片山も「実際には100メートル先をライトで照らしているイメージなんですけど、そこには1秒で到達しちゃうので、すぐ目の前を照らしている印象なんです。だからブレーキングも2~3秒先に見えるはずのコーナーは見えないですね。1周13.6kmもあると、コースのどこかは雨が降っていて、それ以外のところではドライということもあります。スリックで走っていてコーナーに入っていったら突然濡れていた、ということもありましたよ」とコメント。雨のなかを300km/hオーバーで駆け抜ける難しさを表現した。
また、今ではパワーステアリングやパドルシフトなどのデジタルデバイス装備が当たり前となっているが、当時は完全にアナログ。その状況下でビックパワーのマシンをコントロールするのは大変だったという。
「グループCの頃はパワステもないし、ABSもトラクションコントロールもないから、本当に気を使って運転しないと雨の日などは大変だった」と寺田。
「それからシフトが重いでしょ。ちゃんとサポートしないと手にマメができちゃうこともあったし、ひどい時は振動で疲労骨折することもありました」
グループCカーのデモランは、これまでさまざまな場所やイベントで行われているが、鈴鹿サーキットに10台以上ものマシンが集まり、さらに当時のレースを戦い抜いたドライバーたちがトークショーに参加したのは極めてまれ。会場に集まったファンもレジェンドたちが明かすエピソードに聞き入っていた。