更新日: 2020.10.12 15:58
GOODSMILE RACING & Team UKYO 2020スーパーGT第5戦富士 レースレポート
GOODSMILE RACING & Team UKYO
2020 AUTOBACS SUPER GT Round5
たかのこのホテル FUJI GT300km RACE
■DATA
会期:2020年10月03日~04日
場所:富士スピードウェイ(静岡県)
天候:晴
観客:発表なし
予選:9位
決勝:8位
獲得ポイント:3P
シリーズ順位:13位(10P)
<Sat.>
■FreePractice_QF1-2
SUPER GT2020のシーズン折り返しとなる第5戦が、富士スピードウェイで10月3~4日に行われた。新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響により、年の後半に圧縮された変則カレンダーを採用する今シーズンは、富士、鈴鹿、もてぎの3会場のみで争われることになっており、この第5戦は3度目の富士開催となる。
今シーズン既に2度の富士戦を経て、各チームともデータが十分に出揃った後半戦初戦。GOODSMILE RACING & TeamUKYOの谷口信輝選手/片岡龍也選手にとっては、ライバルを捕まえ反転攻勢を期すラウンドであると同時に、「初音ミクGTプロジェクト」として参戦してきた、シリーズ戦、特別戦、24h Spa、SUZUKA10hなど、全てのレースをカウントする時、このレースで100戦目となる記念すべき1戦でもあった。更に、これまで無観客開催で進められてきたシーズンは、後半戦突入のこの第5戦で今季初の観客動員が実現。会場定員の50%までに入場を制限されてはいるものの、小旗が揺れるグランドスタンドを前に否が応でも気合の入るレースとなった。
しかしこの第5戦向けのBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)によるウェイトハンデも、相変わらず重く、車両重量はここまでと同じくFIA GT3の中で最重量級となる1350kgのまま。ただ、成績に応じて搭載されるウエイトハンデは、既に100kgに到達している車両が3台いる中、4号車は21kgと比較的軽い点にアドバンテージを見出すべく、土曜の公式練習に臨んだ。
午前9時15分のセッション開始時点でサーキット上空は快晴、気温22度、路面温度30度のコンディション。まずは片岡選手がステアリングを握ってコースインすると、セットアップの確認をしながらショートランを重ね、最後のタイヤセットで1分37秒967までタイムアップすると、21周を走破して谷口選手にバトンタッチする。
午前10時過ぎにトラックへ出ていった谷口選手だが、各部確認とフィーリングを確かめ、いざロングランへ……というタイミングで他車のコースオフにより赤旗中断に。セッション再開後は、混走10分間とクラス占有10分間の合計20分間を走行し、終了間際に1分38秒254の自己ベストを記録してピットに戻った。全体では片岡選手のタイムで18番手となった。
午後の予選は今回も組み分け方式が採用され、全29台のマシンがシリーズランキングに応じて振り分けらけた。今回4号車はB組での出走となり、チームは片岡選手にQ1ドライバーを託す。
午後14時のQ1A組セッション開始を前に雲が出始めたものの、気温、路温とも午前とほぼ変わらない範囲で推移していた。Q1A組が終了し、B組がコースオープンすると、片岡選手駆るグッドスマイル 初音ミク AMGはすぐさまコースインしてハイペースでタイヤへの熱入れを進める。最初のアタックラップは計測3周目、1分37秒887で5番手タイムを記録した。
そのまま連続アタックへと入った片岡選手は、続くラップで1分37秒760へとタイムを詰めるも、コントロールライン通過時点ではライバルのタイムアップによって8番手と、予選カットライン当落線上に。直後に18号車(UPGARAGE NSX GT3)、21号車(Hitotsuyama Audi R8 LMS)らに立て続けにタイム更新され、カットラインを下回ったままセッション終了が近づく。またもやQ1落ちか……と思われた次の瞬間、片岡選手は連続3周目となる渾身のアタックでさらにタイムを削り取り、1分37秒468を記録して再び8番手へと滑り込む。首位から0.459秒差、9番手に対しては僅か0.018秒のギャップで、Q1突破を果たす。
Q1を通過した16台がグリッドを争うQ2。臨む谷口選手は、序盤から積極的なドライブを披露し、計測3周目のアタックで1分37秒695をマーク。そのまま片岡選手同様に超高精度の3周連続アタックで、37秒227、37秒374と刻み、第2戦富士を上回る9番グリッドを手にした。
<Sun.>
■Race
日曜の富士スピードウェイは早朝に雨が落ちたものの、チームやファンがサーキットを訪れるころには曇り空に変わり、12時10分からのウォームアップは無事ドライコンディションでの走行となった。
決勝スタートドライバーを担当する片岡選手は、ウォームアップ走行中に左フロントタイヤパンクというトラブルに見舞われ緊急ピットインを余儀なくされる。これにより走行時間は短くなったものの、前日の予選後に行われたマシンのセット変更に手応えを得た様子。ソーシャルディスタンスを取りながらグランドスタンドの半分を埋める観客の前で、13時30分、気温21度、路面温度29度のコンディションのもとで、300km66周の決勝レースがスタートした。
フォーメーションラップを終え、シグナルグリーンを受けて1コーナーへとなだれ込んむGT500車両。その矢先、集団内で接触が起こり、1台のフロントカウル一式が吹き飛んで2コーナーのイン側コース上に落下するアクシデントが発生した。直後、同じようにGT300の集団がポジション争いを繰り広げながら1コーナーに飛び込んでくると、片岡選手は障害物の真正面に飛び出してしまい、レコードラインに入れず間一髪でイン側のラインを選択して落下物との接触を免れた。
この影響でいつものようなスタート直後のポジションアップができなかった片岡選手だが、飛散したパーツ除去のために導入されたセーフティカー先導走行が明けると、仕切り直しのリスタートから間合いを詰め、6周目には目前にいた2号車(シンティアム・アップル・ロータス)をパスして8番手へと浮上する。その後も1分39秒台中盤の力強いペースで前を追い、9周目には96号車(K-tunes RC F GT3)もオーバーテイクし、同じ2020年型Mercedes-AMG GT3ながらブリヂストンタイヤを装着する65号車(LEON PYRAMID AMG)を追う展開となる。
65号車に対してペースは劣らないものの4~5秒程度のギャップで追走する状況が続く。18周目に自己ベストの1分39秒228を記録しつつコンスタントに39秒台で周回を重ね、24周を終えたタイミングでピットイン。谷口選手に後を託す。
前半より10周程度長いスティントを担当する形となった谷口選手は、タイヤ4本を交換してコースに戻る。アウトラップで一時は16番手まで順位を落とすも、すぐに周囲のルーティンピットやペナルティの影響で14番手までポジションを戻し、逆襲を開始する。
30周を過ぎた頃から10番手を争う集団バトルに加わると、41周目に5号車(マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号)の前へ、44周目には25号車(HOPPY Porsche)もパスして、12番手までポジションを上げる。
前が開けければ38秒台にも突入する勢いで周回を重ねていく谷口選手は、先行する9号車(PACIFIC NAC D’station Vantage GT3)の緊急ピットで11番手へ上がると、48周目に7号車(Studie BMW M6)も捉え、ついにトップ10へと返り咲く。
ポイント圏内復帰でさらにスパートを掛けた谷口選手は、50周目に1分38秒992を記録すると、前を行くライバルの脱落で9番手へ。55周目には100kgのウェイトハンデを積んでいるとは思えない快走を続けていた11号車(GAINER TANAX GT-R)を3周にわたるバトルの末に抜き去り、8番手へと進出する。
これで目の前がクリアとなった谷口選手はさらにタイムアップし、1分38秒745の決勝自己ベストから、フィニッシュラインまでの4ラップをほぼ同タイム(38秒952、39秒001、38秒995)でまとめてチェッカーを受ける。2度のタイヤトラブルで辛酸を舐めた前回の富士戦を払拭する走りで、8位3点のシリーズポイントをもぎとった。
■チーム関係者コメント
安藝貴範代表
後半のペースも悪くなかったですし、さまざまなピースがはまっていれば表彰台に行けた可能性もあったなって思ってます。その分だけ、残念ですね。ただ新たに速さの方法論というのが見えてきたところもあるので、次に繋がる転機にはなったかなと。次の第6戦鈴鹿は前回同様にリストリクター制限が厳しく、スピードが抑えられる。ただ本来ならこの鈴鹿ではAMGの特性を活かした走りが出来るはずなので、AMGからも協力をもっと増やしてもらえるよう、そういう会話が今は出来ています。新型になってからの強さを4号車はあまり見せられていないで、そこは改善していけると考えてます。
片山右京監督
この週末はセッティングをいろいろと見直したら、いいモノが見つかった。レース終盤、フリーで走れるようになってからはずっとファステストタイムで走れていたのを見ると良い感触はある。ただストレートが遅いから、抜けなくて渋滞にハマってしまう……というのを考えると、レースの作戦を完璧にしなくてはいけない。最後は前を行く7位と8秒差を切るところまで詰められていたから、その前に何周もの間2秒、3秒とロスしてたことを考えれば、表彰台争いに絡めたかもしれないなと。次もライバルは重いウエイトを積んでいるので、データを見直してクルマも戦略もうまく組み合わせて、結果を出したいですね。
谷口信輝選手
僕がコースインした場所が悪かった。ちょっと硬めのタイヤだったこともあって温まりが悪く、他車に飲み込まれてしまった。直線がもともと遅いのでコーナーが続くセクター3で詰まったところに後続が来て、続く直線で抜かれて……という展開を繰り返すしかなかった。温まってからは、途中5号車を先頭にすごく渋滞していたけど、その渋滞が解消してからはなかなか良いペースで走れたと思う。単独走行なら割とトップに匹敵するペースで走れたんじゃないかな。それでも8位ですが、今回は前も追いかけられない……という感じではなかった。ある発見があって、次の鈴鹿に活かせる希望めいたものが出てきているのが救いですね
片岡龍也選手
決勝前のウォームアップ走行で、少しセットアップを変えていい感じになったんですけど、決勝前にさらに欲をかいたら結果的にはやりすぎちゃったかな。9番手からスタートして、自分が担当したファーストスティントはちょっとずつポジションを上げていけました。結果は8位ですが、次に向けてのヒントがあったのが良かったかなと。あとは本当に作戦面とかがバッチリ100点満点なら、もう1つか2つ上がる可能性はあったかもしれないですね。次は、その100点を狙って片手以内でフィニッシュしたいです。まだ我慢は続きそうですが、次も頑張ります。