更新日: 2016.09.01 21:24
レクサス、SGT岡山はKeePer RC Fが劇的勝利を飾る
トヨタモータースポーツニュース
2015年4月5日
SUPER GT 第1戦
OKAYAMA GT 300km RACE
雨に翻弄されたレースでカルダレッリ/平川組LEXUS RC Fが劇的勝利!
GT300クラスでは嵯峨/中山組トヨタ プリウスが圧勝で通算2勝目
新規格で2年目のシーズンとなるSUPER GTが開幕。開幕戦岡山は雨が降ったりやんだりと変わりやすい天候で順位もめまぐるしく入れ替わる波乱の展開。今季初フル参戦のルーキー、平川亮が初のポールポジションを獲得したKeePer TOM’S RC F 37号車が、途中首位を奪われるも、終盤雨量が増す中で劇的な逆転を果たし、チームとアンドレア・カルダレッリにとっては昨年に続く開幕戦2連覇。平川にとってSUPER GTでの初勝利を飾った。GT300クラスでは、5番手スタートの嵯峨宏紀/中山雄一組TOYOTA PRIUS apr GT 31号車が序盤から首位に立つと独走。3位以下を周回遅れにする圧勝で約2年ぶり、プリウスにとって2度目の勝利を飾った。こちらも今季初のフル参戦となる中山にとってはGT初勝利となった。
SUPER GT第1戦「OKAYAMA GT 300km RACE」が4月4日(土)、5日(日)の両日、岡山県の岡山国際サーキットで開催された。
長かった国内モータースポーツのオフシーズンも終わり、日本で最高の人気を誇るレース、SUPER GTが開幕。SUPER GTは昨年より車両、エンジンの両方が全く新しいものとなったが、今季は基本的にそれを踏襲。熟成が進められたレーシングカーにより、更に熱いバトルが期待される。
LEXUS RACINGは昨年よりLEXUS RC Fをベースにした車両に、新型の2リッター直列4気筒ターボの「RI4AG」エンジンを搭載。昨年は全8戦中、最多となる4勝を挙げたものの、僅か2ポイント及ばず、タイトル獲得はならなかった。
今季も6台体制での参戦となるが、一部ドライバーが変更となり、更に強力な体制でタイトル奪還を目指す。
ENEOS SUSTINA RC F 6号車の大嶋和也/国本雄資組、WedsSport ADVAN RC F 19号車の脇阪寿一/関口雄飛組の2台は昨年と変更無し。
昨年最後までタイトルを争ったトムスの2台は、中嶋一貴がWECにフル参戦するため、PETRONAS TOM’S RC F 36号車に伊藤大輔が移り、ジェームス・ロシターとコンビを組む。伊藤が抜けたKeePer TOM’S RC F 37号車は、昨年速さを見せたアンドレア・カルダレッリと平川亮という若手コンビとなる。
ZENT CERUMO RC F 38号車は、ベテラン立川祐路と、石浦宏明という組み合わせに。昨年38号車に乗っていた平手晃平がDENSO KOBELCO SARD RC F 39号車に移り、元F1ドライバーのヘイキ・コバライネンとコンビを組む。
昨年、新規定の車両及びエンジンでの記念すべき初レースとなった開幕戦岡山では、LEXUS RC Fが1-2フィニッシュを飾っている。今週末のレースに先立ち、3月半ばに岡山で行われた公式テストでも速さを見せているLEXUS RACINGの活躍に期待がかかった。
GT300クラスには、トヨタのハイブリッド技術を投入し、4年目となるTOYOTA PRIUS apr GT 31号車が嵯峨宏紀と中山雄一のコンビで参戦。加えて、国際レース規格のGT3規則がベースとなるLEXUS RC F GT3がSYNTIUM LMcorsa RC F GT3 60号車として飯田章/吉本大樹のコンビで参戦。こちらも注目が集まった。
◆予選◆
前日からの雨で、午前中の公式練習走行の序盤はウェットだったものの、その後路面も乾き、曇り空ながらドライコンディションで午後2時50分から、GT300クラスよりノックアウト方式での予選が開始された。
GT500クラスは午後3時10分から15分間で予選Q1のセッションが開始されたが、ほとんどの車両が一度のアタックのため、開始から7分ほどは待機。残りが8分を切ったところで次々にコースへと向かった。
残り2分を切ったところで本格的なアタックが開始され、まず6号車の国本がチームメイトの大嶋が昨年記録したコースレコードに迫るタイムを叩き出し、トップに立つと、37号車のカルダレッリも肉薄するタイムをマーク。その直後、38号車の石浦がコースレコードを更新するタイムで2台を上回り、トップに立った。
予選Q1はLEXUS RC F同士の激しいアタック合戦となり、38号車、6号車、そして平手がアタックした39号車が3番手、4番手に37号車と続き、伊藤の36号車が7番手でQ1を通過。LEXUS RC Fは5台がQ2進出を果たした。
関口がアタックした19号車は14番手グリッドから明日の決勝に臨むこととなった。
GT300クラスのQ2を経て、午後3時55分にGT500クラスの予選Q2(12分)が開始されたが、こちらも序盤は待機となり、残り8分半を切ったところで6号車の大嶋がコースイン。少し間隔を開けて37号車の平川、36号車のロシターと続いた。
ライバル車も次々にコースインしていく一方で、38号車の立川と、39号車のコバライネンはなかなかピットを出ず、残り7分となったところでコースイン。コバライネンはコースイン直後からアグレッシブな動きでタイヤを温めていった。
セッション終盤に入り、各車アタックが開始されると、6号車の大嶋が、Q1でコースレコードを更新した石浦のタイムに1000分の3秒まで迫るタイムでトップに。しかし、その直後、37号車の平川が0.1秒近くこれを上回る新レコードタイムをマークし、トップの座を奪った。
その後この2台を上回るタイムは出ず、昨年SUPER GTにはスポットで2戦のみ参戦、今季より初めてフル参戦となる平川の37号車が、GTデビュー3戦目にして初のポールポジションを獲得した。
2番手に昨年のポールシッターである大嶋/国本組の6号車、3番手に立川/石浦組38号と続き、LEXUS RC Fは3台がコースレコードを更新するタイムで、予選トップ3を独占した。 Q2は8台全車が1分19秒台に入れるハイレベルな争いとなる中、ロシターの36号車が6番手、コバライネンは8番手タイムとなったが、予選後、4番手の車両がタイム抹消となったため、一つずつグリッドが上がり、それぞれ5番手、7番手から決勝のスタートを切ることとなった。
GT300クラスでは、今季より31号車でフル参戦となった中山がQ1を担当すると、6周目に好タイムをマーク。トップには僅か100分の1秒及ばなかったものの2番手につけ、Q2進出を決めた。
一方、今季初めてSUPER GTのGT300クラスに参戦することとなったLEXUS RC F GT3の60号車は20番手でQ2進出ならず。とはいえ、開発段階のデビュー戦で、Q2進出ラインから0.7秒差と、まずまずの手応えを感じる予選Q1となった。
予選Q2では、嵯峨が31号車のアタックを担当。僅差の激戦となったセッションで、5番手グリッドを獲得した。
◆決勝◆
5日(日)は朝から雨に見舞われ、午前中のフリー走行では、決勝を見込んでのウェットセッティングに勤しんだ。しかし、決勝が始まる少し前に雨は止み、各チームタイヤ選択、戦略に頭を悩ませたが、GT500のLEXUS RC F勢は全車がウェットタイヤを装着してのスタートとなった。
午後2時半、曇り空の下、気温18度、路面温度20度、湿度74%のコンディションで、地元岡山県警の白バイ、パトカーの先導によるパレードランとフォーメーションラップを経て、82周の決勝レースがスタートした。
トップ3グリッドのRC Fが順当にスタートを切り、5番手スタートの36号車ロシターが前を伺ったが、濡れた路面に足をすくわれスピン。幸いにもコース上でくるりと360度回転してすぐにレースに復帰したが、いくつかポジションを落とすこととなった。
首位を逃げるカルダレッリの37号車は、一時は2位に5秒近い差をつけるも、周回を重ねていくうちに好転していく路面に、タイヤ選択が合わずグリップの低下に苦しむことに。逆に、そのコンディションにあわせてきたライバル勢の追撃を受け、24周目に3位に後退。しかし、大きく離されることなく、首位を追い続けた。
一方、39号車は朝のフリー走行時のペナルティ、36号車もGT300クラスとの接触でドライブスルーペナルティを受けることとなり、大きく順位を落としてしまった。
中盤戦に入ると、再び雨が降り始め、難しい判断の下、各チームドライバー交代とタイヤ交換、給油のためのピット作業が始まった。
LEXUS RC F勢はライバルよりも遅めのタイミングでピットへ向かい、37号車は42周終了時にカルダレッリから平川へとドライバーチェンジ。ここでピットが素晴らしい作業を見せ、ライバルを逆転。全車がピットを終えた時点で、再び首位に復帰した。
その後、路面状況が好転すると再びNSX勢が速さを見せ、周回遅れの車両で混み合う中、37号車平川はNSX 100号車と激しい首位争いを展開したが、惜しくも49周目に首位の座を奪われ、2位に後退。雨は止み、首位100号車と2位37号車との差は一時8秒近くまで広がった。
しかし、残り20周を切ったあたりから再び雨が降り始め、路面の水量が増していくと、後半戦に向けタイヤを温存していた37号車平川はペースアップ。猛烈な勢いで首位との差を縮めていき、71周目に追いつくと、ダブルヘアピンでパス。首位を奪還した。
その後方では、30秒ほどのギャップをおいて、GT-R、NSX、そして38号車石浦のLEXUS RC Fという3メーカーの車両による3位争いに。同じく後半の追い上げを狙っていた石浦は、ヘビーウェットコンディションをものともせぬ走りで残り5周で3位へ。なおもペースを緩めず、がっくりとペースの落ちた2位のNSXとの差を一気に縮めていった。
残り4周で15秒差、計算上ではファイナルラップには2位に追いつくかと思われた38号車石浦だったが、周回遅れ車両にも阻まれ逆転はならず。最後は1.6秒差まで追い詰めたが惜しくも届かず3位でチェッカー。
首位を逃げた37号車平川は、フル参戦初年度、SUPER GTでは参戦3戦目ということを全く感じさせない走りでヘビーウェットの終盤戦を独走。最後は2位に40秒もの大差をつけ、トップチェッカー。自身SUPER GTでの初勝利を劇的な逆転によるポール・トゥ・ウィンで飾った。トムスの37号車とカルダレッリにとっては、昨年の開幕戦に続く岡山2連勝となった。
ペナルティを受け、大きく順位を落としながらも、終盤、元F1ドライバーの参戦で注目を集めたコバライネンが猛烈な追い上げを見せた39号車は5位フィニッシュ。6号車は交換したタイヤが合わず、再度のピットインを強いられ後退、9位フィニッシュ。19号車は14番手スタートから追い上げ10位に入り、LEXUS RC Fはメカニカルトラブルで無念のリタイアを喫した36号車をのぞく、5台がトップ10フィニッシュでのポイント獲得を果たした。
GT300クラスでは、5番手からスタートを切った嵯峨のドライブするプリウス31号車が1周目から果敢に前走車を攻め、2周目には2位、3周目には首位に浮上すると、なおもペースを緩めず、周回毎に後続との差を広げていった。
44周目終了時にピットインし、嵯峨から中山へとドライバー交代。全車がピットを終えた時点で、再び2位に20秒以上の差をつけ独走を続けた。
雨が止み、路面状況が向上したタイミングでやや差を詰められることもあったが、首位の座を脅かされるまでには至らず、雨脚が強まったレース終盤には、更にペースを上げ快走。最後は2位に42秒もの大差、3位以下を周回遅れとする圧倒的な速さで、今季開幕戦を制した。
嵯峨とプリウスにとっては、2013年第2戦富士での初勝利以来、約2年ぶりの2勝目。今季よりフル参戦となった中山にとってSUPER GTでの初勝利を飾ることとなった。
今大会デビューを飾ったLEXUS RC F GT3 60号車は、開発中車両のデビュー戦ながら、20番手スタートから着実に周回を重ね、10位でフィニッシュ。デビュー戦でポイント獲得を果たした。
KeePer TOM’S RC F 37号車 ドライバー アンドレア・カルダレッリ:
良いシーズンのスタートを切ることが出来た。今週は、常に好タイムで、ミスもなく、クルマの調子も非常に良くエンジョイ出来るレースウィークだった。オフシーズンにテストを頑張って来た結果だと思う。レースはとても難しいコンディションだった。特にタイヤ選択に悩んだが、結果的に戦略が奏功した。開幕戦はハンデがないので純粋に速さを競えることになり、そこで勝てたのは嬉しいが、シーズンはまだ長い。昨年は2ポイントでタイトルを逃したので、今年こそは昨年と違う結果を得たい。
KeePer TOM’S RC F 37号車 ドライバー 平川亮:
ポール・トゥ・ウィンが果たせ、幸先の良いスタートが切れたと思う。今日のレースはコンディションが本当に難しかった。タイヤの選択は、チームもぎりぎりまで雨の状況を見ながら考えてくれた。雨が降るというチームの判断を信じ、タイヤを温存していたので終盤ライバルをパスすることが出来た。今季、次戦以降はハンデを理解した上で、クルマのポテンシャルを引出し、レース中ミスをしないように、チームと力を合わせてシーズンを通して戦って行きたい。
ZENT CERUMO RC F 38号車 ドライバー 立川祐路:
レース中めまぐるしく雨量の変わる難しい路面コンディションで、使っているタイヤによって順位が大きく変化する難しいレースだったが、終わってみれば3位ということで、手ごたえはまずまず。これくらいで満足するつもりはない。今年は、クルマも戦える状態に仕上がっているので、コンスタントに良い結果を残して行きたい。あくまでも目標はタイトルだ。SUPER GTは、ウェイトハンデによって苦しいレースになることもあるので、そこでどれだけ耐えられるかだと思う。
ZENT CERUMO RC F 38号車 ドライバー 石浦宏明:
立川さんと同じタイヤを選んでいたので、雨が止み路面が乾くと厳しかった。雨量により、路面コンディションから走行のペースが変わるという中、とにかく、ぶつからない、スピンしないことを心がけた。今季、チームを移籍して、チームからの信頼も欲しかっただけに、表彰台に乗ることが出来たのは最初のステップ、シーズンの出だしとしては良かった。こういう難しいレースこそ、取りこぼし無く行くことが大事だと思う。昨年表彰台に乗っていないのにこういう事を言うのもなんだが、3位もあまり嬉しくはない。チャンピオンを期待されていると思うし、手ごたえを感じているので、最終的にはタイトルを獲れるよう頑張りたい。
TOYOTA PRIUS apr GT 31号車 ドライバー 嵯峨宏紀:
予選でタイヤの使い方を失敗してしまったのだが、今日の決勝についてはタイヤのパフォーマンスが良かったので、序盤から攻めてかなりマージンを作ることが出来、完璧だった。次戦は、WECに参戦する為欠場する。40キロハンデの置き土産があるが、佐々木選手に託したいと思う。佐々木選手には、今回も助言していただいた。佐々木選手は乗れば速いのは間違いないので、このままポイントを重ねていってチャンピオンを獲得したい。
TOYOTA PRIUS apr GT 31号車 ドライバー 中山雄一:
昨日は初めてGTの予選アタックを担当したが、クリアラップを取れて良いタイムが出た。決勝は、先に走った嵯峨選手が約20秒のマージンを築いてくれた。雨量の多いコンディションを望んでコースに出たが、降り始め、無線で金曽監督に勇気づけられるようなコメントをもらいながら走った。最後には、40秒近くのリードを保ってチェッカーを受けることが出来て良かった。次回は40kgのハンデを背負うことになるので状況は変わるだろうが、オフシーズンには、嵯峨選手、佐々木選手と共にテストでクルマを仕上げているし、クルマもどんどん良くなって来ているので、次戦以降もチーム全員で頑張る。