更新日: 2024.12.09 21:50
ホンダ/HRC 2024スーパーGT最終戦鈴鹿 レースレポート
Astemo シビック・タイプR-GTが僅差で2位。
STANLEY シビック・タイプR-GTのタイトル奪取はかなわず
12月7日(土)、8日(日)に鈴鹿サーキット(三重県)で2024年度スーパーGTシリーズ第5戦『SUZUKA GT 300km RACE GRAND FINAL』が開催され、GT500クラスに5台のシビック・タイプR-GT、GT300クラスに1台のNSX GT3が出走しました。このラウンドは8月に開催予定でしたが台風の影響で延期され、シリーズ最終大会として実施されました。シリーズ規定に則り、GT500クラスはサクセスウエイトが全車0kgにリセットされての最終決戦となりました。
最終戦を前にシリーズチャンピオン争いは4台に絞られ、ホンダ勢では100号車STANLEY シビック・タイプR-GT(山本尚貴/牧野任祐)がトップと18点差の総合ランキング2番手につけて可能性を残していました。100号車が逆転王座を獲得するためには、決勝レースでの優勝が絶対条件。その上で、トップの36号車GR Supraが予選3番手以下、決勝でも7位以下で終える必要があり、厳しい状況でレースウイークを迎えました。
悪天候が続いたシーズン終盤戦とは打って変わって、12月の鈴鹿サーキットは好天に恵まれました。土曜日に行われた公式予選、逆転タイトルに向けて少しでもポイントを稼ぎたい100号車でしたが、5番手に終わりポイント獲得はならず。その一方で、タイトルに王手をかけていた36号車GR Supraがポールポジションを獲得し、選手権ポイントを3点追加。100号車の逆転の可能性は消滅し、36号車のチャンピオンが確定しました。2番手には17号車Astemo シビック・タイプR-GT(塚越広大/太田格之進)、6番手に16号車ARTA MUGEN シビック・タイプR-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)がつけました。
8日(日)は空に薄く雲が広がり、気温13℃、路面温度21℃と前日より冷え込むなか、12時50分に決勝レースが始まりました。スタートで17号車(塚越)は2番手を守り、100号車(山本)は3番手にポジションを上げて36号車GR Supraを追う展開となりました。ところが10周目、17号車(塚越)が周回遅れのGT300車両をオーバーテイクしようとしたところで接触してしまい、5番手まで後退します。
ここで2番手に上がった100号車(山本)は、17周を走ってドライバー交代のためピットイン。しかしタイヤ交換作業に手間取ってしまい、18周目にドライバー交代を行った17号車(太田)が再び先行します。GT500クラス全車がピット作業を終えた段階で17号車(太田)は、36号車GR Supraと3号車Zに続く3番手へ順位を上げていました。その後、31周目にフルコースイエローが宣言され、解除される際に3号車Zがスピンしたため、17号車(太田)が36号車GR Supraを追う展開となりました。
17号車(太田)は終盤、36号車GR Supraとの差を約1秒まで詰めて、オーバーテイクのチャンスを探ります。レース残り4周となった48周目のシケインで果敢にインに飛び込みましたが、勢い余ってオーバーラン。順位を変えることはできませんでした。
レースはそのままフィニッシュを迎え、17号車が2位、100号車が4位、16号車が5位に入賞。8号車ARTA MUGEN シビック・タイプR-GT #8(野尻智紀/松下信治)は12位、64号車Modulo シビック・タイプR-GT(伊沢拓也/大草りき)は13位でチェッカーを受けました。
この結果、ドライバーズランキングでは100号車(山本/牧野)が2位、9位に8号車(野尻/松下)、10位に17号車(塚越/太田)と3台がトップ10入りを果たしました。
佐伯昌浩
「今シーズンは新型車両であるシビック・タイプR-GTを投入し、最終大会までシリーズチャンピオン争いができましたが、残念ながら届きませんでした。今回のレースでもそうですが、今シーズンはシビック・タイプR-GT勢全体として順位がバラつく傾向がありました。各チームが新型車両の使い方をそれぞれ工夫してくれましたが、天候に恵まれなかったこともあって十分に走らせることができず、落ち着いたレースができなかった感じがします。来年は今年のデータを基にシビック・タイプR-GTの熟成を進めて、各チームの工夫をいい方向で収束させ、全体で戦闘力を発揮できるように体制を整えてチャンピオンを目指します。引き続き応援をよろしくお願いします」
塚越広大 Astemo REAL RACING
「今週は走り出しから調子がよく、フリー走行でトップタイムを出せるほど順調でした。予選ももう少しでポールポジションが取れたと思うので心残りでした。決勝では36号車が速く、最初に仕かけられませんでしたが、それでも追いかけることはできました。ただ、GT300クラスのマシンとラインが交錯し、ポジションを下げてしまったので申し訳なく思っています。ロスを最小限にとどめて太田選手に引き継ぐことができ、彼もいい走りをしてくれたおかげで2位になれました。2位はよかったのですが、やっぱり勝ちたかったです」
太田格之進 Astemo REAL RACING
「ペースはすごくよくて、優勝を狙えるだけの力はあったので残念です。ただ、全力で戦い、私のスティントではポジションを3つほど上げられたので、やれることはすべてやったと思います。レース終盤、36号車とずっと同じような間隔で走っていて、自力ではこれ以上は近づけないという感じはしていたので、あの瞬間を逃さずにインに飛び込みました。勝てなかったとはいえ、いいレースができたと納得しています」