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投稿日: 2023.05.22 13:45

P.MU/CERUMO・INGING 2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 決勝レポート

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スーパーフォーミュラ | P.MU/CERUMO・INGING 2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 決勝レポート

INGING MOTORSPORT
SUPER FORMULA 2023
P.MU/CERUMO・INGING
RACE REPORT
第4戦 オートポリス

2023年5月21日(日)決勝
天候:晴れ 路面:ドライ

#38 坪井翔
決勝:3位
#39 阪口晴南
決勝:リタイア

 5月20日(土)の公式予選では、坪井翔が自身にとって嬉しいキャリア初のポールポジションを獲得、阪口晴南も復調の3番手と、第4戦オートポリスの予選日は午前のフリー走行での不調から見事なリカバリーをみせて上位を占め、喜びに沸いたP.MU/CERUMO・INGING。これを決勝レースでのワン・ツーに繋げるべく、チームは快晴に恵まれた5月21日(日)に向け準備をしっかりと整えていった。

 奇しくもこの日は、坪井の誕生日でもある。もちろん目指すはバースデーウインだ。決勝レースに向け、まずは10時から行われた30分間のフリー走行に臨んだ。

PRACTICE フリー走行

5月21日(日) 10:00〜10:30 天候:晴れ 路面:ドライ
ベストタイム #38 坪井翔 1’30.328/#39 阪口晴南 1’32.197

 第4戦の舞台であるオートポリスは激しいアップダウンはもちろん、路面が非常に荒く、タイヤの摩耗は日本でも最も厳しいコース。決勝レースで好結果を残すためには、なるべくタイヤを守りつつ、かつ高いペースでラップを重ねていきたい。そのためのセットアップをしっかり煮詰めていくことが、このオートポリスでは他のコースと比較してもレースでは重要となる。

 風があることから気温は13度と涼しかったものの、日射しがあり路面温度は31度と高めのコンディションのなか行われた10時からのフリー走行では、坪井、阪口ともにセッション開始とともにコースイン。坪井はまず一度ピットに戻り、その後7周目に再度ピットへ。途中、スピン車両などが発生したものの、赤旗中断はなく、一度のピットインのみで継続してセットアップを修正していった。

 坪井は3周目に1分30秒328というベストタイムを記録した後、コンスタントに1分31秒台のタイムをマーク。決勝に向けた手ごたえを得ていった。ただ、2番手スタートの#15リアム・ローソンは坪井よりもややペースが良い。決勝に向けやはりマークすべきは#15ローソンであることを感じさせた。坪井はこのフリー走行を2番手で終えている。

 一方、阪口は2回のピットインをこなした後、連続周回に入っていき、10周目に1分32秒197というベストタイムをマークした。順位としては20番手で、ラップタイムは1分32秒台がほとんど。坪井とはやや差がある状況だった。

 坪井、阪口ともにこのフリー走行で得たデータをもとに、さらなるペース改善を目指すべく、ピットウォーク等のスケジュールをこなしながら、短いインターバルの間セットアップの改善に取り組み、決勝レーススタート前の8分間のウォームアップ走行を使い、セットアップを最終確認した。

2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)
2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)

RACE 決勝レース

5月21日(日) 15:00〜 天候:晴れ 路面:ドライ
ベストタイム:#38 坪井翔 1’30.164(27L)/#39 阪口晴南 1’31.683(16L)

 15時からの決勝レースは、気温23度/路面温度38度というコンディションで迎えた。初めてのポールポジションからのスタートとなった坪井だが「思っていたよりも緊張はしなかった」と、程よい緊張感とともにレースに臨んだ。

 スタートでは坪井が好発進をみせる一方、最大のライバルとも見ていた2番手の#15ローソンがやや伸びない。逆に、3番手から得意のスタートを決めてみせたのは阪口だ。一気に坪井に並びかけ、P.MU/CERUMO・INGINGの2台が先頭に並んで1コーナーへ突入する。イン側の坪井がトップを守ったが、チームにとっては首位に坪井、2番手に阪口と続く願ってもない展開となった。

 ただ坪井は序盤から、いまひとつフィーリングが良くなかった。2番手の阪口も同様だったものの、中高速コースであるオートポリスは前走車の空気の乱れの影響が大きく、#15ローソンもなかなか阪口に接近することができず、その間に坪井は少しずつ差を広げていくことに成功した。

 そんな流れに業を煮やしたか、#15ローソンはピットウインドウがオープンしてすぐの13周目にピットに入り、アンダーカットを狙ってきた。当然、2番手の阪口もこれに対応するべく、14周目にピットインを行うが、#15ローソンのペースが速い。ピットアウトした阪口の鼻先をかすめるかのように1コーナーへアプローチしていき、阪口はピット作業をこなしたなかでの2番手に順位を落としてしまった。

 そんななか、#15ローソンの前方にはまだピットインを行っていない下位グループが近づいてきた。これを#15ローソンは処理していくが、その間にトップの坪井はペースを上げたいところだった。しかし、中盤以降坪井は少しずつペースが苦しくなってしまう。#15ローソン、阪口のピットインにともない2番手に浮上していた#37宮田莉朋が坪井の背後に接近してきてしまい、#15ローソンとの間に築いておきたい差も足りなくなってしまった。

 坪井はたまらず25周目にピットインを行い、チームは6.3秒の作業で送り出したが、#15ローソンがやはり坪井を先行してしまった。とはいえ、これで諦めるわけにもいかない。#15ローソンに対し、坪井のタイヤはフレッシュ。これを活かし、27周目には自己ベストタイムをマークし#15ローソンに肉迫した。

 一方の阪口はピットアウト後#5牧野任祐を従え、表彰台を狙う戦いを展開していた。しかし27周目、#5牧野との間にピットアウトしたばかりの#53大湯都史樹が急接近。28周目、ジェットコースターストレートと呼ばれる下り坂で阪口にバトルを挑んできた。

 阪口はきっちりインを守り、ターンインに備えていたが、予期せぬタイミングで#53大湯が左リヤにヒットしてきた。幸い阪口はコースに留まることができたが、左リヤホイールにダメージを負い緊急ピットインを強いられ、さらに翌周にはダメージの影響でリタイアを強いられてしまう。#53大湯はグラベルにストップし、その後危険なドライブ行為としてペナルティを受けた。

 このアクシデントでレースはセーフティカーが導入されるが、これが坪井にも悪い流れとなってしまった。#15ローソンへの追撃に水を差されてしまったばかりか、セーフティカー中にピットインした#37宮田に再開後の38周目にオーバーテイクを許してしまったのだ。

 これで坪井の順位は3番手となり、さらに後方からは#3山下健太や#20平川亮が接近してきた。坪井はこれをなんとか退け3位でフィニッシュしたが、強力なレースペースと良い流れがあれば届いていた優勝を逃す結果となった。坪井とチームにとっては、今季コンスタントに表彰台を得ていることで自信には繋がったが、一抹の悔しさも残った。

2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)
2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)

#38 坪井翔

「昨年までは表彰台すら遠い存在でしたが、今回3位を悔しいと思えるくらい成長できたのかなと思っています。決勝レースに関しては、少しペースが足りなかったですし、セーフティカーのタイミングも最悪でした。今回レースペースが遅かった理由をしっかり見つけなければならないと思っています」

「とはいえ、今季は速さがやっと出てきて、ライバルのトップチームと戦える良い兆しが見えているのはすごくポジティブです。次戦はスポーツランドSUGOでのレースとなりますが、良い流れが来ていると思いますし、あとひとつ歯車が噛み合えば優勝も見えてくると思うので、こういったレースを今後も続けられるようにしていきたいなと思っています」

2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)
2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 坪井翔(P.MU/CERUMO・INGING)

#39 阪口晴南

「スタートでワン・ツーになったときには個人的にも気持ちが沸き立ちましたし、チームも盛り上がったのではと思います。そこからはレースを支配できていたものの、僕のペースがピットに入るか、入らないかの判断を迫られるあたりから落ち出してしまい、難しい状況になりました。ちょっとずつペースが落ち出しているので、そこは直さなければいけないところだと思います」

「とはいえ、今回ニュータイヤでタイムが出ているようになっているのは前進なので、今回のように常に上位で走れるようにしていきたいですね。接触自体はすごく残念ですし、僕としてはどうしようもなかったところなので、チームには申し訳ないですが、そこは切り替えていきたいです」

2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)
2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 阪口晴南(P.MU/CERUMO・INGING)

立川祐路 監督

「序盤はワン・ツーと非常に良い展開でしたが、その後はロングランのペースの面で少し負けていましたね。そんななかでもチームとして精一杯やってきました。3位はポールポジションから考えると残念な結果かもしれないですが、今季坪井選手はずっと表彰台圏内でのレースをしているので、これを毎回続けていけば勝つチャンスも出てくるし、『3位で残念だ』と言えるのは、逆に言えば非常に良い状況だと思うので、またリベンジしたいと思います」

「阪口選手も良いレースをしてくれましたが、接触は残念のひと言ですね。非はないと思います。阪口選手も良くなってきているので、次戦きちんと結果を残しにいきたいと思います。皆さん応援ありがとうございました」

2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 立川祐路監督(P.MU/CERUMO・INGING)
2023スーパーフォーミュラ第4戦オートポリス 立川祐路監督(P.MU/CERUMO・INGING)


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