29日(日)も予報に反して雨は降らず、終始ドライコンディションでのレースとなりました。曇り空だったものの気温は30度、路面温度は37度に達する季節外れの陽気の下、午後3時5分に68周のレースがスタートを切りました。

 今大会は最初の10周を終えてからスタートとは異なる種類のタイヤに交換しなくてはならないという新たな規定が加えられたため、さまざまな戦略が考えられました。

 まず、10番手スタートの小林が1周を終えていきなりピットイン。ミディアムタイヤからソフトタイヤへと交換。この10周以降の義務は終えていないため、再度のピットインが必要ながらソフトタイヤでファステストラップをマークしながら追い上げを開始しました。

 上位勢では、ポールポジションの平川はソフトタイヤで順調に首位をキープ。3周目を終えた時点では2番手に2秒差をつけました。一方、2番手グリッドの山下はミディアムタイヤでのスタートを選択。3番手グリッドの国本はスタートで出遅れ、その後1コーナーでのバトルでコースオフを喫するなど、ポジションを落としてしまいました。

ソフトタイヤのポール平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 20号車)に対し、2番手山下健太(ORIENTALBIO KONDO SF19 3号車)はミディアムをチョイスしてスタート
ソフトタイヤのポール平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL 20号車)に対し、2番手山下健太(ORIENTALBIO KONDO SF19 3号車)はミディアムをチョイスしてスタート

 4番手グリッドの中嶋も山下同様のミディアムタイヤスタート。山下と中嶋は、ソフトタイヤのライバル勢に追い上げられ、じりじりとポジションを落とすことに。しかし、8周目に2番手走行中の車両がコースオフ。セーフティカーが導入されました。

 セーフティカー走行中にタイヤ交換義務の10周を過ぎたため、山下、中嶋らは一斉にピットイン。首位平川を含むソフトタイヤの上位勢はピットに入らず、13周目の再スタートは、平川に石浦、キャシディと続くトップ3、そして坪井が6番手、小林が7番手、その後方にタイヤ交換義務を終えた山下、中嶋と続きました。

 その後は上位勢の差は開き、大きな順位の変動ないまま淡々と周回が重ねられていきました。

 2番手で平川を追い、20周目過ぎからはじりじりと差を詰めていた石浦でしたが、33周目、タイヤのトラブルに見舞われ緊急ピットイン。タイヤを交換して周回遅れでコースに復帰しましたが、更なるトラブルのため、戦線離脱を余儀なくされてしまいました。

 石浦がいなくなって2番手に浮上したキャシディは、首位平川を猛追。その差を詰めていきました。

 51周を終えたところで小林がタイヤ交換義務消化のためにピットイン。新しいソフトタイヤに交換した小林は次々に前車をパスし順位を取り戻して行きました。

 キャシディは57周目に平川をようやくパスし首位に浮上。猛烈なペースで後続との差を拡げ始めました。しかし、レースはセーフティカー走行の影響もあり、予定の68周を終える前に1時間半で終了するタイムレースとなることがほぼ確定。残り10分を切って59周を終えた平川、続いて60周を終えたところでキャシディがピットイン。キャシディは小林の前でコースに復帰しました。

 キャシディはさらなるポジションアップを目指し、小林と実質5番手を争って激しいバトルを展開。しかし、63周目のリボルバーコーナー進入でインをつこうとしたキャシディが縁石に乗り上げてスピン。幸運にもコースアウトはせず、レースへは復帰しましたが、ポイント圏外の11番手へとポジションを落としてしまいました。

国内トップフォーミュラで初勝利を飾った山下健太(ORIENTALBIO KONDO SF19 3号車)
国内トップフォーミュラで初勝利を飾った山下健太(ORIENTALBIO KONDO SF19 3号車)

 残り3分を切って首位の車両がタイヤ交換義務消化のためにピットイン。これで山下が首位に立ち、そのままチェッカー。トップフォーミュラに参戦して3年目の若き山下が、キャリア初勝利を飾りました。この勝利で山下はランキング8位から4位へ急浮上。首位との差も8ポイントとし、最終戦でのタイトル争いに加わることとなりました。

 2位には中嶋が続き、トヨタ勢がワン・ツー・フィニッシュ。4位争いを繰り広げていた小林はファイナルラップで他車と接触しコース上にストップ。大嶋が8位でポイント獲得を果たしました。

■コメント
KONDO RACING 3号車 山下健太

スーパーフォーミュラ初勝利を挙げた山下健太(ORIENTALBIO KONDO SF19 3号車:中央右)、2位の中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM'S SF19 36号車:左)
スーパーフォーミュラ初勝利を挙げた山下健太(ORIENTALBIO KONDO SF19 3号車:中央右)、2位の中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM’S SF19 36号車:左)

「長かったです。参戦3年目なんですが、なかなか勝てなかったので、本当にほっとしたという感じです。今年からクルマが新しくなって、僕らはQ1を通るのにすごく苦労してきました。チームがすごく頑張って色々解析してくれたこともあって、今大会で1段階クルマが良くなり、上位争いができるようなクルマにしてくれました」

「本当にチームのおかげです。戦略的には、トップと同じ作戦では勝てないと思ってミディアムスタートを選択しました。セーフティカーが絶好のタイミングで出てくれるなど、運もあったと思います。なかなか勝てないなか、ずっと支えてくれた監督やチームに感謝しかありません」

「こうして勝つことができて、ようやく次のステップに行けるような気がします。これでチャンピオン争いにも少し加われるみたいなんで、次の鈴鹿も頑張ります」

VANTELIN TEAM TOM’S 36号車 ドライバー 中嶋一貴

2位表彰台を獲得した中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM'S SF19 36号車)
2位表彰台を獲得した中嶋一貴(VANTELIN KOWA TOM’S SF19 36号車)

「僕もヤマケン(山下健太)同様、今年はQ1を通るのに苦労してきました。今週、金曜の走り出しはあまり良くなかったんですが、金曜から土曜にかけて変えたことが良い方向にいったのか、ミディアムでも戦える速さがあって、予選で前に行くことができました」

「結果的には予選のポジションがレースでの結果に直結した感じなので、少し悔しくもありますが、ここまでずっと苦労してきたので、まずはある程度の結果が出せてほっとしています。ただ、いつもなんとなくヤマケンが前にいるような気がするので、次の最終戦は負けないように頑張ります」

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