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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2021.08.23 10:46
更新日: 2021.08.23 22:05

ついにル・マンを制したトヨタ小林可夢偉「死力を尽くして戦う必要があった」

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ル・マン/WEC | ついにル・マンを制したトヨタ小林可夢偉「死力を尽くして戦う必要があった」

 2021年8月22日。ついにル・マンの女神が、小林可夢偉に微笑んだ。この日16時、フランス、サルト・サーキットで前日から24時間続いた長い戦いを終わらせたのは、7号車GR010ハイブリッドをドライブする可夢偉が誰よりも先に受けた、チェッカーフラッグだった。可夢偉のすぐ横には、中嶋一貴がステアリングを握る僚友・8号車の姿があった。

 ウイニングラップ中のオンボード映像に映る表情、そしてパルクフェルメでインタビューに応える可夢偉には、ここまでの波乱万丈な道のりが滲んでいた。

「ル・マンの勝者としてここにいるというのは、最高の気分です。ここに至るまでに、何年も何年も、さまざまな経験を経てきましたし、そのなかには本当に辛いものもありました」

 可夢偉のル・マン最高峰カテゴリー挑戦は、TS050ハイブリッドのデビュー年となる2016年に始まった。初年度は2位。一貴の“3分前の悲劇”を目の当たりにした。

 翌2017年には、いまも残る3分14秒791というセンセーショナルなレコードタイムで、ポールポジションを奪う。しかし、決勝では“偽マーシャル事件”をきっかけとするマシントラブルから、戦列を離れた。

 2018年は明け方、一貴との直接対決で首位を明け渡すも、2019年は勝利目前のところまで上り詰めた。しかし最終盤、センサートラブルによりスローパンクチャーが起きたタイヤの特定にチームが失敗。繰り上がりでル・マン2勝目を得た一貴が、僚友を想いパルクフェルメで涙した。

 2020年もまた、7号車にはトップ快走中に悲劇が。エンジンのターボ関連の不具合によってガレージへと入れられる際には、可夢偉はヘルメット越しに絶望的な表情を見せた。

 そんな経験があるからだろう、初勝利を手にした直後に可夢偉はこう口にした。「ル・マンに勝つためには運が必要だと常々感じていましたが、今日も運が必要でした」と。

 ポールポジションからスタートした2021年の決勝レースも万事順調とはいかず、8号車に最初に発生した燃料系統のトラブルは7号車にもその可能性があり、チームはレース中に対処法を編み出す必要性に駆られていたのだ。

「最後は走り続けるために、特別な操作をしなくてはなりませんでした」と可夢偉。

「終盤の7時間は、生き残るために死力を尽くして戦う必要があり、とても難しい作業でした。通常であればそこでレースは終わりでしたが、チームが本当によくやってくれて、正しい判断で導いてくれたおかげで、なんとか最後まで走りきることができました」

「チームメイト、車両担当やエンジニアはみんなこのレースウイーク、素晴らしい仕事を成し遂げてくれました。彼ら全員に感謝します」

ウイニングラップを終え、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスを乗せてパルクフェルメへと向かう、小林可夢偉運転の7号車GR010ハイブリッド
ウイニングラップを終え、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスを乗せてパルクフェルメへと向かう、小林可夢偉運転の7号車GR010ハイブリッド


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