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ル・マン/WEC ニュース

投稿日: 2022.07.21 07:15
更新日: 2022.07.21 02:01

完走から10カ月、ふたたびル・マンを訪れた青木拓磨「僕にとって特別な場所。またレースに出たい」

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ル・マン/WEC | 完走から10カ月、ふたたびル・マンを訪れた青木拓磨「僕にとって特別な場所。またレースに出たい」

――2021年、長年の目標だったル・マン24時間レースを無事に完走されましたが、他には挑戦したいと思っておられるレースはありますか?

青木:ニュルブルクリンク24時間レースへも長年出場したいという強い思いを持っています。実は随分前にドイツモータースポーツ協会へ参戦の意志と希望を伝え、可能性を探っていました。

しかし、当時はまだ身体障害者のレースが普及しておらず、身体障害者にノルドシュライフェで事故が起きた場合のコースマーシャルの安全講習や救助方法の講習制度が整っていなかったため諦めざるを得ませんでしたが、もしも今後ニュルに参戦できる可能性が出てきたら、すぐにでも出たいと強く思っています。

――あなたは下半身不随という障害を持ちながら、ダ・カールやル・マンなど、日本やアジアの小さなレースから世界最高峰まであらゆるレースに挑戦し、その強い精神力や体力はもちろんのこと、ひたむきに挑戦し続けるあなたの姿は、世界中の人々に勇気と希望を与える存在となっているのではないでしょうか。

青木:僕は特別そんな意識はしていませんよ(笑) でも、下半身不随の障害を持つ僕が活動することによって、誰かが一歩踏み出すきっかけになれるなら、そんなうれしいことはありませんね。

ル・マンなどの大舞台でなくても、地域で行われている小さなレースもチームメイトと協力してひとつの目標を目指し、それを大いにエンジョイするということは大切で、この楽しさをより多くの仲間と分かち合えることができればといつも願っています。レースに出場するとなると、それだけでかなりの大きな金額を必要としますし、一般的にはそれを捻出すことは容易ではありません。専用のライセンスや出場資格を取得する必要がある場合もあり、かなりハードルが高いのが現実です。

そのような背景もあって、手元に資金がなくてもレンタルしたミニバイクで初心者も性別も障害者も健常者も関係なくレースを楽しんで欲しいという願いで『レン耐』という、レンタルバイクの耐久レースを開催しています。主催者の僕自身が参加者のみなさんと毎戦おおいに楽しませて貰っていますし、僕の大切なライフワークのひとつです。

――ところで、日本国内のみならず、ル・マンや海外各国でもごく普通のオートマチックのレンタカーを借りて、どこでも自分で運転されているとか? てっきりマネージャーさんが移動車を運転されているのかと思っていました。

青木:ビックリします?(笑) 僕にはいつものことなんですけどね。フランス在住の現地マネージャーも僕が集合場所でピックアップし、毎日僕が自走し、帰りも空港や駅まで送り届けていますよ。ペダルの部分に装着する器具を日本からいつも持参しており、それを着ければオートマチック車ならば下半身不随の僕でもペダル操作を手で行えるので、どこでも運転できます。

レーシングドライバーとしての挑戦もまだまだやりたいことはたくさんありますが、介助者なしで身体障害者がひとりで運転して、より自由に行動範囲が広げられるように、新たな運転システムの開発にも興味がありますね。

『Club des Pilotes』でトロフィーを受け取る青木拓磨。右はSRT41代表のフレデリック・ソーセ氏
『Club des Pilotes』でトロフィーを受け取る青木拓磨。右はSRT41代表のフレデリック・ソーセ氏


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