本来、セーフティカーが入る前にピットインしていれば、その分取り分が大きく、レースを有利に運べるのが定説だ。ただ、土屋監督、河野エンジニアは興味深い解説をした。実はこのSUGOはコース距離が短く、一度ピットインしてしまうと、周回遅れになってしまう。そのため、SCが出るとトップの車両を抑えるため、周回遅れが挽回できなくなってしまうというのだ。実際、これでポルシェ勢もロスを喫している。
2回目のセーフティカー明け、VivaC 86 MC、GAINER TANAX AMG GT3、グッドスマイル 初音ミク AMG、さらにSYNTIUM LMcorsa RC F GT3らもピットインした。ただ、「BS勢はチョイ濡れが苦手だから、早めには入れられなかったんじゃないかな(河野エンジニア)」とLEON AMG、JMS RC Fらはピットに向かわなかった。実際、乾きつつあったグリッドで最後までウエットを着けていたのはBS勢だった。この時点でBS勢の2台は、この後もう一度SCが出てしまったため、“セーフティカーの後にピットインする”という順位を落とすセオリーどおりになってしまう。
さて、一度目のSC明けに入ったメンバーは、ピットイン後にVivaC 86 MC、素早い作業を終えたGAINER TANAX AMG GT3、やや作業に時間がかかったグッドスマイル 初音ミク AMGという順番でコースに復帰する。ただ、JAF-GT勢は車重が軽い分タイヤの温まりが悪く、グッドスマイル 初音ミク AMGに先行されるが、この直後、グッドスマイルとVivaCはLEON CVSTOS AMGに先行された。そして、この時点で植毛GT-Rのクラッシュにより、このレース3回目のセーフティカーが導入されたのだ。位置関係にするとこうなる。
#11-#65-#4-#25
当然、セーフティカーはGT300のトップであるLEON CVSTOS AMGを先頭にする。ここで、グッドスマイル 初音ミク AMG、VivaC 86 MCとGAINER TANAX AMG GT3の間に1周の差ができてしまったのだ。その後、LEON CVSTOS AMGとJMS P.MU LMcorsa RC F GT3がピットに向かい、GAINER TANAX AMG GT3があっさりと首位に立った。「ウチがまるまる得してしまった」と福田エンジニア。
では、50号車Ferrari 488 GT3はなぜポジションを上げたのか。Ferrari 488 GT3は、2回目のセーフティカー明けの翌周にピットに入っている。そして、作業をしているうちに3回目のセーフティカーが入り、集団がスローになったため、GAINER TANAX AMG GT3と同様、その時の首位だったLEON CVSTOS AMGの前に出たのだ。まさにタイミングとしては“ドンピシャ”だった。
