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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.05.01 13:29
更新日: 2022.05.01 13:37

HOPPY team TSUCHIYA 2022スーパーGT第1戦岡山 レースレポート

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スーパーGT | HOPPY team TSUCHIYA 2022スーパーGT第1戦岡山 レースレポート

HOPPY team TSUCHIYA
レース結果報告書
2022 SUPER GT Rd.1
岡山国際サーキット

■日時 2022年4月16〜17日
■車両名 HOPPY Schatz GR Supra
■場所 岡山国際サーキット
■ゼッケン 25
■監督 土屋武士
■ドライバー 松井孝允/野中誠太
■チーム HOPPY team TSUCHIYA
■リザルト 予選DNS/決勝22位

はじめまして! ホピ子(2)と申します
コツコツ、いろいろ進化中です!

 4月16、17日、岡山国際サーキットにおいて2022年スーパーGTシリーズが開幕。ニューマシンNo.25 HOPPY Schatz GR Supraのデビュー戦となったHOPPY team TSUCHIYAには、新たに野中誠太選手が加入。松井孝允選手とともにシーズン初戦に臨んだ。

 朝の公式練習時にドライブシャフトが折れるトラブルが発生。午後からのノックアウト予選に交換部品が間に合わず、出走を見送ることになった。翌日の決勝はグリッド最後列からスタートを切り、松井選手から野中選手へとバトンを繋いでチェッカー! 今後の戦いに向けて、新たな一歩を踏み出している。

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 はじめまして! 今シーズンからHOPPY team TSUCHIYAのみなさんと一緒にスーパーGTを戦うことになったホピ子です。去年までがんばってレースをしていたホピ輔くんに代わり、チームに迎え入れてもらいました。以前、チームには先輩のホピ子さんがいたから、2代目になるワタシのことを、みんなは”ホピ子2”って呼んでるみたい。早くホピ子さんを越えられるような存在になりたいなぁって思ってるけど、はてさて、どうなることやら。

 というのも、このオフシーズンの間にエンジニアの木野竜之介さんやチーフメカニックの武藤良明さんやメカニックのみなさんがガンバっていっぱい作業をしてくれてたけれど、まだまだ時間が必要みたいで……。とはいえレースは待ってくれないので、なんだかんだ言いつつ“レーシングカー”にしてもらって、公式テストにもちょこっとだけ参加してどうにかこうにか開幕戦の岡山へとやってまいりました!

 今年は急に暖かくなったこともあり、サーキット周辺の桜も終わっていたけれど、代わりに山桜があちこちで満開! ちょうどワタシのカラーリングにも使われているピンクと似ていて嬉しかったな(笑)──とまぁ、サーキットに来るまではこれから始まるシーズンにワクワクしてたのですが、まさかこのあとトラブルに見舞われるとは……。

 レースウィーク初日、土曜日はまず公式練習から始まります。戦うサーキットの特性や気候に合わせて持ち込んだクルマの状態を見るためには大事なセッションです。時間は全部で1時間45分。うち、ワタシが参戦するGT300クラスは全部で1時間35分を走ることができるのですが、そのうち1時間25分はGT500クラスとの混走になります。気温13度、路面温度18度の中、最初に松井孝允くんがコースインして、状態をチェック。

 ほぼ1時間を使って走る中、4回ピットインしてセッティングやレースで使うタイヤのチェックをしました。そして、今年からチームメンバーとなった野中誠太くんに交代する直前、アタックシミュレーションでのタイムは、1分27秒136でした。誠太くんはGT500クラスとの混走とGT300クラスだけの時間帯に出走。セッション中には1分27秒501の自己ベストタイムをマークしました。

 この公式練習で午後からのノックアウト予選に向けてさらに準備していこう! と思っていたのに、最後に孝允くんがドライブ中、ドライブシャフトが破損したんです。「ようやく“普通のクルマ”になってきた、ってところだったのに、ヘアピン立ち上がりで折れました」と孝允くん。一方で、土屋武士監督は「折れた理由はわかってる」とあっけらかん。

「本来は、どのクルマにも装着している欧州製の信頼性あるパーツを使うんですが、ここは「オーナーの私のわがままで、ご縁でつながった方にお願いして作ってもらったワンオフのパーツを使っているんです」と武士監督。

 木野さんはその信頼性高いドラシャを使うつもりだったのに、武士監督が「コストもかかるし、なるべく国産にしたい」って。レース仲間に紹介してもらった町工場で製造したもので、今回は強度不足の可能性があるかも……ってスペアを持参する予定だったのにその手配を忘れてしまったんだそう。いわゆるアキレス腱の部分だから、次の富士戦までには対策してくれるでしょう。で、急きょパーツがある大阪まで取りに行くことになりました。

 そんなわけで交換部品がサーキットになく、午後からのノックアウト予選は残念ながら出走できずじまい。どんなアタックができるか孝允くんは楽しみにしていたらしいけど、ホンネとしては、「Q1は通らなかっただろう」って。今はそういう次元にはないってことらしいです。「ここで焦ってもしょうがない。今はトラブルが出ているほうが安心。出だしでつまづいたけど、勝てるクルマになるなと思ったので、安心している」そう。ホピ子としては、プレッシャーを感じつつ、褒めてもらえたようでうれしかったです。

 実のところ、ホピ子に装着されているパーツ類は、ドラシャに限らずほとんどが“ワンオフ”なんです。GT300には、同じ“GR Supra”って名前がついたクルマが参戦しているけれど、ワタシと同じなのはフレームくらいじゃないでしょうか。つちやエンジニアリングのモットーは「作れるものは自分たちで作る」。できるだけコストをかけないことも大事にしているのです。

 なので、ホピ子は手作り感満載の仕上がりというわけ。正直、欧州製のブランドものを使ってほしいなぁと思わなくもないけど、ガレージでみんながいろいろ話しながら、作り上げているということは、お洋服でいうところの“オートクチュール”なわけで。信頼性高い“プレタポルテ”もいいけれど(ちょっと表現がオーバーかなぁ)、この先、だんだんと『つちや』ブランドの良さがレースで生かされるといいなぁって思います。

 ということで、予選アタックを見送ることになった開幕戦。新しいクルマを投入することの大変さをよーく知っている孝允くんは、冷静そのものでしたが、一方でスーパーGTデビュー戦の誠太くんにとってどんな一日だったのか、気になりました。ホピ子をドライブした感じは「フォーミュラカーと似ている部分もあった」そうです。「重さはありますが、ダウンフォースの部分ですごく共通している部分があるので、自分の本来のドライビングスタイルをそこまで変えなくても今のところ乗れています。ただ、タイヤの使い方、ロングになったときに自分のドライビングスタイルとの相性が見えてくるので、決勝を走ればいろいろ課題が出てくると思います」とのことでした。

2022スーパーGT第1戦岡山 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太)
2022スーパーGT第1戦岡山 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/野中誠太)

 迎えた決勝日も、前日の予選と同じくよく晴れたいい天気になりました。ただ、朝は気温がぐっと下がり風も冷たくて、スタンドで観戦していたファンの皆さんはちょっと寒かったのではないでしょうか。そうそう、今シーズンからピットウォークが復活しました。まだドライバーと一緒に写真を撮ったり、握手するまでには至りませんが。これからはどんどんピットウォークで、ホピ子に会いに来てくださいね!

 無事にドライブシャフトも交換され、再び決勝前のウォームアップ走行で出走できたワタシ。ついに、初レースが始まります! スタートドライバーは孝允くん。GT300クラス26位から走りはじめ、状況が落ち着いてくる中では1分30秒真ん中あたりから31秒前半のタイムで周回を重ねることができました。土曜朝の公式練習よりも気温がぐっと上がって23度になり、路面温度は33度に! なかなかタフなコンディションでしたが、タイヤを労りながら33周を走り終えてピットに戻ると、手際よく誠太くんへと交代。

「もともとSupraはドライバー交代がしづらいので、しっかり練習時間をとりたいとチームには話していました」と誠太くん。サーキットへの搬入日にはチームの協力を得ながら孝允くんとともにしっかり練習していたので、本番は安心してできたそうです。レースはコースを走ることだけでなく、こういうピットでの作業ひとつひとつも迅速に済ませることが大事ですからね。

 コース上の誠太くんは、これまで彼が参戦してきたスーパー耐久レースでの経験が活かされたそうです。GT500とGT300とでは車速が異なるだけに、時には走行ラインを譲ることも必要。自分の走りはもちろん、その他のことにもたくさん注意を払わなくてはなりません。同時にたくさんのミッションをこなすという大変なお仕事ですが、誠太くんはまずワタシがどんな動きをするのか確かめると、次はバックミラーを見ながら、後方から迫ってくるGT500の動きにも注意して周回を重ねていきました。

 担当中に2度にわたるFCY(フルコースイエロー)の導入で、スピードコントロールや追い越しをしないように気を配りながら走りつつ、FCYが解除されると後続車に先行されないようにとしっかりディフェンス。無事にクラス22位でチェッカーを受けました。

 岡山での戦いを迎えるまで、ほんとうにいろんなことがありました。一からのスタートというよりは、ゼロからのスタートだったようにも思います。その中でチームのみんなが力を合わせてがんばってきたし、多くの人にも協力して助けてもらい、シーズン初戦のスタートラインに立てた上に、ちゃんと完走してチェッカーを受けることができて良かったです。たぶん、空の上からつちやエンジニアリングの創業者、土屋春雄さんが見守ってくれていたんだろうなぁって思います。武士監督もそんなふうに言ってたから、きっとそうでしょう。

 レースを終えて、というよりもレースを迎える段階から、これからやっていかなきゃいけないことがもうたくさんリストに上がっています。次の第2戦富士は、450kmと今回の1.5倍!高速サーキットでの戦いは岡山以上にハードワークになるかと。でも、チームのみんなはワクワクしながら仕事をすることでしょう。やっただけわかることがあるし、やらなければ速くも強くもならないのがレースですから。富士ではどんなレースが待っているのやら。みなさんも楽しみにしていてください!

2022スーパーGT第1戦岡山 HOPPY Schatz GR SupraとHOPPY team TSUCHIYAのメンバーたち
2022スーパーGT第1戦岡山 HOPPY Schatz GR SupraとHOPPY team TSUCHIYAのメンバーたち

■レースを終えて
松井孝允選手のコメント

「初戦なので、クルマの状態、タイヤのパフォーマンスも見たかったので、まずはクルマを労りながら走りましたが、それなりにプッシュして走りもしました。状況をしっかりと見ることができたし、ポジティブな内容も見つかりました。今後、進めなきゃいけない方向性がわかった戦いでした。まぁやらなきゃいけないことへのハードルは高いですが……」

「クルマの設計はデザイナーの木野さんがしっかりとやってくれているので、僕としてはクルマがもう少し曲がる方向にしたい。決勝でそれがわかったので、車両のセットアップ側でやりたいと思います。富士では、装着するタイヤの強みを活かせるかもしれません。もちろん上位には行きたいですが、クルマとしても厳しいところはなんとなくわかるので、そこであえて無理をすることはないと思います。ただ戦いなので、攻められるところは攻めてレースをしたいですね。岡山ではポジティブな面が見えた反面、コース上で他車を抜けないクルマなので方向性としては、決勝に強いクルマを作っていかないとと思いました。優勝、そして来年以降にチャンピオンを獲ることを意識すれば、予選も決勝も強いクルマにしていかないと。初戦ではそういうことがわかりました」

野中誠太選手のコメント

「(ホピ子で)あれだけのロングランを走ることが初めてだったので、ドライバー交代からかなり緊張していました。順調にできましたが、新品タイヤでの1周目のペースの上げ方には不安もありました。でも大きなミスもなく、割と落ち着いて走ることができました。無線でも監督からいろいろ状況を入れていただいたので、その辺でも安心してレースをすることができました」

「スーパー耐久で抜きつ抜かれつの経験が活かされていると感じたのですが、ドライバーがみなプロフェッショナルなので、早い段階で慣れることができたし、周回を重ねていくごとに周りの状況を把握することもできました。だんだんクルマへの理解度も高まり、いろいろ得られるものも多かったです。1レースを終えて、課題はもりだくさんです。クルマだけでなく僕自身としては、まだ単純にスピードが足りていないし、ロングでのタイヤの使い方、新品タイヤでのタイムの引き出し方など、わかっていない部分があります。今回、予選は走れませんでしたが、富士では予選でのスピードを重視してがんばりたいと思っています」

土屋武士監督のコメント

「まずこの開幕戦にみんなで作ったレーシングカーでグリッドにつけたことは、多くの皆さまのご支援とご声援があったからこそと感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。父・春雄がいないつちやエンジニアリングで、レーシングカーを作れるということを証明できましたし、それをやってくれたうちの仲間を誇りに思います」

「ただ、作っただけではいい思い出にしかなりません。我々はプライベーターとして、技術で勝負して生き残っていかなくてはなりません。その為には優勝をしてこそ、はじめて次のステージに進めるのだと思いますし、やり遂げなければ消えていく運命です。ですので、これからが本当の戦いです。皆さまのご期待に応える為にも、制作にご協力いただいた仲間の想いの為にも、そしてプライベーターの魂の灯を消さない為にも、覚悟を持って戦っていきますので、是非、皆さまのご支援、ご声援をよろしくお願い致します」

石渡美奈チームオーナーのコメント

「やったね、つちやエンジニアリング! 2代目ホピ子の誕生は、多くの方の夢を叶え、そしてさらに夢を膨らませてくれました。先代同様に2代目ホピ子は魂を宿し、そこに存在するだけでホピ子を想う人々に幸せを与え得る、単なる物体を超えたみずみずしい有機的な存在であると感じてなりません。皆様の想いと共に走り、進化し続けます。2022シーズンもどうかご声援、ご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます」

2022スーパーGT第1戦岡山 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/土屋武士監督/野中誠太)
2022スーパーGT第1戦岡山 HOPPY Schatz GR Supra(松井孝允/土屋武士監督/野中誠太)


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