横浜ゴム 2021スーパーGT第8戦富士 レースレポート
【SUPER GT 第8戦/富士スピードウェイ】
予選17番手から猛追のリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが5位でゴール、GT300クラスのランキング2位を獲得して一年を締めくくった!!
全8戦で競われるスーパーGTは、ついに最終戦を富士スピードウェイで迎えることとなった。全車ノーウエイトで競い合う戦いは、どこが勝ってもおかしくなく、これまでの7戦以上に激しい戦いとなることが予想されていた。また、ヨコハマタイヤユーザー2チームに権利が残された、GT300クラスのチャンピオンの行方やいかに?
前回のツインリンクもてぎもそうだったが、秋も深まってより冬に近づいている季節。最終戦の富士スピードウェイでも、とてつもなく寒さが厳しいというわけではなく。だが、それは体感の上での印象であって、路面温度は極めて低くなっていた。
実際、11月27日(土)の公式予選開始時の気温は10度、路面温度は13度。そんな状況下においても、GT300クラスのヨコハマタイヤユーザーはA組で5台、B組からは6台がQ1突破に成功、B組のトップにJLOC ランボルギーニ GT3の元嶋佑弥選手がつけ、さらにチャンピオン候補であるたかのこの湯 GR Supra GTの三宅淳詞選手が同組4番手に。その一方で、リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rの藤波清斗選手は同組9番手に留まり、Q2に控えるJ.P.デ・オリベイラ選手にバトンを託すことができなかった。
Q2でもヨコハマタイヤユーザーの最上位を、JLOC ランボルギーニ GT3の小暮卓史選手が4位で獲得。7番手にはグッドスマイル 初音ミク AMGの片岡龍也選手、8番手にHOPPY Porscheの松井孝允選手、そして10番手にはたかのこの湯 GR Supra GTの堤優威選手がつけて、それぞれ決勝での大暴れを期待させた。
そしてGT500クラスではWedsSport ADVAN GR Supraの国本雄資選手が、リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rの佐々木大樹選手が、そしてそれぞれQ1に臨み、ともにギリギリまで突破ライン上に。しかしながら、最後の最後に弾かれてしまい、それぞれ11番手と13番手でQ2進出は果たせずに終わった。
11月28日(日)の富士はまたも天気に恵まれ、しかもスタート直前の気温12度、路面温度23度は完全に想定の範囲内。躍進に期待がかかったのだが……。そんな想いに応えるかのように、WedsSport ADVAN GR Supraの国本選手は、スタート直後に9番手に浮上。しかも上位に遅れず続いていく。しかし、好事魔多し。4周目の最終コーナーで発生したアクシデントに、国本選手は巻き込まれてしまったのだ。なんとか走行を重ねることは許されたものの、ダメージを負ったマシンは、完全にバランスを崩してしまう。
一方、このアクシデントによってリアライズコーポレーション ADVAN GT-Rの佐々木選手は11番手に浮上。ライバルのほとんどが交代可能なミニマム周回でピットに戻る中、最後まで交代を伸ばしたことで一時トップにも立つ。しかし、この頃には路面温度が14度にまで下がっていたため、マージンは築けておらず、高星明誠選手が32周目にコースに戻ると、順位も元に戻っており、最終的に11位でゴールするに留まった。
そしてWedsSport ADVAN GR Supraは23周目に宮田莉朋選手と代わり、巻き返しが期待されたものの、ピットストップをさらに2度行う羽目となり、もはや万事休す。3周遅れでの13位という結果に終わった。
GT300クラスでは、予選同様JLOC ランボルギーニ GT3の元嶋選手が、スタートからヨコハマタイヤユーザーの最上位として周回を重ねていく。この状況は小暮選手に代わっても変わらないと思われたものの、25周目に片岡選手から谷口信輝選手に交代した、グッドスマイル 初音ミク AMGが素早いピットワークによって逆転する。
その後ろにはポイントリーダーのBRZ、さらに1台置いてリアライズ 日産自動車大学校 GT-RのJP選手が着けていたから、状況次第によっては逆転王座の援護も可能かと思われた。そんな中、ギリギリまでピットストップを伸ばし、トップを争っていたのがPACIFIC NAC CARGUY Ferrariのケイ・コッツォリーノ選手とHOPPY Porscheの松井選手。それぞれ43周目、44周目にようやく交代。PACIFIC NAC CARGUY Ferrariの木村武史選手は、その後ポジションを落としてしまったが、HOPPY Porscheの佐藤公哉選手は順位を落とすことなく踏み留まっていく。
一方、その44周目には小暮選手が谷口選手を再逆転。50周目にはトップの車両にトラブルが生じ、3番手に浮上して表彰台も見えてきたが、それから3周後には小暮選手にもトラブルが発生。これで谷口選手が3番手に浮上し、「BRZ」を引き続き挟んでJP選手が5番手に。まだまだ分からない、そう感じさせたのも束の間、背後から迫ってきたGT500クラスの車両との意思疎通がうまくいかず、ラスト2周でグッドスマイル 初音ミク AMGはBRZの先行を許し、あと一歩のところで表彰台を逃し、4位でのゴールとなった。
そしてリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rは5位から順位を上げることができず、連覇ならずランキング2位に。そして6位でゴールしたのはHOPPY Porscheで今季4度目の入賞。今まで苦手としていた富士で、ポルシェでのラストレースを飾ることに。そして7位がたかのこの湯 GR Supra GTで、シリーズランキング5位も獲得した。
■高星明誠選手[リアライズコーポレーション ADVAN GT-R]
【今回の成績:GT500クラス11位】
「去年、最終戦の富士で歯が立たなかったところに対して、今年はタイヤ、マシンをアジャストしてきたんですけど、その中で去年よりは改善してあって、ポテンシャルは上げられたんですけど、ただ相対的にまだまだ足りない部分がまた見えてきました。今年から来年へのステップを同じように幅を持っていけたら、本当に戦えるようなポテンシャルを持てると思うので、そうなるように来年、頑張っていきたいと思います」
■佐々木大樹選手[リアライズコーポレーション ADVAN GT-R]
【今回の成績:GT500クラス11位】
「今週末、寒くなるとまだ改善すべき点がまだたくさんある中、今回新しいタイヤであったり、自分たちのセッティングをアジャストして持ってきて、自分たちの中では、持っている中ではいい方向に持っていけたとは思います。ただ、やっぱり他社ももちろん進化しているわけで、そういう意味ではまだまだ追いつかなかったという部分で、悔しい気持ちもありますけど、改善して来年以降、そこに追いつけるようまた頑張りたいと思います」
■国本雄資選手[WedsSport ADVAN GR Supra]
【今回の成績:GT500クラス13位】
「今年はもてぎで2回、2位を獲れたことはすごく良かったし、ヨコハマタイヤとして狙っていたところで獲れたのは良かったけれど、他のサーキットではあまりいいパフォーマンスは出せませんでした。特に決勝には課題が残ったシーズンだったかな、と思っています。差をもっと埋めて、他メーカーと同じ感じで来シーズンは戦いたいです」
■宮田莉朋選手[WedsSport ADVAN GR Supra]
【今回の成績:GT500クラス13位】
「最終戦、1ピットで終わろうと思ったら、3度も入ることになってしまって……。狙ったところにまったく来ていなかったですし、悔しいレースウィークになってしまったんですけど、しっかり分析して、今後の糧にするしかないと思っています。今は悔やんでも仕方ないと思っています」
■片岡龍也選手[グッドスマイル 初音ミク AMG]
【今回の成績:GT300クラス4位】
「スタートしてからかなり、特に左フロントはケアしながら、ペース作っていったんですけど、ある程度落ち着いてきたところで、それなりにバランスも良くて。トップを走るBRZとの距離もずっと変わらなかったので、これは意外といいレースになるのかな、と感じて走っていました。ただ、後半ピットに入る前ぐらいから路面、気温とも下がり始めたら、若干タイヤのマッチングが、いわゆる表面が冷えてきちゃう傾向で、ちょっと苦しくなったんですけど、最終的にいろいろな脱落もあったことで、ポディウムのチャンスもあったんですけどね。また来季に向けて負けないように準備したいと思います」
■谷口信輝選手[グッドスマイル 初音ミク AMG]
【今回の成績:GT300クラス4位】
「なんとかあと2周抑え切れば3位だったんですけど、GT500とのコンタクトがうまくいかず、みすみす3位を逃してしまって、僕はすごく悔しくてしょうがないんです。後半を担当して走っていて、タイヤは気持ち良くパフォーマンス発揮してくれた感じじゃなかったんだけど、フィーリングはね。でも、タイム自体はトップグループと変わらないペースで行けていたようなので、そういう意味ではタイヤが踏ん張ってくれたんだと思います。フィーリングは落ちていたけど、タイム的には耐えてくれていたので、4位でした。ヨコハマとしては我々が最上位だったと思うんですけど、まだまだ上を目指して頑張らねばと思っています」
■J.P.デ・オリベイラ選手[リアライズ 日産自動車大学校 GT-R]
【今回の成績:GT300クラス5位】
「今日はいいレースをしました。クルマのセッティングはすごく良くて、レースのペースは最後までキープできたんですが。レースはショートで、もっと。もう10ラップぐらい欲しかったけど、それがレース。タイヤは大丈夫、何も問題なかった」
■松井孝允選手[HOPPY Porsche]
【今回の成績:GT300クラス6位】
「僕のペースが良かったので引っ張ったというか、クリアでずっと長く走っていても特にタイヤが落ちなかったというのが、やっぱ一番でした。ヨコハマさんが準備してくれたタイヤが、きちんと機能したので、そういった意味では僕らはベストを尽くせました。今まで富士では、正直20何番スタートっていうのが今までのところだったんですが、今回はシングルスタートのシングルゴールだったので、そういったところでは本当に進化を感じた最終戦でした。クルマが新しくなる来年、楽しみです」
■白石貴之[横浜ゴムMST開発部技術開発1グループリーダー]
「GT300クラスでリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが、予選でもかなり頑張ってくれたんですが、残念ながらQ1突破というところがかなわなかったので、そこは仕方のないところかなと思っていますが、タイヤとしてももう少しQ1のグリップをしっかり取れるようなものが、提供できなかったところでは我々の反省材料だと思っています」
「もともと後半追い上げるという想定をしていましたので、そういう部分では想定どおりですが、その一方でやはりGT-Rに関しての予選での速さというのは、引き続きの課題だなと思っています。あとは他社さんが思っていた以上に実力を上げていたというところもありますので、GT300クラス全体でも負けないように来年は、そこもきっちりやっていきたいと思っています」
「GT500クラスに関しては厳しい展開になってしまいましたね。特にWedsSport ADVAN GR Supraは接触があって、かなりパフォーマンスが、バランス自体が変わってしまったというところがあって、そこはタイヤとしての実力といいう部分が、どうだったかっていうのは現時点では測れていないんですが、それに関してはこの後、データ等をきっちり見ながら本来の働き、機能を発揮できていたらどうだったか、という部分はきっちり振り返りをしたいと思っています」
「リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rに関しては、ある程度は狙いどおりのところはありつつも、やっぱり他社さんに対してもう少しレースでのペースでまだ満たないところがあるので、そこのところの課題をシーズンオフに、またきっちりとやっていきたいと思います。交換を伸ばせたことで見えてきたこともあったので、そこは良かったかなと思っています」
「昨年よりもGT500クラスに関しては、トータルでの成績アップができましたし、ある程度目標としていたターゲットをきっちり決めて、そこを出していくという部分では、ある程度の構造、コンパウンドともにきっちり狙い、目標としていた部分は取れたと思っています。来年は1回でも1位を確保できるように、またしっかり課題に対しての取り組みをやっていきたいと思います。
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