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スーパーGT ニュース

投稿日: 2020.11.09 18:39
更新日: 2020.11.09 21:09

SC導入の理由と、上位勢のターニングポイント。ラスト2周でこぼれ落ちた“3点”/第7戦GT300決勝分析

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スーパーGT | SC導入の理由と、上位勢のターニングポイント。ラスト2周でこぼれ落ちた“3点”/第7戦GT300決勝分析

 だが、ピットイン直前となる19周回完了時点で、クラストップを走るSUBARU BRZ R&D SPORTから59秒1の遅れとなる15番手に位置していたLEON PYRAMID AMGは、ピットアウトするとラップダウンに陥っており、そこにSCが導入されたため万事休す。

「SCが出ると分かっていたら、ピットに入れてはいけなかった。でもそれは結果論ですから……」と黒澤治樹監督。

2020年スーパーGT第7戦もてぎ LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)
2020年スーパーGT第7戦もてぎ LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)

 ランキングトップとしてもっとも重いウエイトハンデ=77kgで挑んだ予選で下位に沈み、第1スティントでも順位を上げられなかったことが響いた形でもある。

 もてぎとの相性が良いとされるLEON PYRAMID AMGだが、過去に勝利を挙げたもてぎは「コース上では1台も抜いていない」(黒澤監督)という。予選後に蒲生尚弥も「いつもそうなんですが、単独で走れば速いんですけど、混戦になるとバトルにあまり強くないので、その辺が難しいところ」と決勝に向けた展望を語っていたが、後方スタートの今回はまさにその性格が露呈した形となり、得意の無交換作戦に至る前の段階で勝負権を失ってしまった。

 全車がピットを終えた段階で、SC後のピット作業となったグループのなかでのトップは、タイヤ無交換作戦を敢行した埼玉トヨペットGB GR Supra GT。ここもてぎで点差を詰め、開幕戦で勝利している富士につなげたいところだった。

 とはいえ予選では18番手に沈んでおり、「加速性能は良くないので、なかなか厳しいかなと。8〜10位あたりでポイント取れればいいな、くらいの感じでした」と近藤收功エンジニアは戦前の心境を振り返る。

 SC導入前の時点では、SUBARU BRZ R&D SPORTと同じく燃費と燃料タンク容量の面からウインドウが開いておらず、そもそもピットに入るという選択肢はなかった。

 SC明けの28周目にピットインすると、タイヤ無交換で川合孝汰から吉田広樹へとドライバーチェンジ。同時にピットに入ったGAINER TANAX GT-RやTANAX ITOCHU ENEX with IMPUL GT-Rらを逆転し、4番手へと躍進する。

 3番手にポジションを上げた終盤は、さすがに無交換ということでタイヤが厳しいかと思われたが、背後でSUBARU BRZ R&D SPORTとGAINER TANAX GT-Rのバトルが勃発して2台のペースが落ちたことに助けられた。その後は、スティント後半になっても好ペースを維持して追い上げてきたRUNUP RIVAUX GT-Rからチャージをかけられる立場となる。

 それでも単独で走ることができれば「3位は見えていた」と近藤エンジニア。だが残り2周となったところで周回遅れのマシンに行く手を阻まれ、RUNUP RIVAUX GT-Rの急接近を許してしまう。

「GT-Rの加速がよく、もうクルマというよりはエンジン性能が違いすぎて……」と無念の表彰台圏外へ。貴重な3ポイントがその手からこぼれ落ちてしまった陣営は、件の周回遅れのチームがレース後に謝罪に訪れた際も「感情的になってしまった」ほどに、悔しい失点となった。

2020年スーパーGT第7戦もてぎ 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)
2020年スーパーGT第7戦もてぎ 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)

 ドライバーズポイントランキングでは、今回優勝のリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが56ポイントでトップ。無得点に終わったLEON PYRAMID AMGは51ポイントの2位に後退し、接触によるペナルティを受けながらも9位2ポイントを獲得したGAINER TANAX GT-Rが43ポイントで3位につけている。

 そして埼玉トヨペットGB GR Supra GT、SUBARU BRZ R&D SPORT、ARTA NSX GT3(大湯都史樹)の3台が、トップから15点差の41ポイントで並んだ。数字上はグッドスマイル 初音ミク AMG(36ポイント)にも可能性は残るものの、実質上位6台がタイトルの権利を残していると言っていいだろう。

 ランキングトップのリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rは今季一度富士を制してはいるが、寒い時期のポテンシャルは未知数な部分もある。また、新たな“タマ”を最終戦に投入することを検討しているチームもあるようだ。GT500クラスほどの僅差とはなっていないものの、GT300ではよりダイナミックに勢力図が変動する可能性がある。最終戦では見どころの多いタイトル争いが展開されそうだ。


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