レース1時間経過を前にした30周目に、トップ10圏内を窺っていた16号車ARTAが最初のピットへ向かうと、続く周回で12号車MARELLI IMPUL Z、さらに37号車と次々にルーティン作業に入っていく。ここで34周目に飛び込んだ8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTだけが、作業静止時間45秒でドライバー交代を行って野尻智紀へスイッチする。

 続く17号車Astemo、100号車STANLEYもそれぞれ35周目に41.2秒、36周目に46.0秒でドライバー維持のままダブルスティントへ。一方で、ちょうど1時間経過の39周目で飛び込んだ23号車MOTUL AUTECH Zは、ロニー・クインタレッリに交代して48.7秒でピットを後にするなど、各陣営で判断が分かれていく。

 その差が出た格好か。41周目にはダブルスティントの17号車塚越がアウトラップを終えた23号車クインタレッリを捉え、ターン1でポジションを取り戻す。その間にもルーティンを終えた38号車KeePer、36号車auも、ともに石浦宏明、山下健太がステアリングを引き継いでいく。

 全15台が最初のピットを終え、ファーストスティント序盤のトップ3に戻った先頭集団は、首位をいく3号車Niterraの高星が44周目に1分29秒559とここへきてファステストを更新する速さでギャップ拡大を目指す。翌ラップには17号車Astemoも1分29秒973と反応して自己ベストを更新するも、その差は50周時点で約15秒にまで拡大する。

 時刻は15時を回っても路面温度は40度を維持するなか、55周目にはふたたび1分29秒810へと自己ベストを更新した17号車Astemoに対し、3番手の23号車MOTULはジリジリとペースが落ち始め、8号車ARTAを駆る野尻が背後に迫る。

 63周目の100Rではテール・トゥ・ノーズで追走するさなかにGT300クラスと交錯し、一瞬バランスを乱す危うい場面も潜り抜けながら、70周を過ぎたところでついにポジションを奪取。今度はバックマーカーの混走条件も活かし、ターン1で表彰台圏内に入っていく。

 ここから最後のルーティンピットを迎え、平峰一貴にスイッチした12号車MARELLIを皮切りに、続くラップで17号車Astemoは塚越から太田へとバトンタッチ。そして76周目にピットレーンへ向かった首位の3号車Niterraは高星から三宅へと交代し、47.9秒の静止時間でコースへと戻っていく。

MARELLI IMPUL Z
2024スーパーGT第2戦富士 MARELLI IMPUL Z(平峰一貴/ベルトラン・バゲット)

 そして78周目には23号車が、続く周回で8号車がともにドライバー交代を敢行し、スタートドライバーの千代と松下がふたたびドライバーズシートへ。ここで前者が42.9秒だったのに対し、後者は49.2秒の静止作業時間となり、先にアウトラップを終えた千代が1分29秒878の自己ベストも刻むラップで8号車の攻略に成功。80周目のヘアピンでピットアウト直後のシビックを抜き去り、ニッサン陣営がふたたびのワン・ツー体制を取り戻す。

 終盤90周の時点で3番手の8号車ARTAと4番手17号車Astemoの差が0.812秒へと詰まり、ここから2台の熾烈な表彰台争いが勃発。94周目から複数周回にわたってコース全域でサイド・バイ・サイドを繰り広げ、最終コーナーをスライドで立ち上がりながらも先輩に挑んだ17号車太田だったが、ラインクロスから要所を閉めるARTA松下が古巣の後輩を巧みに封じていく。

ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8とAstemo CIVIC TYPE R-GTのバトル
2024スーパーGT第2戦富士 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #8とAstemo CIVIC TYPE R-GTのバトル

 そのまま103周目には100Rからの脱出で果敢な挑戦を見せた太田も、ヘアピンで止まり切れずにオーバーシュートし、惜しくも4番手のまま……かと思われた運命の110周目。最終コーナーを立ち上がった3番手松下のシビックは力無くスローダウンしピットエントリーへ。ここへ来てまさかのミッショントラブルで、開幕戦の雪辱を果たせぬままレースを終えてしまう。

 首位を行く3号車Niterraの三宅は、高星から受け取った20秒以上のマージンを活かしつつ、悠々のクルージングでGT500初優勝を達成。2位には23号車MOTULの千代が続き、ニッサン/NMCが盤石のワン・ツー・フィニッシュ。3位には17号車Astemoが続き、奮闘報われた太田と塚越も表彰台に登壇する結果となった。

 さらに4位にはコース上ではもちろん、ピット作業のたびにジリジリとポジションを上げ、坪井に繋いだ最終スティントでは5番手まで浮上していたチャンピオン、36号車auが46kgのサクセスウエイトを搭載しながらポディウム目前まで迫る好走を披露。同じく最終スティントの大湯が12号車MARELLIを仕留めた38号車KeePer CERUMOの続くトップ5となっている。

 新規定のもとで開幕2戦を終えた2024スーパーGTの次戦は、約1カ月後の6月1~2日に三重県の鈴鹿サーキットで開催される『SUZUKA GT 3Hours RACE』だ。この第3戦は大会名からもわかるとおり、今戦と同じく3時間のタイムレースとなっている。

Niterra MOTUL Z
2024スーパーGT第2戦富士 チェッカーフラッグを受けるNiterra MOTUL Z(高星明誠/三宅淳詞)
2024スーパーGT第2戦富士 GT500クラスを制した高星明誠と三宅淳詞(Niterra MOTUL Z)
2024スーパーGT第2戦富士 GT500クラスを制した高星明誠と三宅淳詞(Niterra MOTUL Z)
2024スーパーGT第2戦富士 GT500クラスの表彰式
2024スーパーGT第2戦富士 GT500クラスの表彰式

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