結果として、ホンダNSX3台のクラッシュになり、ARTAはその場でマシンを止めてリタイア。MOTUL NSX-GTは右フロントのサスペンションが折れ、ガレージにマシンを戻したが再スタートはできなかった。また、RAYBRIGは一時コース上にマシンを留めていたがピットイン。リヤウイングが破損しており、その修復を終えてコースに戻ったが10周以上のラップダウンとなり、実質レースを終えていた。
レース後、コントロールルームに中嶋大祐が呼ばれ、結果としてドライブスルーペナルティが課されることになった。レース後、コントロールタワーから返ってきた中嶋大祐が話す。
「RAYBRIGのチームの方とホンダの方たちと話をして、僕は相手が悪いと思っていませんし、レーシングアクシデントだったと思っているんですけど、裁定としては自分にペナルティが出てしまいました。裁定は尊重しますし受け入れますけど、ペナルティを受けたということは100パーセント自分が悪いということになるので、悔しいですね。当事者同士としては話をしていますので(遺恨のようなものは)ないと思っています」と大祐。
野尻も「あの状況なら、10人中8人のドライバーはクロスラインを狙って内側に切り込んで加速で抜こうとするはずですので、僕が間違った判断をしたとは思わないですけど、もしあそこで一歩引いていたらとも思うし、でも、それをしたらレースではないなと思う」と話せば、バトンもすでに気持ちを切り替えているようだ。
「最悪と言えるようなアクシデントがあったし、とにかく今日はタフな1日だった。チームメイト、同じホンダ同士でクラッシュしたいなんて誰も思わないからとにかく残念だけど、これもレースだ。僕たちは限界ギリギリでレースをしているわけだし、クラッシュしてしまうこともある。そうならないよう細心の注意を払っていてもね。とにかく同じことを起こさないように努力し続ける。いつかまた起きてしまうかもしれないけど、できるだけ避け続けるよ」とバトン。
ホンダの佐伯昌浩GTプロジェクトリーダーも、今回は開幕戦での同士討ちとは事情が異なるとの感想を述べた。
「開幕戦(の同士討ち)とは違い、今回はペナルティが出たとしても見てるなかではクリーンな戦いをしているなかでの接触からの巻き添えみたいな形で、GT300を処理しているところでのタイミングだったので難しい状況だったと思います。この結果を受けて何かすることはありません。特に次回のレースもいつもどおりです」と佐伯氏。
ホンダNSXの、まさかの3台同士討ちというショッキングなアクシデントが起きてしまったスーパーGT第4戦タイの決勝レースだが、3台のチーム、ドライバーともレース後にそれぞれかなりの時間、話し合いを行い、ホンダ陣営内では遺恨はなさそうだ。むしろ、今回の接触よりも一時、下位5台がホンダNSXで並んでしまった決勝でのパフォーマンスの方が、可及的課題かもしれない。

