これまでのWECで最大数となるフルシーズンのエントリー台数は、一部のピットレーン、とくにエントリー数が利用可能なピットガレージの数を超えることになる富士スピードウェイにおいて、絞り込みが生じることを意味する。富士スピードウェイのピットビルA棟のガレージ数は、34庫となっている(B棟は11庫)。
ルキアンは、仮設ピットガレージの設置を含む、日本でのレースのための特別な措置を検討していると認めた。
別のオプションとしては、同一チームに所属する一部の車両が、ひとつのピットボックスと給油装置を共有することが挙げられる。
WECは以前、すべてのLMGTEアマクラスのチームに2台体制を義務づけ、レースウイークには1台ぶんのピットボックスと給油装置を使用するというルールの導入を検討していた。しかしこの案は、チーム間の投票にかけられた結果、80%という過半数によって否決されている。
「39台のクルマで向かう富士のレースは、今シーズン最もトリッキーなラウンドのひとつになる可能性がある」とルキアンは語った。
「まず、今季のエントリー数は39だが、39台の車両が同時にコース上にいることはほとんどないだろう」
「我々はクレイジーなわけではなく、ACOのピエール・フィヨン会長、私の周りの人々、そしてすべてのチームとの、非常に真剣な内部ディスカッションがなされた」
「(参戦を希望する)全チームを受け入れるのはたやすいことだが、それはFIA世界選手権としては良くないことでもある。したがって、39というのは妥当な数字だ」
「富士については、LMGTEとLMP2のいくつかのチームと、ガレージを共有する可能性についての話し合いをした。おそらくいくつかの特定のコースでそれが必要になるが、我々はそれをうまい具合に調整できるはずだ」
「エントリーを増やすために、何かを犠牲にしたくはない。39という数字は、優れたロジスティクスとスポーティングの面で、実行可能な最大値だ。これ以上は不可能だ」
「なお、1レースだけ参戦するクルマ、1レースだけの追加エントリーは受け付けない。我々は、それを受け入れることができない」
WECの選考委員会が受け取ったエントリー申請の数は、用意が可能なグリッド数を超えていたが、どれだけの数のエントリー申請が却下されたかについて、ルキアンはコメントを避けた。
「それは、簡単な仕事ではない」とルキアン。
「傲慢に聞こえてほしくはないが、これは(シリーズにとっては)良い問題だと思う。我々は39台を選出するという決定を下した。これは、スポーティング、ロジスティック、およびさまざまな観点から、合理的な台数のエントリーを維持するための決定だった」
「確かに、我々は39をはるかに超える申請を受け取った。だが、これについては明らかにしないことにしている」
ルキアンはまた、チャンピオンシップの“目標”は、ピットガレージの数が問題となる富士などのトラックにおいて、ガレージを共有するようチームに依頼する必要をなくすことである、と述べている。
いくつかのチームが1台のガレージに2台の車両を収容し、ピット前のボックスと給油装置を共有する際、戦術面での影響を与える可能性を取り除くことができない。
「それを受け入れるチームもあるかもしれない、と私は言っている」とルキアンは語っている。
「我々は(2021年最終戦の)バーレーンでこの議論をした。40台以上のクルマを受け入れることができる可能性があるなら、それはGTEアマでガレージを共有することだ。だが、戦略的な部分の問題があるため、それはしないことにした。我々の目標は、その状況(ピットガレージの共有)を避けることだ」
