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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.05.12 10:15
更新日: 2022.05.13 16:58

apr GR SPORT PRIUS GT 2022スーパーGT第2戦富士 レースレポート

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スーパーGT | apr GR SPORT PRIUS GT 2022スーパーGT第2戦富士 レースレポート

2022 AUTOBACS SUPER GT Round 2 FUJI GT 450km RACE
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
5月3日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:29,000人
5月4日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:44,000人

波乱の展開と、釈然としない結果。
それでも前を向いて一歩一歩前進する

 岡山国際サーキットで幕を開けたスーパーGTは、早くも3週間余りで第2戦を富士スピードウェイで迎えることとなった。ゴールデンウィークのレースは、もう風物詩としても定着した感があるが、今年から500kmレースではなく450kmレースに改められて、「FAV HOTEL FUJI GT 450km RACE」として開催されることとなった。

 今年もaprは2台体制で挑み「apr GR SPORT PRIUS GT」を託すのは、コンビ結成4年目の嵯峨宏紀選手と中山友貴選手。そしてタイヤは引き続き信頼と実績のブリヂストンを使用する。今年のGT300クラスは、総じてJAF GT車両に対して昨年以上のBoPが課され、苦戦は覚悟の上だったが、こと開幕戦では想像以上でもあった。

 予選はQ1突破を許されず、決勝では22番手からスタートを切るも、オーバーテイクはまったく許されない状態が続いた。それでも粘り強く走り続け、なおかつ終盤に相次いだアクシデントによって19位でゴール。完走は果たして、現状でのデータを積み重ねることはできた。だが、嘆いてばかりもいられない。機が熟すのを待つのではなく、あの手、この手を尽くし、こちらから飛び込み・前進していくのがaprのモットーなのだから。

公式練習 5月3日(火・祝)9:00〜10:35

 過去2年間、新型コロナウイルスの感染拡大によって、せっかくのゴールデンウィークであるにもかかわらず、2020年は開催されず、2021年も入場規制を行って限られた観客だけが入れるという、寂しい状況になっていたが、今年も配慮は続く上で、3年ぶりに行動規制が解除されたことで、かつての雰囲気を取り戻した感は十分にあった。

 初日の早朝からグランドスタンドがびっしり埋まっていたのが、その何よりもの証明でもあった。これにはドライバーの意気も高まったに違いない。しかし、前回より車両重量は軽くなったとはいえ、リストリクター径がそのままとあって、長いストレートを備える富士スピードウェイだからこそ、より苦戦は免れそうもなかった。だからこそ公式練習は慎重に。今回は中山選手主体で、セットアップが進められていくこととなった。

 序盤のうちに1分37秒844を記録していた中山選手であったが、その後のセット変更でなかなか正解が見つからない。ピットストップを繰り返して、さまざまなメイク&トライを重ねても、厳しい状況が改善されることなく刻々と時間は経過していき、嵯峨選手が走れたのは最後の専有走行1周のみだった。

 続いて行われたFCY(フルコースイエロー)訓練で、引き続き走行が許された嵯峨選手ではあったが、十分マイレージを稼ぐことが出来ず、続く予選に一抹の不安を残した。

公式予選Q1 5月3日(火・祝)14:00〜14:10

今回も2組に分けられて行われる予選Q1に「apr GR SPORT PRIUS GT」はA組での走行。このセッションは中山選手が担当した。

 予選開始時の気温16度、路面温度23度というコンディションは、公式練習で中山選手が自己ベストを記録したタイミングとほぼ一緒。その意味では条件は整っていたことになる。公式練習の後にもセット変更を行っていたことが功を奏し、中山選手は計測3周目からのアタックで、ほぼ1秒のタイムアップとなる、1分36秒889をマークする。

 しかし、Q2進出のボーダーラインには一歩足らず。もう1周アタックに向かい、渾身の力を込めるも、逆に1分37秒055でタイムダウン。

 たかがコンマ5秒、されどコンマ5秒……が及ばず、12番手に留まり、Q2進出は果たせなかった。

2022スーパーGT第2戦富士 apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)
2022スーパーGT第2戦富士 apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)

嵯峨宏紀選手
「Q2を走れませんでしたし、公式練習は1周だけ、その後のFCY訓練も実質1周だけ。今回は中山選手に頑張ってもらいましたが、状況としてパフォーマンスは厳しいですね。予想はしていましたが、想定内すぎた結果に残念としか言えない。タイムだけ見ると、いかんともし難い差はあるなという感じではありますが、長いレースなので作戦をうまく作って、少しでも順位を上げます」

中山友貴選手
「公式練習で、結果的に自分がいろいろ試すこととなったんですが、決定的なパフォーマンスアップが無く、今もなお厳しい状況です。
予選に向けて、また車を大きく変えてトライしてみたら、それまでのタイムから詰めることはできましたが、自分のフィーリングと加速性能が足りていない全体のパッケージの問題を、チームと一緒に少しでも改善できるように、もっと頑張っていきたいと思います」

金曽裕人監督
「富士のストレートはこんなに長かったっけ、とぼやいていても何も始まらない。重さとコーナーリングのバランスが特殊な車両なので、コーナーリングで稼ぐのは限度がある。そのため、パフォーマンスアップには我々のストロングポイントをもっと探すしかないですね。明日は、その得意ポイントの戦略でミラクルを狙い、チーム全員で入賞を目指します」

決勝レース(100周) 5月4日(水・祝)14:30〜

 決勝は好天に恵まれた。グランドスタンドには前日よりも多く観客が入っており、まさに大盛況という印象。改めて人気の高さを感じさせた。

 20分のウォームアップもまた「apr GR SPORT PRIUS GT」は、中山選手で走行を開始し、まずは決勝に向けたタイヤのスクラブが行われる。その後、連続周回をこなして1分39秒066を記した後に、嵯峨選手と交代。ここでは3周連続して走り、1分39秒593を記録していた。今回の決勝は、前述のとおり450kmで競われる。義務づけられているのは、給油を伴うピットストップ2回だけとあって、ショートスティントや連続スティントも可能で、またタイヤ交換に関する制約はない。ということは作戦の幅も広がるということ。ジャンプアップの鍵はそのあたりにありそうだ。

 スタート担当は中山選手。オープニングラップのうちに義務づけられた給油を早くも行ったチームがあったことから、ひとつポジションを上げることとなり、まずはチームメイトの「apr GR86 GT」とランデブー状態でのレース開始となった。しかし、「apr GR SPORT PRIUS GT」も5周目にはピットイン。ここで給油だけを行い、中山選手のままコースに送り戻す。この間に最下位にまで落ちたが、前後に同じクラスの車両はいなかったことから、アンダーカットによってマイペースでの走行が可能となった。いずれライバルがピットに入るたび、ポジションは上がっていくという目論みだ。

 しかし、38周目のヘアピンでクラッシュがあり、ドライバーの無事は確認された一方で、ヒットしたガードレールの損傷が著しい。即座に出されたFCYは、すぐにセーフティカー(SC)の先導に改められたものの、修復に時間を要するとの判断で、スタートから1時間25分経過した45周目に、赤旗が出されることとなった。

 この時の中断は約30分。セーフティーカーの先導が2周行われた後にレースは再開された。その間に「apr GR SPORT PRIUS GT」は、中山選手のまま2回目の給油を行い、次の嵯峨選手との交代時のPIT作業短縮作戦にでた。レースもちょうど折り返しを過ぎ、このまま作戦がハマれば上位進出も十分可能だと思われたのだが……。

 それから6周後、ピットイン予定の「apr GR SPORT PRIUS GT」のスリップを使い、GT500のトップ争いを展開する3台が抜き去っていく。直後、偶然スローダウンしていたGT300車両を1台がかわしきれずコントロールを失って、スタンド側のガードレールに激しくヒットし、即座に赤旗が提示。この赤旗と重なり、ピット作業を終えた「apr GR SPORT PRIUS GT」はピットロード出口が閉鎖されたことによってコースに戻ることは出来ず。嵯峨選手に変わったばかりのマシンは、ピットロードエンドに留め置かれることに……。破損したガードレールの修復には予想以上の時間を要すことに。幸いクラッシュしたドライバーが大事に至らず、骨折もしていないことがアナウンスされて、場内から安堵の様子が伝わった。

 スタートから3時間15分経過した、17時52分に修復作業は完了。間もなく「18時5分に再スタート5分前」との発表が。しかし、最大延長時間は18時20分とあって、どうあれ残り10分のスプリントとなるのは必至。

 結果的に、コースに出られない状況から2LAPをロスし、その後の10分はSC先導のままチェッカーが振られ、何の手も足も出せぬまま「apr GR SPORT PRIUS GT」は22位でレースを終えることとなった。

 義務づけられた2回の給油と1回のドライバーチェンジを行ったのは「apr GR SPORT PRIUS GT」を含む7チームだったが、再開前に「給油義務回数もドライバーチェンジの義務もなし」と突然発表された。理解しがたい内容……という思いは正直残っていた。

 次回のレースは5月28〜29日に、鈴鹿サーキットで開催され、今回同様450kmで争われる。今度こそフルディスタンスで、誰もが納得のいくレースになってくれることを望むばかりだ。

2022スーパーGT第2戦富士 apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)
2022スーパーGT第2戦富士 apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)

嵯峨宏紀選手
「何も話せることはないですね。僕が乗車したのはSC先導の3周だけですから。規則のPIT義務を果たせていないチームがかなりあるなかで、どうしてこれでレースが成立となってしまうのでしょう、? 今回はレース結果よりも、あれだけ大きなアクシデントが起きてもクラッシュしたドライバーが大事に至らずに良かったと思います。次に進みます!!」

中山友貴選手
「クルマはあんまり改善できてなかったですね。今回のレース展開を語る以前に、先ずはパフォーマンスアップしなきゃいけないので、しっかり分析していく必要がありそうです。違うトライをしながら同時に、元々コーナーリングパフォーマンスが低いパッケージが、今年のBOPになって更に顕著に出ているので、ここを改善をしていかないと。予選の一発もロングランにも、大きく影響している。まだ始まったばかり、両方をしっかり改善できるように大変ですけど、頑張ります」

金曽裕人監督
「先ずは、安全を徹底している富士スピードウェイと、迅速な対応で救助されたFROの皆様に心から感謝いたします。サーキットに来場された方の中に軽傷を負われた方、気分が悪くなってしまわれた方もいらっしゃったと伺いました。快癒を祈念しております」

「重大なアクシデントによって、ピット義務が実行できなかった状況も充分理解しておりますが、2ピット義務をしっかり果たしたチームが浮かばれない結果は、やはりスポーツマン精神からは釈然としない結果ですね。今後、このような状況の場合でもPROスポーツとして規則にしてほしいというのが、切な願いであります。我々は、それ以上に煮えきらないレースを見せてしまい、すみません。この先、もっと車のパフォーマンスを上げなきゃいけない。次の鈴鹿までに、ここ富士でプライベートテストを行う予定なので、今年のレギュレーションに合わせたパッケージを探し、少しでも速さを出したいと思っていますので引き続き応援の程、よろしくお願い致します」


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