このT-DASH ランボルギーニGT3に対して2位に食い込んだのは、ポールポジションからスタートした埼玉トヨペットGB マークX MC。こちらも驚きの戦略と言えるのが、1度目のピットでタイヤ無交換作戦を実施。2度目ではタイヤ交換を行ったが、3度目、4度目はまた無交換。なんとダブルスティントとトリプルスティントというタイヤの使い方をしたのだ。当然その分、4回中3回のピットを30秒前後のタイムでピットアウトすることができる。

「自分たちなりのベストは尽くせたかなと思います。セーフティカーを自分たちが有利になるように使えた時もありましたし、他のチームが有利になるような時もありましたけど」というのは吉田広樹だ。

 また、脇阪薫一は「ひとつ言えるのは、ブリヂストンさんのタイヤと僕たちのクルマはまだ完全にマッチしていないということ。まだまだ余力を残しているというか、タイヤを使い切れていないんですよ」というから驚きだ。

 ちなみに、埼玉トヨペットGB マークX MCは同じマザーシャシーであるHOPPY 86 MCをある意味“マーク”しており、逆もまたしかりだった。HOPPY 86 MCは左のみ/右のみ/左のみ/無交換という作戦を採っていたが、スタート直後、松井孝允が埼玉トヨペットGB マークX MCと接触した際に、エアジャッキ差し込み口にダメージを受けてしまい、2度目のピット時に差し込み口が奥に入ってしまい1分程度のタイムロスを喫していた。

「あの戦略は、タイヤメーカーさんの許可がなければできない作戦です。マザーシャシーの特徴というか、強みだと思います。3回目のピット(タイヤ交換したとき)はナットがかんでしまいましたが、その後25号車の前に出られていれば、セーフティカーで1周先にいけていた。その意味では悔しいですね」というのは、埼玉トヨペットGreen Braveの青柳浩監督。

 この意見には脇阪も同調する。「セーフティカーがなければ僕たちが勝っていたレース。でも、これもレースなので。僕たちが見ていたのは勝てるかどうか。それを考えたときに“置きにいく”戦略を採る必要はない。勝ち負けでギリギリのコンパウンドを調べるためにトリプルを選択したんですよ」と脇阪は振り返った。

 残念ながらチームにとって初優勝は“おあずけ”となってしまったが、青柳監督は「一歩届かなかったです。悔しいですが、悔しがれるのもいいことかなと。このレース距離で堂々とレースができましたし、成長を実感しています」と語った。埼玉トヨペットGreen Braveは今後の2戦、ライバルにとって脅威の存在となるだろう。

 残念ながら表彰台には届かなかったが、ブリヂストンを履くARTA NSX GT3やLEON PYRAMID AMGもタイヤをうまく使った戦略を採っていた。今回優勝を飾ったT-DASH ランボルギーニ GT3、比較的スタンダードな戦略を採り3位に食い込んだModulo KENWOOD NSX GT3はヨコハマだが、この対決構造も興味深いところだろう。

 GT300ならではの、クルマなりの特徴と智略がぶつかり合った500マイルレース。長丁場のレースは疲れるが、東京オリンピックとの兼ね合いで2020年は、この戦略合戦が観られないのは少し寂しくもある。

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