34周終了時点で全車がピットストップを終え、トップ山本、続く2番手にキャシディ。優勝争い、そしてチャンピオン争いは山本とキャシディの直接対決となった。このレースで勝った方が2018年のタイトル獲得。山本、キャシディどちらにとっても負けられない状況だ。
ラップごとに差を詰めていたキャシディだったが、35周目にS字コーナーで前のマシンがコースアウトした際の砂に乗る形でマシンの挙動を乱してタイムを失い、3.5秒まで縮まっていた山本との差が再び4.8秒にまで広がった。
しかし、ソフトタイヤを装着してペースの速いキャシディは再び山本との差を埋めていき、翌36周終了時点でのふたりの差は4.2秒、さらにその翌周には3.4秒と差は縮まっていく。山本のラップタイムは1分42秒前半、対するキャシディは1分41秒後半。キャシディは、残り5周でその差2.8秒とついに3秒以内にまで詰める激しい追い上げを見せる。
残り3周でその差は1.8秒。41周目でキャシディは自己ベストを更新して山本をさらに追い上げ。その差は1.2秒。前周よりもコンマ6秒縮めたキャシディ。計算上で言えば最終ラップに山本に追いつくことになる。逃げる山本、追うキャシディ。残り2周では山本が最終シケインでブレーキングで若干挙動を乱し、タイヤスモークを上げるシーンも。
最終ラップに突入した時点で、トップ山本と2番手キャシディの差はついに1秒を切りコンマ8秒にまで縮まった。逃げる山本は最終ラップでオーバーテイクシステムを使いながら必死にトップを守る。キャシディも最後までテール・トゥ・ノーズで山本を追う。
しかし、キャシディは山本をオーバーテイクするには至らなかった。キャシディの猛追を退けた山本はレースリーダーの座を守り、トップでチェッカーを受け、43周にわたる戦いが決着。キャシディとの最終的な差は、コンマ6秒だった。2018年スーパーフォーミュラ最終戦の優勝争い、そしてチャンピオン争いをかけたふたりのドライバーによるギリギリの限界バトルは山本の勝利で幕を閉じた。
2位でレースを終えたキャシディとともに、チームメイトの山下が表彰台の最後の一角を獲得している。
激闘を制した山本は1ポイント差でキャシディを上回り、2018年スーパーフォーミュラのチャンピオンを獲得。同時にSF14最後のチャンピオンとして名を刻むことになった。
また、最終戦で2位、3位のダブル表彰台を獲得したKONDO RACINGが年間のチームタイトルを獲得。ドライバーズタイトルの座は惜しくも逃したものの、チームとして初めてトップフォーミュラの年間タイトルに輝いた。
2018年のスーパーフォーミュラはSF14最終年であったことに加え、ソフトタイヤの導入など革新のシーズン。最後までファンを魅了するチャンピオン争いを見せた劇的なシーズンは、鈴鹿サーキットで完結した。


