金曜日の予選では、それぞれのドライバーが別々のセッションでアタックし、その順位でそれぞれが各レースのスタートドライバーを務めるレギュレーションです。森のチームメイトは日産GTアカデミー出身の香港人若手ドライバー、エドガー・ラウ選手。同じくLMP3ルーキーながら、一発の速さを持つドライバーです。WINEURASIAチームは、チャンピオン争いをしているDCレーシングと同じメンテナンス体制で走っている為、王者に最も近いジェームス・ウィンスロウ選手(イギリス)のデータロガーを共有しており、タイムはもちろん、各コーナーでの走りの違いをデータから理解し、自らを奮い立たせてアタックするしかありません。予選では、第5戦でエドガー選手が3番手タイムをマーク。そのデータを読み込んだ森も、第6戦で最後の最後に見事なアタックを決め、同じく3番手グリッドを獲得しました。

 土曜日の朝、変わりやすいマレーシアの天候は雨、しかし決勝レースがスタートする直前にかなり小雨になりつつありました。スタート直前、WINEURASIAのピットは騒然としていました。マシン・トラブルの対応に追われていたのです。原因は解明されていましたが、時間が間に合わない状況となってしまい、ピットスタートが可能かどうかも微妙な状況です。そんな中、ピットでは冷静に空模様と路面をチェックする森の姿がありました。元エンジニアだった森は、チーフエンジニアのグレッグやマーク・ゴダード監督と相談し、作業中のマシンのタイヤをウェットからスリックに交換する賭けに出ました。路面はいまだ濡れており、ウェットレース宣言が出されています。ポールシッターのジェームス選手もレインタイヤを装着していました。不安がるスタートドライバーのエドガー選手に言い聞かせ、修理を終えたマシンはピットロード出口でスタートを待ちます。

 決勝レースは劇的な展開でした。濡れた路面が予想以上に熱い太陽の日差しで一気に乾き始めたのです。最後尾からスタートしたWINEURASIAのリジェ・ニッサンLMP3はどんどん前をいくマシンに追いつき、そして追い抜きはじめました。トップを走るジェームス選手のタイムと7周目には並び、そしてそれ以降は大幅に上回るタイムで周回を重ね、ピットオープンの頃にはファステストラップをマークして、4番手まで浮上していました。Bocka アジアン・ル・マンスプリント セパン レースレポート

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