フォーラムエンジニアリングの佐々木大樹も、そのチャンスを虎視眈々と狙う。
「タイはこの3年、ずっと調子は良いいのですが、去年は予選Q1で落ちてしまったり、一昨年はエンジントラブルで走れなかったり悔しい思いをしていますけど、それまでの練習走行などでは常にトップ3に入る速さがありました。自分も得意としているコースなので、すごく自信を持って臨むことができます」と、佐々木。
「J-P(デ・オリベイラ)さんもこのコースですごく速いですし、タイヤもこのタイを得意にしている。いろいろな要素がそろっていますので、今年は自分たちにチャンスはあると思っています。ライバルは19号車(WedsSport)、そしてレクサス陣営もウエイトハンデが軽くなるので(第7戦のタイはウエイトハンデ係数がこれまでのポイント×2kgから、今回は×1kgと半減)、何台かは上位に来ると思いますが、トップを争える速さはあると思います。まずは予選で5番手以内に入ることができればチャンスがあると思います」と続ける。
ヨコハマタイヤだけでなく、ミシュランタイヤもこのタイでは実績がよく、ランキングトップのMOTUL GT-R(ウエイトハンデ59kg)、そしてS Road CRAFTSPORTS GT-Rがどのようなパフォーマンスを見せるのか。特にS Road GT-Rはウエイトハンデも23kgと軽く、優勝候補のひとつ。先日、スーパーフォーミュラでSUGOテストを終えたばかりの本山哲に聞いた。
「(スーパーフォーミュラのテストでは1分6秒544のタイムをマーク)予選みたいにプッシュはしていないけど、セットアップを詰めれば1分5秒台に行けそうな手応えがありました(直前のSUGO戦の予選Q1トップタイムは1分5秒891)。まだまだイケるのかなと思った。2時間のセッションを走って首だけはさすがにきつかったけど(苦笑)、体はそれ以外は大丈夫だった。機会があったらもう一回テストにも乗りたいし、来年のレギュラー参戦にも興味が出てきました」と、復帰への意気込みを語るほど手応えを感じた本山。フォーミュラからハコへとマシンは変わるが、今週末へも強い自信を持つ。
「タイのサーキットは1年目に走った時から自分の感覚と合うサーキットだった。去年はタイヤのセレクトを外して路面コンディションと合わなかったけど、今年はそんなに大きく外すこともないだろうし、雨とかアクシデントとかがなければ、2位以上は狙えるベースのパフォーマンスはあると思っています」
ヨコハマ、そしてミシュラン、タイを得意とするタイヤバトルの次に見どころとなるのが、シリーズランキングトップ争い。特にレクサス陣営内の戦いは複雑だ。ランキングトップのMOTUL GT-Rよりは最低でも上の順位で終えなければタイトル争いは苦しくなり、その中で同じレクサス陣営内の戦いにも勝たなければ最終戦で優位な戦いをすることができない。まさに外にも内にも敵がいる状態で、最終戦を待たずにひと足早く、仁義なきメーカー内バトルが勃発する可能性がある。
KeePer TOM’S LC500と同じく、48ポイントでレクサス陣営トップのWAKO’S 4CR LC500の大嶋和也が語る。
「ニスモ(MOTUL GT-R)とは結構、ポイント差も開いているので(11点差)、ただニスモより上に行くだけでなく、優勝を狙っていかないといけないと思っています。ヨコハマとかミシュランのタイヤがとんでもないポテンシャルがあったら手が付けられないですけど、同じレクサス&ブリヂストン勢には負けないと思っていますし、今回はまわりとのウエイト差も少ないのでチャンスがあると思っています」
