その一方、Q2までは石浦と同じながら、Q3でミディアムタイヤを選んだのが予選3番手の野尻だった。「Q3は自信を持って思い切り行くしかなかった。上位のふたりはソフトタイヤでのタイムで、僕はミディアムでのアタック。ミディアム勢の最上位につけることはできたので、満足はしていませんが最低限はクリアできたのかなと思っています」と野尻。

Q3では野尻の他に国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)、ジェームス・ロシター(KONDO RACING)がミディアムのニュータイヤでQ3に臨んだ。このもてぎで、ユーズドのソフトタイヤのデータがない中、ドライバー側がソフトタイヤの軟らかいコンパウンドよりも、硬めのコンパウンドでかっちりした乗り味を好んだ結果と言える。
今回注目された2スペックによる予選、結果からすればタイヤ選択、戦略の多様性が増し、新鮮で濃厚な内容となった。もちろん、ほとんどのチームでソフトタイヤの特性をつかんでおらず、ミディアムとのタイム差の把握も、クルマのセットアップも手探りの中で行われたことが戦略の幅を広げた大きな要因であることは間違いない。
いずれにしても、今回の2スペックタイヤで重要なのは、明日の決勝レースでどのような作用を及ぼすか。ソフトタイヤがミディアムよりも大きくタレて、今回の予選のようにドライバーやチームにオーバーテイクや戦略の選択肢が増えるような展開になれば、この2スペック目のタイヤ導入は大成功と言える。
その明日の決勝レースはドライコンディションが予想されているが、午前中は雨の予報。どのチームも燃料満タンの重いクルマで、ソフトタイヤのロングランのデータが得られないまま決勝に挑むことになりそうで、チーム&ドライバーはまた、難しい局面を迎えることになる。