山下と関口は横並びのままビクトリーコーナーへ向かったが、互いに接触して思うようにターンインできず、2台揃って最終コーナーをショートカットするようにコースオフ。
ボディサイドを擦り付けたままの2台はそのままホームストレートへ文字どおり“飛び出して”立ち上がり、WAKO’S山下がau TOM’S関口の前を奪い、2番手でコントロールラインを通過していった。
首位のKeePer平川は、このシーズン終盤戦で誰よりも巧みなタイヤマネジメントを披露してきたドライバーであり、2番手WAKO’S山下は誰よりもスピードで魅了したドライバー。ともに持てる才能を存分に発揮したシーズンは、12秒169のギャップでチェッカー。
ともに、できることをやり切ったKeePer TOM’S LC500が最終戦を勝利で飾り、WAKO’S 4CR LC500が2位表彰台に上がると同時に、2019年のドライバーズチャンピオンに輝くこととなった。
「1周目が大事なのはわかっていて、気合を入れてタイヤのウォームアップを進めたけど、充分ではなかったみたいで、抜かれた瞬間は本当に悔しかった。でもそのあとは気持ちを切り替えて、追い上げることはできたと思う。後半の(山下)健太が素晴らしい走りをしてくれて、感謝しています」と先輩の大嶋がチームメイトの労をねぎらう。
すると自らの走りでポジションを奪還した山下も「このもてぎ戦はチームルマンにとって特別な1戦だったし、タイトルが獲れてよかった。(コースオフしながら抜いた)あの瞬間は結構な衝撃で、その後はマシンにもバイブレーションが出て『大丈夫かな』と心配だったけど、最後まで持ってくれてよかったっす」と山下節で安堵を示した。
チームルマンにとっては、2019年で監督就任4年となる脇阪寿一監督が自らステアリングを握ってタイトルをもたらした2002年以来となる17年降りのの栄冠。監督としては初のシリーズタイトル獲得となった。
3位表彰台はau TOM’Sが獲得したほか、4位にはZENT CERUMOが入ってレクサスLC500がトップ4を独占。5位にはホンダ陣営のKEIHINが続き、6位には今大会がスーパーGTラストランとなるジェンソン・バトンも搭乗したRAYBRIG NSX-GTが続いた。ニッサン陣営は予選2番手だったMOTUL GT-Rの8位が最上位だった。
2019年のスーパーGTシリーズ戦は、これで終了となったが、11月23~24日には富士スピードウェイでDTMドイツ・ツーリングカー選手権との特別交流戦が開催され、GT500車両とDTMマシンが激突する。