スーパーGTのGT500クラスでは同じタイヤメーカーでも最近ではチームごとに構造やコンパウンドなどが細かく分かれてきており、選択が複雑化している。
「ピークの高いところをピンポイントで狙わないと上に行けない。だけど、それを外したときの差が大きいのが今のGT500の現状です。タイヤ選択、セットアップを外してしまったらクルマも1箇所、2箇所のセットアップ変更で直るわけでもない。同じクルマ、タイヤと言えどもコースやコンディションによってこんなに違う。改めて生モノ、生きている機械に携わっているんだという難しさを改めて感じています」と山本。
予選Q1でのKEIHINとRAYBRIGの差はコンマ6秒。セットアップやタイヤの違いで、同じウエイトハンデのマシンでもここまで出来不出来の差が大きくなってしまうのが、現在のGT500なのだ。
ソフトとミディアムタイヤでの差が「1秒くらい違っていた」と話すのは、ZENT CERUMO LC500の村田卓治エンジニア。レクサス陣営のブリヂストンユーザー内でも、同じような大きな差がタイヤ選択の違いによって生じていた。
予選Q2に進出したレクサス陣営はZENT、KeePer TOM’S LC500、DENSO KOBELCO SARD LC500の3台。この3台ともがソフト目のタイヤを選択したようで、Q1ノックダウンしてしまったレクサス陣営のブリヂストン勢はどうやらミディアム/ハード目の選択をしていたようだ。
さらに、ここでソフト/ミディアム/ハードと表記したが、それがコンパウンドのソフト、構造のソフトなど種類が多岐にわたりすぎていていて、一概に3種類でまとめられないのが現在のGT500のタイヤ事情なのだが、便宜上、これまでの3種類の呼び名で分類する。いずれにしても、それほど、タイヤ選択とセットアップの関係が3メーカーのクルマの違いよりも大きな要因となっていることがこの第2戦富士の予選で明らかになった。
ちなみに、先のZENTは予選Q1をソフトで突破したもののソフトはその1セットしか残っておらず、Q2の立川祐路はミディアムでアタックすることになったという。「立川(選手兼)総監督には申し訳ないことをした。俺の判断ミス」と潔く非を認める村田エンジニア。レクサス陣営にとってはホームコースの富士でライバルメーカーと同等のパフォーマンスがあることが判明したのは良い兆しと言えるが、そこから先はドライバ-&エンジニア、チームの戦いになる。
決勝レースに向けては、MOTUL GT-R、そして3番手のカルソニック IMPUL GT-Rのニッサン陣営はタイヤ選択がかなりソフト目、というウワサが聞こえてきた。ただし、明日の決勝日は予選日と気温が変わる見込みで、夕方には一時的な雨の予報もある。できれば完全ドライコンデンィションで3メーカーのパワーバランス、そしてタイヤメーカー間の実力差やガチンコでのチームのタイヤ戦略を見てみたい。
