●パターンB:スリックスタート/1ストップ組

主な採用車=D’station Porsche、B-MAX NDDP GT-Rなど

 パターンBは、ある意味でギャンブルと言えるスリックタイヤでのスタート。ちなみに序盤の5~6周は、スリック組はコースに留まるのが精一杯……というようなペースで周回を重ねていた。手元で確認したところではスリック組はD’station Porsche、GULF NAC PORSCHE 911、Studie BMW M6、30号車TOYOTA PRIUS apr GT、VivaC 86 MCといったところだったが、そのなかで図抜けたペースだったのが、D’station Porscheのスタートドライバーを務めたスヴェン・ミューラーだった。

 ミューラーはポルシェのファクトリードライバーだが、このウエットのなかでのペースは圧倒的。RRのポルシェはトラクションに優れるとはいえ、序盤、GT500でスリックスタートを選択したWedsSport ADVAN LC500をオーバーテイクするシーンも見られている。実は、チームの武田敏明監督はグリッドではウエットを想定していたが、“鶴のひと声”でスリックを推したのは、まさかの“大魔神”佐々木主浩総監督だという。

「野球でも競馬でも、世界を相手に戦ってきた勝負師の勘でしょうかね」というのは藤井誠暢。これでD’station Porscheはスリックスタートとなったが、ミューラーがスリック組のなかでも最も速いペースで走り、序盤のウエット組との差を1分程度に留め、路面が乾いてからハイペースでギャップを削ったことで勝機が出てきた。

 チームは佐々木総監督のスリックのチョイスで作戦を変更。ミューラーをペースが落ちるまで引っ張り、藤井に交代する作戦を採った。本来であれば、二輪交換等の作戦を採ればさらに優勝のチャンスもあったが、手持ちのタイヤの関係でそこはギャンブルには至らず。藤井が履いたタイヤも組み合わせ的に苦しいものだったが、さすがの技でARTA BMW M6 GT3のショーン・ウォーキンショーの追撃を許さなかった。

 D’station Porscheが示したとおり、この作戦のポイントはスリックでいかにウエット路面を速く走り、タイムロスを最小限にするかだった。これに失敗してしまったのはVivaC 86 MCで、軽い86 MCではさすがに厳しく、連覇の可能性もこれで消滅してしまった。

 VivaC 86 MCはなぜこの作戦を採ったのか。土屋武士監督に聞くと「グリッドでチームメンバーの多数決をとった」というから驚きだ。「グリッド位置から言っても、上位と同じ戦略を採ってもダメだし、みんなで決めたことだから後悔はない。でもあと少し早く乾いてくれていれば」と土屋監督。

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