決勝

 予選後、天候はさらに回復し、強い日差しが差す好天となりました。気温26度、路面温度39度というコンディションの下で午後3時、66周で争われる決勝レースのスタートが切られました。

 ポールポジションの37号車はニック・キャシディがスタートを担当し、好ダッシュを決めてトップを堅守。3番手スタートの36号車は4番手へとひとつポジションダウンするも、ほかに大きな順位変動はありませんでしたが、後方で接触があり、1周目にしてセーフティカーが導入。車両回収を終えた6周目から本格戦が再開されました。

 セーフティカー走行からの再スタートでライバルにやや迫られるものの、37号車のキャシディは首位をキープすると、その後は徐々に2番手以下との差を広げていきました。一方、4番手へ落ちた36号車フェネストラズは、今大会がGT500クラスデビュー戦とは思えない積極的な走りで前車を追い、12周目には3番手へ。23周目にも激しいバトルの末にライバルをパスし、2番手へと浮上。GRスープラのワンツー体制となりました。

2020年スーパーGT第1戦富士 au TOM'S GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)
2020年スーパーGT第1戦富士 au TOM’S GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)

 レースは中盤に入り、各車ピットへ向かってドライバー交代。折り返しとなる33周目に、最後に19号車がピットを終えたところで、平川へと交代している37号車が再び首位に、関口の36号車が2番手へと順位が戻りました。

 37周目、接触によりコース上に停まってしまった車両が出たため、この日2度目となるセーフティカーが導入。この時点で20秒以上も開いていた首位37号車と2番手以下とのマージンはこれで帳消しとなってしまいました。

 43周目に残り3分の1で再スタートが切られ、トップ2はポジションを堅守。その後方では、11番手スタートからじりじりとポジションを上げた大嶋から6番手でバトンを受けとった14号車の坪井が猛追を見せ、44周目のストレートで5位へ。

 前を行く4番手の38号車石浦とともに、3番手の車両に襲いかかり、激しい3番手争いを展開。49周目のストレートでは3ワイド(3台が横一線でのバトル)からTGRコーナー(1コーナー)進入で一気にポジションを上げると、続くコカコーラコーナーで石浦も4番手へと浮上し、GRスープラが1-2-3-4体制となりました。

2020年スーパーGT第1戦富士 ZENT GR Supra(立川祐路/石浦宏明)
2020年スーパーGT第1戦富士 ZENT GR Supra(立川祐路/石浦宏明)
2020年スーパーGT第1戦富士 WAKO'S 4CR GR Supra(大嶋和也/坪井翔)
2020年スーパーGT第1戦富士 WAKO’S 4CR GR Supra(大嶋和也/坪井翔)

 また、この時点で7番手を走行していた39号車の山下も終盤猛烈な追い上げを見せ、55周目に6番手、残り5周でさらに前車とテール・トゥ・ノーズになるまで追い詰めると、残り4周でパス、ついにGRスープラがトップ5を占めることとなりました。終盤、14号車の坪井は前を行く36号車の関口を攻め、激しいバトルが繰り広げられましたが、順位変動は無くチェッカー。

 37号車はポールポジションから盤石なレース運びでポール・トゥ・ウイン、そしてレース中のファステストラップも記録し完勝でGRスープラにデビューウインをもたらしました。36号車、14号車、38号車、39号車がこれに続き、GRスープラはスーパーGTデビュー戦をトップ5独占という圧倒的な速さで締めくくりました。

 GT300クラスでは、4番手からスタートを切った、ルーキーの川合が駆る52号車が、6周目のセーフティカー解除後に3番手へと浮上。その後も好走を見せて上位争いを繰り広げました。52号車は中盤のピット作業で、タイヤ無交換作戦を選択し、事実上の首位に立ちました。

 その後、2度目のセーフティカー導入で後続との差が無くなったものの、52号車の後半を担当した吉田が逃げ切り、見事トップでチェッカー。今季から新たにGT300クラスに参戦するGRスープラにデビューウインをもたらすとともに、チームにとっても初優勝をもたらしました。

2020年スーパーGT第1戦富士 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)
2020年スーパーGT第1戦富士 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)

■コメント
トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 豊田章男

「3カ月遅れで、ようやく2020年の日本のレースシーズンが始まり、ついにGRスープラがスーパーGT初戦でデビューを果たしました。待望のデビューウインです! それもGT500では表彰台をすべて獲得。GT300クラスも優勝です」

「優勝したTGR TEAM KeePer TOM’S、2位のTGR TEAM au TOM’S、3位のTGR TEAM WAKO’S ROOKIE、そこに続いたTGR TEAM ZENT CERUMOも、TGR TEAM SARDも、そしてポイント獲得したTGR TEAM WedsSport BANDOHも、GT300で初優勝を果たした埼玉トヨペット Green Braveもみんなおめでとう! みんなありがとう!」

「スープラという車名のサーキット復帰を最高の形で果たしてくれました。ドライバーのみんな、チームのみんな、スポンサーの皆さま、応援してくださったファンの皆さま、本当にありがとうございました!」

「最後になりましたが、非常に難しい環境のなかでレースを安全に開催いただいた主催者のみなさま、中継でもレースの魅力を十分に伝えていただいた放送関係者のみなさまにも心から感謝いたします。開催は3カ月遅れましたが、例年以上にファンの心を沸かせる2020年シーズンにしていきましょう! よろしくお願いいたします」

KeePer TOM’S GR Supra 37号車 ドライバー 平川亮

「優勝できてとても嬉しいです。去年からGRスープラGT500の開発にも携わって、一緒にクルマを作り上げてきた関係者のみなさんの苦労をたくさん知っているので、それがこういう形で実って本当に良かったです」

「セーフティカーで大きなマージンが無くなりましたが、その後もしっかり集中して走り、GRスープラのデビューウインを飾れて良かったです。ただ、まだ始まったばかりで、課題も見えてますし、GRスープラはポテンシャルがあると思うので、もっと速いクルマに仕上げていきたいです」

「次戦はまた富士ですが、ウエイトが乗ることで厳しくなるとは思いますが、去年チャンピオンを逃したことで、我々もさらに強くなっていると思うので、重い状況でもその強さを見せたいと思います」

KeePer TOM’S GR Supra 37号車 ドライバー ニック・キャシディ

「最高の気分です。今日は朝の予選でポールポジションを獲得し、レースでもファステストラップをマークして勝つことができ、完璧な1日でした。セーフティカーが良くないタイミングで入ってしまい、リードを失うことになりましたが、(平川)亮が素晴らしい走りで首位を守ってくれました」

「TCD(トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)やトヨタ、チーム、タイヤメーカーなど、オフシーズンからハードワークを続けてくれたみなさまに感謝します。彼らの努力が今日の結果に繋がりました。ただ、今日はまだスタートです。このペースをキープするのは大変ですが、プッシュを続け次戦以降も良いレースを戦い、結果を出して行くべく頑張ります」

2020年スーパーGT第1戦富士で表彰台を独占したGRスープラ勢
2020年スーパーGT第1戦富士で表彰台を独占したGRスープラ勢

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