ポルシェ919ハイブリッドのコンセプトの選択にあたっては、個々の選択肢が綿密に検討されました。ポルシェがフロントアクスルの制動エネルギーを利用しようとしたのは当然のことでした。なぜなら、この方式はすでにある程度開発され、さらに大きく進歩して、大量のエネルギーを得ることができるからです。2番目のシステムとして、リアアクスルでの制動エネルギー回生と排気ガスの利用が検討され、排気ガスソリューションを有利に導く2つの点を見出しました。まず何より重量、その次が効率です。制動エネルギー回生では、システムは極めて短時間に大量のエネルギーを回生しなければならず、それに対処するには重量が犠牲になります。これに比べて排気ガス回生では、加速時間は制動時間よりもはるかに長いため、回生時間を長くとることができ、システムの軽量化を図ることができます。加えて、919は既にエンジンの駆動システムをリアアクスルに備えているため、リアの出力が増大しすぎると、非効率なホイールスピンがより多く発生することになり、それによってタイヤの摩耗も激しくなります。

 919のハイブリッドシステムに関するポルシェの最も勇気ある決断は、800Vを選択したことに違いありません。電圧レベルを決めることは、電動システムにおける根本的決断であり、バッテリーの設計、エレクトロニクスの設計、エンジンの設計、充電技術など他にも影響を及ぼします。ポルシェは、電圧レベルをできる限り高く設定しました。

 この高電圧に対応したコンポーネントを見つけることは極めて困難でした。特に、貯蔵媒体としてフライホイールジェネレーター、スーパーキャパシター、またはバッテリーのいずれが適切な貯蔵媒体なのかを検討した結果、ポルシェは、液冷式リチウムイオンバッテリーを選びました。この中には数百個の独立したセルが備わり、それぞれが高さ7cm、直径1.8cmの円筒形の金属カプセルに封入されています。

ポルシェ919ハイブリッドのパワートレイン
ポルシェ919ハイブリッドのパワートレイン

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