■「ちょっと“ツイて”いたのが僕たち」
 そして迎えたチェッカー。「まずチェッカーを受けられたことにホッとしましたし、それがワン・ツーという最高の形で、チームとして理想としている形でできたことにホッとしましたし、『やっと勝てたな』という気持ちもありました。いろいろですね」と一貴はその時の心境を振り返ってくれた。

 ウイニングランのときは、「ホロっと……は多少はありましたけど、やっぱり冷めてましたね(笑)」と一貴。表彰台でも「何考えていたんでしょうね(笑)。もちろん感動しましたけど、何よりホッとした方が大きいですかね」と、とにかくホッとしたことが先に来て、喜びを噛みしめるのはこれからになりそうだ。

 ちなみに、TOYOTA GAZOO Racingの旗がひしめくなかで、一貴がパルクフェルメで受け取りずっと肩にかけていた日の丸は、ずっと一貴を追いかけている上尾雅英カメラマンが、あの2016年以来ずっと“この日”のために毎年フランスまで持ち込んでいたものだ。一貴は記者会見までずっと、噛みしめるように肩にかけ続けていたのが印象的だった。

「2016年もそうでしたが、なかなか途中まで僕たちの方に全然流れがなくて難しい状況ではありました。夜中、フェルナンドのスティントあたりからだいぶ流れが変わってきて、その流れを僕も引き継ぐことができました」

「そこから終わりまで長かったのでどうなるかは分かりませんでしたが、7号車も8号車もかなり近いところで戦っていて、お互いにプッシュしながら、すごく良いレースができたと思っています。どちらが勝つかはちょっとした流れの傾きだったかな、とは思いますが、ちょっと“ツイて”いたのが僕たちだと思います」

 一貴は「誰に最初にこのことを報告したいですか?」という質問に「たぶん報告云々の前に、来ているメッセージに返事を返すのはすべてだと思います。見た順に返事します(笑)」とこれまで6回、ル・マンの勝利に届かなかった男は、やっと掴んだ勝利に安堵の表情で答えた。

優勝を喜ぶ8号車トヨタの中嶋一貴、ブエミ、アロンソ
トヨタ初のル・マン総合優勝を飾った8号車トヨタのフェルナンド・アロンソ、中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ
ル・マン24時間を制し、日の丸を手にアロンソ、ブエミと喜ぶ中嶋一貴

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