開幕戦を制する形となったホンダ陣営だが、一時は1-2-3体制で表彰台独占も間違いない状況ではあった。同士討ちで自滅し、GT-R2台が表彰台に上がるという、敵に塩を送る形にもなってしまった。佐伯リーダーは追突してペナルティを受けたKEIHINに同情しつつも、厳しい心境を吐露する。

「今日の展開としましては、8号車(ARTA)が開幕戦で今季1勝目を挙げられたというはホンダにとって非常に良かったですが、ホンダ陣営としては一番やってはいけないことをやってしまったと思っています」

「こういう展開だからこそ早めに前に行かなきゃいけないし、何が起きるかわからないし、レースが終わってしまうかもしれないと考えると、ドライバーの心理としては行けると思ったときに行くという気持ちがあったと思います。ウォータースクリーンもひどい中、17号車(KEIHIN)の方が1号車(RAYBRIG)よりもペースが良かったというので吸い込まれるように接触してしまったわけですけど……仕方ないでは済まされない部分もありますが……ある種のアクシデントのひとつだとは考えています」

 開幕戦の勝利と同士討ちという、振り幅の大きい両極端な内容となったホンダ陣営の開幕戦を終えて、佐伯リーダーの心の中はどのような感情が多くを占めているのだろう。

「こういうレースはもうしたくはないですね……レースとしては今回、非常にまずいレースをしてしまった」と佐伯リーダー。

 レース後のRAYBRIG、KEIHINのスタッフにどのような声を掛けたのかについては、「それはノーコメントとさせてください」と沈痛な表情を見せた。

 本田技研工業の八郷隆弘社長が現場で見守る御前レースでの味方打ちとなってしまったが、八郷社長はひとまずはARTAが勝利したことでポジティブな印象で結果を受け止めたようで、それが本当ならば不幸中の幸いか。それでも、今シーズンのホンダ陣営の空気を一変させることになってしまった今回の一件は、まだまだ後を引きそうな気配だ。

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