ニューウェイにはペナルティポイントが加算されたが、被害を受けることになった中嶋一貴は「(アクシデントの前から相手が)来たがっているのは見えていたんですけど、あそこのデグナーで入るのはどう考えても無理です(苦笑)。相手が前に出ているわけでもないので、こちらも退くわけにもいかないし無理ですよね。と、(ニューウェイに)コースサイドで伝えたら、一応冷静になったみたいで理解はしてくれました。行ける(オーバーテイクができる)と思ったみたいですが……」と相手との認識の違いの大きさに戸惑う。
石浦も開幕戦後、今回のレース内容に警鐘を鳴らす。
「レースのルールを知らないドライバーが何人かいたので、危ないですよね。セーフティカー中に後ろからインに飛び込んでくるドライバーもいたようなので(苦笑)。僕もシケインでまったくスペースがないところに飛び込んで来られて接触を受けました。ちょっと心配になるレベルでバトルをしているドライバーがいるので、スーパーフォーミュラのレベルを下げないでほしいと思います」と石浦。
レース後のペナルティも7つを数え、4度のセーフティカー導入の事実だけでなく、先ほどの高速デグナーのクラッシュだけでなく130Rでの単独スピンからの大クラッシュなど、大事故になりかねないシーンが目立った。
アグレッシブなドライバーが増え、バトルやオーバーテイクが増加することはもちろん歓迎したいし、それこそレースの醍醐味でもある。だがその反面、接触やクラッシュのリスクも増えることになる。海外からの参戦を幅広く受け入れれば受け入れるほど、ドライバーのスキルやモラルの差は大きくなることは間違いなく、それを一概に規制することは難しい。
それでも、レースとしてのクオリティだけでなくドライバーやコースサイドのオフィシャルの方たちの安全性にも関わる問題だけに、F1に参戦するにはにスーパーライセンスが必要なように今後は最低限のモラル、そしてドライバースキルの何かしらの基準は必要となるのかもしれない。SF19のパフォーマンスが高いだけにドライバーへの技術、身体への負担も増しており、夏場になればレースでの脱水や集中力低下などの点でも懸念されるポイントになる。
以上のように開幕戦はさまざまな意見が交錯するレース内容となったが、その賛否はともかく、このままでは第2戦以降も荒れたレース内容となることは必至。今回のような展開もレースのひとつと言えばそれまでだが、セーフティカーの導入タイミングやトラブル、アクシデントで勝敗が決まるようなレースではなく、やはり新時代のスーパーフォーミュラは昨年最終戦のようなトップドライバー同士のクリーンバトルで勝敗が決まるレースであることを願うばかりだ。


