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スーパーGT ニュース

投稿日: 2021.11.04 18:52
更新日: 2021.11.12 16:30

【GT300マシンフォーカス】創意工夫とアイデアでいくらでも速くなる。“カスタマー”が走らせるトヨタGRスープラ

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スーパーGT | 【GT300マシンフォーカス】創意工夫とアイデアでいくらでも速くなる。“カスタマー”が走らせるトヨタGRスープラ

 そんなゼネラルマネージャーの意図を汲み、とにかく「トラブルがないように、その点も見ながらコンスタントに安定して走れるように、というのを重視してきた」と語るのは、244号車たかのこの湯 GR Supra GTのデータ解析を担当する河瀬エンジニアだ。

 これまでシリーズではTEAM DAISHINのFIA GT2規定ベースとなるZ33型ニッサン・フェアレディZや、86MC時代のTEAM UPGARAGEでも車両の管理を担当してきた経験豊富な同氏だが、その目に映るこのGRスープラは「思わぬところにトラブルが出たりすることがある」クルマだという。

「セットの方は武士さんが上手くまとめてくれてるので、そこを活かせるように。もったいない損をしないように、メカも肝になるようなところはしっかり見ています。例えば『通常、ここ大丈夫だよね』ってとこが緩んだりする。『ここがOKになると、次にここ』みたいな、絶えず全体に見なきゃいけない。なので、とにかく安定した性能が出せるようにするのが大変ですね」と河瀬エンジニア。

 先ほど触れたとおり、フロントエンジンGT車両の常として、大きなエンジンブロックやサージタンクを回避するようにスタビライザーやサードエレメントの取り回しを強いられることから、このGRスープラでも前側ではスタビライザーから伸びたリンク機構を介し、サードエレメントを機能させる方法が採られている。

「確かにこのクルマだとスタビライザーの取り付け方も少し独特なところがあって、そんなところも普通のクルマより少しマメに見てあげないと、っていうのはあります。あとリヤ側だとデフ単体はまだいいんですけど、レシオ(ギヤ)交換はミッション単体を全部降ろしてからでないとダメで、結構しんどいです(笑)」

 ミッション自体はMC同様にヒューランド製の汎用品を使用するも、レシオギヤはデフより前に配置される構成のため、サーキットでのセッションごとに「本当に細かく『風向きに応じてギヤを変えよう』という策は非現実的」だという。現在はその選択肢自体も生産年度によるものか、レシオギヤの在庫が「減らされている」傾向にあり「トルクのあるエンジンなので、どちらかというと引っ張って使うエンジンでないのも助かってる部分ではあります」と続ける河瀬エンジニア。

 2021年は第4戦(実質的なシリーズ3戦目)となったもてぎ戦以降、装着するヨコハマタイヤも格段の進歩を遂げた。その開発チームとして、土屋代表も「ヨコハマ側でもどんどん代謝が進んで、もう完全に新世代になってる。鈴鹿で勝ったときも初お目見えのコンパウンドで『当たった~』って感じでしたし、一緒にやらせてもらった成果が非常に……当たり前のことが、当たり前にやれるようになってきた」と、今季終盤のタイトル戦線に向け「あとは若いふたりがタイトル争いを経験して、思いっきり戦える場を作りたい」という状況までお膳立てが整った。

 そして迎えるは、最終戦後のオフシーズンから開幕前テストと本格的準備に取り掛かる猶予が与えられる2022年シーズン。土屋代表も「そりゃ来季に向けては盛り沢山やりたいですよ」と、空力面も含めたアイデアを温める一方、河瀬エンジニアも「当初から主要な外装部品がFRPやアルミでできているところもあって、その辺を改善してもったいないレースが出ないようにしたい」と、すでに具体策を描いている。

 自らの創意工夫とアイデアにより、大掛かりなコストを掛けずともGT300規定車両はいくらでも速く、強くなる。その真骨頂を活かし、今後もMax Racing×つちやエンジニアリング×RS中春の三位一体で、ファンが待ち望むお家芸を披露してくれるはずだ。

2021スーパーGT第6戦オートポリス たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)
トランスミッションはMC同様にヒューランド製の汎用品(6速/後退1速)を使用。しかし、MCと異なりレシオギヤはデフより前に配置されている。
2021スーパーGT第6戦オートポリス たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)
ワイヤーで支えられているフロントタイヤサイドの底面。
2021スーパーGT第6戦オートポリス たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)
たかのこの湯 GR Supra GTのリヤディフューザー
2021スーパーGT第6戦オートポリス たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)
タイヤサイズは330/710R18の4本通し。244号車はヨコハマタイヤを装着する。
2021スーパーGT第6戦オートポリス たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)
2021スーパーGT第6戦オートポリス たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)


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