レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2016.09.09 09:56

Bocka アジアン・ル・マンスプリント セパン レースレポート

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


ル・マン/WEC | Bocka アジアン・ル・マンスプリント セパン レースレポート

 ギリギリまでドライバー交代を引っ張って、4番手のまま森に交代。完全に乾いた路面と温まったスリックタイヤのおかげもあって、ハイペースでさらに追い上げます。トップ2台は最初からスリックを装着していたマシンで、大きなリードを築いており、森は3位狙いでアタックを続けていました。その時、スクリーンのモニター上にオフィシャルからトップのマシンにジャンプスタートの判定が下り、ドライブスルー・ペナルティが課されたのです。これで実質的に3番手に浮上した森は、無線のトラブルもあって状況を把握できないまま、ただひたすらに前を行くマシンを追い続けました。

 そしてさらに奇跡的な出来事が起こります。トップを走る車両に対し、ピット作業違反(停止義務時間違反)の判定が下され、5秒間のストップ&ゴーが課されたのです。これで実質的に2番手に浮上した森は、前のマシンとの差を1周1秒づつ縮めていました。マーク・ゴダード監督が計算すると、最終ラップには交錯する状況です。無線が届かぬ森に対し、サインボードで「UP」を表示。そしてまさに1時間が経過した時、最終ラップに突入する最終コーナーで森が前のマシンのインに飛び込み、パス。そのままトップでファイナルラップを最後まで走り切り、デビュー戦優勝のチェッカーを受けたのです。

 歓喜のピットクルー、そして優勝を知らないままパークフェルメに戻った森は、1位のボードにマシンを誘導され、初めて勝利の事実に気づきました。TVカメラや報道陣に取り囲まれた森は、いまだ信じられない表情でインタビューに受け答え、ポディウムに向かいました。アジアン・ルマン・スプリントカップでのデビュー戦優勝、そしてLMP3レースでの日本人初優勝の瞬間でした。

 翌日の第6戦ではスタートからポジションキープした森は、そのままエドガー選手にバトンを渡し、上位のマシンがピット作業中にトラブルを抱えてリタイアしたために、2位でゴール。優勝を飾ったジェームズ・ウィンスロウ選手がシリーズチャンピオンに輝きました。WINEURASIAにとって最高の最終戦となりました。

■森義治のコメント
「アジアン・ルマン・スプリントに急きょ参戦が決まり、不安と期待が入り混じった気持ちでセパンを訪れたのですが、まさに奇跡が起こった気分です。自分にとって初めてのLMP3で、デビュー戦初優勝、そしてチームに貢献できた2位入賞を果たせたなんて、まるで夢のような気分でした。今まで走ってきたGT3に比べて信じられないほど限界が高いマシンに慣れるのは大変でしたが、自分を信じてアクセルを踏み込みました。レースにここまで集中できたのも、新たな挑戦だったLMP3マシンのおかげです。ACOのアジア最高責任者も心から祝福してくれました。本当にチームやスポンサーの皆さんに感謝しています」


関連のニュース