2023 AUTOBACS SUPER GT Report
MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL
第8戦 モビリティリゾートもてぎ
ZENT CERUMO GR Supra
#38 立川祐路／石浦宏明
◆11月4日（土） QUALIFY
公式予選結果 12位
4月に岡山県の岡山国際サーキットで開幕した2023年のSUPER GTは、多くのドラマを経ていよいよ最終戦を迎えた。『MOTEGI GT 300km RACE GRAND FINAL』と題された第8戦の舞台は、栃木県のモビリティリゾートもてぎだ。
そしてTGR TEAM ZENT CERUMOにとっては、大きな意味をもつ一戦となった。8月の第4戦富士を前にSUPER GTからの引退を表明した立川祐路にとって、泣いても笑ってもこれがラストレース。1999年から長きに渡ってチームを支えてきた男の最後の戦いとなる。立川がサーキット入りした11月3日（金）から取材や撮影が相次ぎ、立川は忙しさのなかで最終戦のレースウイークをスタートさせた。
迎えた11月4日（土）の予選日、モビリティリゾートもてぎは早朝から濃霧に包まれ、一時コンディションが心配されたが、次第に霧は晴れ午前9時25分からの公式練習はオンタイムでスタートした。ZENT CERUMO GR Supraは、まずは立川がステアリングを握りコースイン。最後のSUPER GTの走りを噛みしめるように、それでいてしっかりと午後の公式予選に向けて感触を確かめながらピットアウト〜インを繰り返していく。
立川は18周をこなし1分38秒734というタイムを記録し、石浦宏明にZENT CERUMO GR Supraのステアリングを委ねた。ただ、ZENT CERUMO GR Supraはフィーリングは良いものの、いまひとつ良いタイムが出てこない。この頃にはモビリティリゾートもてぎの上空には青空も広がり、気温もグングンと上昇。石浦は精力的に14周を周回すると、チェッカー周に1分38秒207を記録。公式練習を14番手で終えることになった。石浦も立川と同じフィーリングで、やはり一発のタイムが出ない。
公式練習後、メインストレート上では立川の引退を記念したセレモニーが行われ、石浦から花束を受け取った立川は万感の思いでTGR TEAM SARD脇阪寿一監督がドライブするレクサスLC500コンバーチブルに乗り込み、詰めかけたファンに感謝の思いを伝えると、家族が振るチェッカーフラッグを受けた。
しかし、まだ感傷的な気分に浸りきるのは早い。午後2時20分からスタートした公式予選で、ひとつでも前のグリッドを得るべくTGR TEAM ZENT CERUMOは気持ちを切り替え臨んだ。午後2時53分からスタートした公式予選Q1に臨んだのは石浦だ。
立川にバトンを繋ぐためにも、ファンの期待に応えるためにも大きなプレッシャーと戦うことになった石浦だが、気温23度／路面温度29度というコンディションのなか、慎重にタイヤをウォームアップさせると、5周目に1分36秒756というタイムを記録した。午前の公式練習から得られた改良を施したZENT CERUMO GR Supraの手ごたえは改善方向に進んでいた。
しかしライバルたちが続々とタイムを更新していくなか、ZENT CERUMO GR Supraのポジションは次々と下がっていってしまい、終わってみれば12番手。超僅差のなかではあったが、Q2進出はならなかった。
これでZENT CERUMO GR Supraは、11月5日（日）の決勝レースを12番手からスタートすることになる。立川にとっては最後のSUPER GTでのレースだ。TGR TEAM ZENT CERUMOはひとつの悔いも残さぬよう、決勝日に向けて準備を進めていく。
ドライバー／立川祐路
「午前の公式練習から、フィーリングとしては悪くないのですが、タイムがいまひとつ出ない状況が続いていました。感触に対してなぜかラップタイムが良くなく、公式予選に向けていろいろとクルマのセットアップを進めていきましたが、残念ながら12番手という結果となりました。今日の僕たちの実力があの位置だったということだと思います。そして今日は僕の引退セレモニーをしてもらいましたが、今まで長い間SUPER GTで戦ってきて良かったな、と思える一日になったと思います。いよいよ明日がSUPER GTという舞台で戦う最後になると思いますが、最後まで全力で追い上げるレースをできたらと思っています。最後の1周まで、ぜひ応援よろしくお願いします！」
ドライバー／石浦宏明
「公式練習の専有走行からニュータイヤを履きアタックを行ったりしていましたが、トップとは1.6秒の差がありました。また午前から少しストレートスピードが苦しい状況があったのですが、TCDさんの協力もあり、予選ではかなり解消されていたので、そこは本当にありがたかったですね。予選ではコースインして、クルマのセットアップを変更してきたことと、ラバーが乗ってきたことで良い手ごたえを感じてはいましたが、周囲もラップタイムが上がっており、0.2秒ほどQ2進出には足りませんでした。午前に比べると上位との差は縮まってはいますが、少し足りませんでしたね。大事なのは明日ですし、どうやって追い上げるかだと思います。明日はスタートドライバーを務めますが、立川選手と戦う最後のレースになります。チーム全員がベストを出し切るr−スにしたいと思っています」
村田淳一監督
「午前の公式練習から上位に対して少し差をつけられてしまっていましたが、予選までにチームが頑張ってくれてかなり差を縮めることができました。ただいまひとつ足りなかったですね。昨年ももてぎではGR Supra勢が予選で下位に沈む状況になっており、その中に入ってしまったのが残念なところです。立川選手の予選ラストアタックをできず、申し訳なく思っています。決勝レースに向けてはこのところペースが向上しているので、引き続きエンジニア、ドライバーと話合ってもらい、しっかりと準備したいと思っています。立川選手のラストランをしっかりと締めくくってもらい、我々の来季のレースに向けて弾みがつくよう、頑張っていきたいと思います」
