その後、カラドの注意は背後に迫ったクリステンセンの猛攻をかわすことと、タイヤのマネジメントに向けられた。
「この週末にずっと使っていなかったコンパウンドのタイヤを履いていた」と彼は説明した。
「最後の方はかなりグリップを失い始めていて、大変だったよ。とくにオー・ルージュでは厳しく、クルマを失わないようにするので精一杯だった」
「アレ(アレッサンドロ・ピエール・グイディ)と交代したとき、まだ路面はかなり濡れていた。そこで僕たちはより柔らかいコンパウンドのタイヤを選択した。それは通常のコンディションではうまく使えないと思っていたものだ」
「それから(タイムの)大きな落ち込みが出てきて、心配になった」
「でも、正直なところポルシェも同じだったと思う。なぜなら、同じようなウォームアップと、同じようなドロップがあったためだ。あちらの方がペースがあった状態でもね」
■ラインを外せない状況でプッシュし続け、「相手がミスをすることを願うしかなかった」とクリステンセン
クラス2位に終わった92号車ポルシェのクリステンセンは、レース終盤にライバルよりも速いクルマを持っていたにもかかわらず、フェラーリをパスする場所を見つけるのは、レーシングライン以外にグリップのあるオプションがなかったため困難だったという。
「もし走行ラインが1本だけなら、オーバーテイクするためには濡れている路面に出なければならない」とSportscar365に語ったクリステンセン。
「確かに最終的には一本のラインではなかったけど、追いかけるのは大変だった。1列半のラインがあるときにアウトブレーキングできるほど近づくのは本当に難しかった」
「とにかくプッシュし続け、相手がミスをすることを願うしかなかったんだ」
「(バトルが)楽しかったのは間違いない。だけど、できれば勝ちたかった。確かにペースは良かったが、それとオーバーテイクは別物。ただ、それができなかっただけなんだ」
一方、カラドはクリステンセンから順位を守るうえで、自身もライバルもレーシングラインから大きく外れることができないことを理解していた。
クリステンセンは最終ラップのバスストップ・シケインで最後の勝負に出たが、右コーナーではらんでしまい、続く左コーナーでフェラーリに並ぶことがができなかった。
「コースは半分がウエットで、もう半分が乾いていた。僕はタイヤの温度を上げるためにドライの部分をオーバードライブしていた」とカラド。
「できることはすべてやっていた。クリステンセンが後ろに来たとき、彼は隙があれば狙ってくるだろうと思っていた。最後の方には少し突付かれたけど、僕はその状況下でもうまく防御できたし、いいバトルができたと思う」
