッテリーから電気エネルギーの「ブースト」も行います。

 エンジンがリアアクスルを駆動するのに対し、電気モーターはフロントアクスルを受け持ちます。919は、4WDシステムを用いてトラクションを失うことなくコーナーから勢いよく飛び出します。さらにストレートでは、排気ダクトの中のもう1つのタービンがフル稼働するので、再びエネルギーを回生します。エンジン回転数が安定して高い場合、エグゾーストシステム内の圧力が素早く上昇し、ジェネレーターに直結された2つ目のタービンを回します。しかし、両方のエネルギー源はレギュレーションによって制限されており、ドライバーは1周あたり1.8リッターの燃料と1.3kWh(4.68メガジュール)の電力しか使用することが許されません。ドライバーは、1周が終わる時点でこの量を正確に、過不足なく使い切るように慎重に計算しなくてはなりません。超過すればペナルティーが科せられ、少なければパフォーマンスが低下します。ドライバーは、正確なタイミングで「ブースト」を停止し、スロットルから足を離さなくてはならないのです。

 ル・マンでは、1周13.629kmの全長に合わせてレギュレーションが変更され、認められる電気エネルギーの量は2.22kWhです。これは8メガジュールに相当し、レギュレーションで規定された中では最も高いエネルギークラスです。ポルシェは、規制値を拡大することに挑んだ初めてのメーカーであり、2015年の時点では唯一の存在でした。2016年には、トヨタも8メガジュールクラスに参戦しています。アウディは6メガジュールを使用しています。WECのレギュレーションは、これらの差をほぼ完全に均衡させています。

ポルシェ919ハイブリッドのパワートレイン
ポルシェ919ハイブリッドのパワートレイン

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