昨年施したトランスアクスル化によって、BRZは車重バランスが最適化され、リヤのスタビリティが強化された。これにより2017年第5戦富士の決勝ではリヤのみ2本交換、第6戦鈴鹿1000kmではタイヤ無交換を実施したスティントもあるほど。
一方で、フロントタイヤを交換しないで済むということは、フロントタイヤへの入力が強くないという意味でもある。気温や路面温度の低い時期は、この点がウイークポイントになっている可能性もあるだろう。
この点について井口は「(気温が低い時期は)単純にタイヤ(のコンパウンド)を柔らかくすればいいんですけど、FIA-GT3と違ってトラコン(トラクションコントロール)がなかったりという部分で、なかなか厳しい」と応じる。
「ここでGT3に少し差をつけられているので、もっとタイヤをしっかり使うという部分を寒い(オフの)時期にテストできれば、もっと強くなるんじゃないかなと思います」
「最終戦前のオートポリスでシリーズの流れを決定づけられるような形に持っていければ、充分チャンピオンは獲れると思います」
パートナーの山内も「昨年は悔しいシーズンだったので、それを取り返せるようないいレースをしたいですね。去年のシーズンオフはなかなか走り込めなかったですけど、今年はそれが改善されていると思うので、シーズンオフでどれだけ周りに追いつき、前に行けるかが勝負」と、オフシーズンの走り込みが重要だと強調している。
2017年シーズン、BRZには電装系や駆動系、ブレーキなどのメカニカルトラブルが多発。また、搭載する水平対向エンジンは、ターボながら排気量が2リッターとライバルとなるGT3勢と比べると非力なのは否めなかった。
今シーズンへ向けて、エンジンの排気量は変わらないがチームが施したエンジンや空力パフォーマンスの改善で、このパワー不足をどれだけ解消できるか、そしてなにより「走り込みが重要」だというシーズンオフに、どれだけトラブルの種を潰せるかが勝負の分け目となる。

