「この状態なら、遅くても仕方ないか」。10月にホッケンハイムで行なわれたDTM最終戦、ドライでの走行を終えた平川亮のタイヤ表面を見て、トムスの東條力エンジニアはそう思った。そこにあったのは「スライド痕」。タイヤ競争のあるGT500でもし同じ状況になったなら、一発で「使えないスペック」の烙印を捺されるようなタイヤである。だが、ふと気になってタイヤガレージを訪れDTM各車が履いていたタイヤを観察すると、そこには“もっと酷い表面”のタイヤばかりが並んでいた。DTM勢はそのタイヤで、日本勢より速いペースを刻んでいる。東條氏はショックを受けると同時に、ハンコックタイヤの使い方を悟った。

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