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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.09.05 22:54

apr GR86 GT 2022スーパーGT第5戦鈴鹿 レースレポート

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スーパーGT | apr GR86 GT 2022スーパーGT第5戦鈴鹿 レースレポート

2022 AUTOBACS SUPER GT Round5 SUZUKA GT 450km RACE
開催地:鈴鹿サーキット(三重県)/5.807km
8月27日(予選)天候:曇りコースコンディション:ドライ観客数:9,000人
8月28日(決勝)天候:晴れコースコンディション:ドライ観客数:16,500人

予選のトラブルから急上昇!
apr GR86 GTが初めて表彰台に上がる!

 全8戦で争われるスーパーGTは、これよりシリーズ後半戦に突入。鈴鹿サーキットを舞台に、第5戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 450km RACE』が開催された。2台体制を採るaprは、1台をトヨタGR86に改め、『apr GR86 GT』として不動のコンビ、永井宏明選手と織戸学選手に託して参戦し、タイヤは信頼のヨコハマを使用する。

 なお、前回同様、450kmの長丁場とあって、今回も第3ドライバーとして全日本スーパーフォーミュラ・ライツに参戦中の平良響選手を登録している。シリーズ序盤戦こそ、「産みの苦しみ」を味わっていた『apr GR86 GT』だったが、絶えず加えてきた改良によってポテンシャルは徐々に向上。

 第3戦ではQ2で永井選手が4番手を獲得し、決勝でも8位入賞を遂げたのだ。しかし、引き続きの活躍が期待された前回の富士では、予選の攻めたセッティングが裏目に出てQ1を突破できず。それでも決勝では19番手から一時は12番手まで上がり、入賞まであと一歩と迫るが、予定外の給油をもう一度強いられたことで、15位に甘んじてしまった。しかし、ランキングトップがサクセスウエイトの上限、100kgにも達し、上位陣も重さに苦しむ中、わずか9kgであることは少なからぬ武器になるはず。何より舞台は、入賞を果たした第3戦と同じ鈴鹿。バックデータも豊富にあるため、再び大活躍の予感は十分にあった。

公式練習 8月27日(土)9時25分〜11時00分

 レースウィークに差し掛かって、緊急事態が発生した。永井選手が体調不良で出場がかなわなくなってしまったのだ。すでに平良選手を登録していたが、急きょ上村優太選手を第3ドライバーとして登録し、織戸選手が第1ドライバーを務めることに。

 ちなみに上村選手は、昨年の第2戦・富士でも30号車プリウスをドライブした経験を持ち、何よりスーパー耐久24Hでは永井選手と共にaprにて参戦もあり、寄せる信頼は極めて厚い。チームとしても、実力を疑う部分は少しもない。とはいえ、上村選手にとっては事前のテストもなく、ぶっつけ本番となる。そこで公式練習は、いつものように織戸選手から走り始めるが、早々に交代して上村選手だけでなく、平良選手にもできるだけ多く周回してもらうこととなっていた。

 幸い、気温は30度、路面温度は34度と、この時期にしてはやや低めでは合ったものの、想定していたレンジ内であり、なおかつ持ち込みのセットが決まっていたこともあり、計測4周目には最速タイムとなる1分59秒289をマークしたことから、早い段階で決勝セットの仕上げ、そしてタイヤ選定に時間は割かれていく。30分経過した段階で、早くも平良選手に交代できるまでに。

 周回を重ねるごと、タイムを更新し続けて1分59秒562と、やがて織戸選手と遜色のないタイムを記してくる。走行開始からほぼ1時間経過したところからは、上村選手の担当に。当初は探り探りの走行だった上村選手ながら、やがて2分1秒台を連発するようになる。

 この後GT300クラス単独の時間帯には、2分0秒641を上村選手は記し、2分を切るのも時間の問題だと思われた。ところが、終了まであとわずかというところで、『apr GT86 GT』が立体交差の先でストップ!赤旗中断の原因となってしまう。原因はミッションケースが、それまでの走行で路面に打ちつけられたことから割れてしまったようだ。

 タイムとしては10番手につけていたが、この後のFCYテストを走れず、一抹の不安を残すこととなった。

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 apr GR86 GT(織戸学/平良響/上村優太)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 apr GR86 GT(織戸学/平良響/上村優太)

公式予選Q1 8月27日(土)15時20分〜15時30分

 当初の予定ではQ1を織戸選手が担当し、Q2を平良選手が担当する予定だった。しかし、そのとおりにはいかず……。メカニックの懸命な作業によって、ミッションは交換されて、何とか予選には間に合わせたものの、完全な状態にまでは至っていなかったからだ。

 気温は31度、路面温度は39度と、公式練習より若干上がっていたものの、マシンの状態もチェックしなければならない織戸選手は、あえて計測3周目からアタックを開始。まず1分59秒479をマークするも、その時点で9番手。

 あと少し……の思いは1分59秒445への短縮でかなうかと思われたものの、全体のタイムアップも著しく、Q1突破のボーダーラインにはあとコンマ5秒及ばず、11番手に甘んじてしまった。

織戸学選手
「割れたミッションケースは交換してもらったのですが、デフとかレシオとかいろんなものが諸々変わってしまったので、朝のフィーリングが全くなくなっちゃったんですよ。だから、もっと全然行ける予定でしたが、ダメでした。公式練習では比較的いい流れで、3人でぐるぐる回して、いいイメージを持っていたんですが……。この鈴鹿は比較的30号車は強いし、レースは長いので、しっかり追い上げていきます」

平良響選手
「練習で走った印象ではロングのペースもいいと思いますし、明日は路面のコンディションも変わるでしょうけど、今日の想定の路面温度で行くと、決勝は追い上げていけると信じています。頑張ります」

上村優太選手
「僕にとって2回目のスーパーGTになります。マシンに関しては、今日ちょっと初めて乗ったという状況で、まだまだ限界が分かっていないんですが、ミッションにトラブルが出たので、走行時間はあんまり取れずに終わりました。なので、明日のウォームアップで車の確認をして、決勝レースを頑張るという感じですね。ポイントを稼げるように頑張ります」

金曽裕人監督
「朝のフリー走行で、マシンバランスも出ており、調子は良かったのですが、コースオフにてミッションケースが割れてしまいました。急きょ交換しましたが、まったく同じスペアではなく、入っているものが違っていたので、予選では低迷してしまいました。残念です、本当はもっと行けるパフォーマンスがあったはずなので」

「第3戦の予選4位よりも、上の成績で終わらせようと思っていたんですが、走れない可能性もあっただけに、メカニックには感謝しています。今夜、壊れたミッションから同じ部品を取り出して、レシオなどを入れ直しますので、明日の追い上げにご期待ください!」

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 apr GR86 GT(織戸学/平良響/上村優太)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 apr GR86 GT(織戸学/平良響/上村優太)

決勝レース(77周) 8月28日(日)14時30分〜

 今回の決勝レースも、給油の義務づけが2回。21番手からのスタートとなる『apr GR86 GT』ながら長いレースだけに、作戦や展開次第では十分追い上げていくことが可能だと予想されていた。実際、直前に行われたウォームアップでは、計測2周目に織戸選手が2分1秒158を記録して10番手につけており、元の状態に近づいていたのは間違いない。

 なお、後半は上村選手が走行し、マイレージを積み重ねることもできていた。ここまでは曇り空の下での走行だったが、決勝のスタートが近づくにつれ、上空には青空も見えるようになって、ようやく夏の鈴鹿らしくなってきた。

 今回も三重県警によるパレードランが行われ、その後フォーメイションラップに切り替えられた。スタート担当は織戸選手。今回も早々と最初のピットストップを給油だけ行うチームがあり、そのつど順位を上げ、気がつけば5周目には15番手に。

 そして4台で11番手を争っていく。セオリーとしては、できるだけ経験豊富な織戸選手で引っ張りたいところだが、競い合うのはいずれもストレートの速いFIA-GT3とあって、容易に抜けないことは明らかだったことから、『apr GR86 GT』を16周目にはピットに戻し、上村選手に交代することとした。

『apr GR86 GT』を決勝で初めてドライブする上村選手だったが、予想をはるかに超えてコンスタントに周回を重ねていく。途中1台をオーバーテイクしていたほどだ。

 そして、14番手まで順位を上げた40周目からは平良選手の担当に。そのペースが凄まじく、ベストラップでは織戸選手を1秒以上も上回る。最後の給油を遅らせたチームがピットに戻ってくるたび順位を上げて、さらにコース上でもオーバーテイクに成功。

 気がつけば、いつの間にか6番手にまで上がっていたのだ。しかも、これにて終わらず、62周目には1台を、65周目にももう1台を抜き、また、その間には3番手を走行していた車両のリタイアもあって、なんと3番手に!その先はもう大差がついていたから、届かなかったとはいえ、実に16台抜きに成功。

『apr GR86 GT』にとって、初めての表彰台をものにした。次回のレースは3週間後の9月17〜18日にスポーツランドSUGOにて開催の第6戦となる。サクセスウエイトは42kgとなるが、きっとまた見る者をも魅了してくれるはずだ!

織戸学選手
「クルマはすっかり元に戻っていて、いい感じでした。しっかり挽回できました。ヨコハマタイヤもすごく良かった。だけど、まさかここまで来られるとは思わなかった。信じられない! 最後の平良選手の走りは素晴らしかった、最高です。すごく嬉しい! 地元・鈴鹿でいい成績残せて、永井選手にも最高の報告ができます!」

平良響選手
本当に良かった。すごく嬉しい!その一言に尽きますね。練習でミッションを壊してしまったのは僕なので、こうやって結果で取り返すことができて、本当に良かったです。最後は後ろも離れていたので、ペースをコントロールすることもできて、3位表彰台を獲ったという感じです。本当にありがとうございます!」

上村優太選手
「スーパーGT参戦2戦目で表彰台は、かなり嬉しいです。確実につなぐことを考えて、頑張って走りました。なかなかGTに乗れるチャンスがなかったので、こうやって表彰台に上がれて、本当に頑張ってきた甲斐がありました。何よりこういう機会を作ってくれた、永井選手とaprに感謝したいです」

金曽裕人監督
「やっぱり地元の後押しがあったという感じですね。あの順位から、ここまで上がれたのは、非常に素晴らしいと思います。こんなに上出来なレースができたのは、応援していただいた皆さんのおかげです。カローラ三重の社員皆様には、本当に感謝しています」

「もちろんドライバーや、最高のタイヤを用意してくれたヨコハマタイヤ、すべての関係者にも!こんなハッピーなことはないですが、GR86を一緒に作り上げてきた永井選手と共に今年中に、もう一度表彰台を狙いにいきます。GR86は市販車もレーシングカーも素晴らしくバランスの良いマシンなので、きっと可能だと思っています」

2022スーパーGT第5戦鈴鹿 織戸学/平良響/上村優太(apr GR86 GT)
2022スーパーGT第5戦鈴鹿 織戸学/平良響/上村優太(apr GR86 GT)


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