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スーパーGT ニュース

投稿日: 2022.09.28 20:12
更新日: 2022.09.28 20:17

apr GR SPORT PRIUS GT 2022スーパーGT第6戦SUGO レースレポート

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スーパーGT | apr GR SPORT PRIUS GT 2022スーパーGT第6戦SUGO レースレポート

2022 AUTOBACS SUPER GT Round6
SUGO GT300km RACE
開催地:スポーツランドSUGO(宮城県)/3.586km
9月17日(予選) 天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:8300人
9月18日(決勝) 天候:曇り一時雨 コースコンディション:ドライ~ウェット 観客数:1万7000人

天候変化に翻弄され、積極的な戦略も奏功せず。それでもしっかり完走果たす。

 全8戦で争われるスーパーGTは佳境に差し掛かり、舞台をスポーツランドSUGOにシリーズ第6戦SUGO GT 300km RACEが開催された。2台体制で挑むaprが、コンビ結成4年目の嵯峨宏紀選手と中山友貴選手に託すのは、お馴染みのTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV(ZVW52)apr GR SPORT PRIUS GT。タイヤは引き続き信頼と実績のブリヂストンを使用する。

 鈴鹿で行われた第5戦は、思いがけぬ苦境に陥っていた。予選こそ26番手だったが、あとは上がっていく一方、と思われた決勝を目前に控えたウォームアップで、駆動系にトラブルが発生。ピットスタートが許されたのも束の間、わずか1周でピットに戻らざるを得ず。ようやく戦列復帰なったのはスタートから40分ほど経過したところだった。完走を果たすだけのレースにはなってしまったが、その完走が今は何より重要。最後まで走り続けてチェッカーを受けることで、得られるものは少なくないからだ。

 ラスト3戦、諦めず突き進むのみ。今回はサクセスウエイトが積み重ねられる最後のレースで、ランキング上位陣はまさにヘビー級にもなっている。その状況において重さに苦しんでいないことから、なんとか光明を見出したいところである。なお、今回のレース距離は、再び300kmに戻された。

公式練習 9月17日(土)9:25~11:00

 シリーズも終盤戦に差し掛かり、暑さとの戦いだった中盤戦とは対照的に。東北のSUGOは早くも秋らしさを感じさせるようになり、穏やかなコンディションに恵まれた。まず気温は24度、路面温度は30度という状況から公式練習はスタートした。

今回、最初にapr GR SPORT PRIUS GTに乗り込んだのは嵯峨選手。いきなりロングがかけられ、約15分走行し続け、最初のピットストップでセットを改めた後に、まずはこの時点でのベストタイムとなる1分20秒615をマークする。このところ、嵯峨選手なり、中山選手なり、ドライバーのどちらかが長く周回を重ね、セットアップやタイヤ選定を行なっていたが、今回は30分ほど経過したところで、早くも中山選手にバトンタッチ。情報を共有し合いながら走ることとなっていた。

 1分20秒台をコンスタントにマークし、1回のピットストップを挟み、ほぼ1時間経過後にまた嵯峨選手がドライブ。雲で日差しが遮られたこと、重ねるメイク&トライが功を奏し、このタイミングでは1分20秒036を筆頭に、嵯峨選手によって好タイムが連発される。そしてGT300クラスの専有走行を含む、ラスト30分は再び中山選手が走行。やはりコンスタントにタイムを刻み続けていた。公式練習の順位は20番手ながら、決勝重視でセットアップが進められていったのは明らか。そこで、この後に行われたFCY練習もしっかり活用して、最後に速さも鍛えられることに。FCYが提示される間隙を縫って、嵯峨選手は1分20秒588を記すなど、まずまずの手応えを得ていた。

公式予選Q1 9月17日(土)14:30~14:40

 今回の予選Q1にapr GR SPORT PRIUS GTはA組で走行。最初のアタックを担当したのは嵯峨選手だ。気温は25度と、公式練習とほとんど変わらなかったものの、路面温度は36度に上昇。それでも1周が短いサーキットということもあって、アタックは計測3周目から開始される。まずは1分19秒211を、嵯峨選手はマーク。しかし、もうひと伸びが欲しいところ。だが、続いてのアタックは1分19秒370と逆にタイムダウン。諦めず攻め続ける嵯峨選手だったが、やはりタイムは伸びず。チェッカーが振られるまで周回を重ねたが、ラストアタックはレインボーコーナーでコースアウトがあり、万事休す。あとコンマ3秒及ばず10番手で、Q1突破は果たせなかった。

嵯峨宏紀選手

「流れを変えたいということで、今回は久々に自分が軸で、タイヤ選定とセットアップをやったんですが、あと少しのところでQ2に進むことはできませんでした。実際、流れは変えられたと思う反面、自分に足りなかった部分もありますが、ちょっとずつ良くなっているので、このレースを機に流れをもっと変えたい。自分自身でできることを最大限やりたいと思いますし、明日に向けても、しっかりといい状況を作っていきたいと思います」

中山友貴選手

「うまくベストをつないだら、Q1を通れそうだったのが後で分かったので、フィーリングとしては悪くないと思うのと、今回は持ち込みのセットに僕も意見を言わせてもらいました。クルマのセットアップという部分では、どれかいいところが一個あればいいわけではなく。トータルのバランスを取っていかないと車は速く走れないので、そういうところの再確認はできました。以前のプリウスの戦闘力に少しは戻った感覚がだいぶあるので、さらに引き上げていきたいところです。前のレースよりグリップや回頭性は上がっているので、頑張って追い上げたいと思います」

金曽裕人監督

ようやく方向性が見えてきましたが、今のレギュレーションの範囲内では、これが限界かもしれません。やっと車の方向性として、ドライバーを納得させられるようになりましたが、今がピークだとしたら、これ以上は難しいかも……。なので、作戦やレース展開で、前に行くことを考えます」

2022スーパーGT第6戦SUGO apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)
2022スーパーGT第6戦SUGO apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)

決勝レース(84周) 9月18日(日)14:00~

 早朝のSUGOは上空に晴れ間も見えたが、決勝レースが近づくにつれ、怪しい雲が浮かぶようになるウォームアップはそれでもドライコンディションが保たれ、嵯峨選手が2周走った後、中山選手に交代し、1分21秒653をマークしていた。その後、マシンがグリッドに並べられる頃、小雨が降り始める。急きょウエットタイヤを持ち込むも、この時はすぐやんで、事なきを得たかと思われた。今回もスタート担当は嵯峨選手。apr GR SPORT PRIUS GTは16番手からの発進となり、まずはポジションキープで1周目を終えるが、セーフティカーが3周目まで導入される。3コーナーでクラッシュした車両を回収するためだ。

 リスタート後のポジションアップは果たせなかったが、前から遅れをとることなく続き、まずは機を熟すのを待つこととなった。ところが、10週目を過ぎたあたりから、コースの一部で雨が降り始め、一気に路面を水浸しにしてしまう。そこでapr GR SPORT PRIUS GTは誰より早く、13周目にピットイン。ウエットタイヤへの交換を敢行する。この間、いったんは順位を落とすこととなるが、いち早く熱を加えられたタイヤはハイペースでの周回を可能とし、嵯峨選手は一気に8番手にまで浮上。しかし、その一方で無線が機能しなくなっており、ピットには情報が伝わらなくなっていた。

 タイヤの状況が把握できないまま、やむなく予定どおり、35周目に中山選手との交代を行うが、果たしてベストタイミングだったかどうか……。そのうえ、中山選手に代わって10周もしないうちに雨はやんで、路面は次第に乾いていく。中山選手の無線は機能しており、48周目にピットに呼び寄せ、ドライタイヤに改める。この判断は的確だった。やがてapr GR SPORT PRIUS GTは、入賞も可能なポジションまで上がってきたからだ。

 しかし、ゴールまで15周というあたりで、再び雨が降り始める。そこで最後の勝負に討って出て、69周目に再びウエットタイヤに交換するも、これは裏目に出てしまう。結果として、17位でのゴールに留まったからだ。しかし、何が何でも諦めない。少しでもチャンスがあるならば……という積極的な姿勢は感じ取ってもらえたはず。次回のレースは10月1~2日に、オートポリスで開催される。昨年、優勝を飾ったコースで逆襲を誓う。

2022スーパーGT第6戦SUGO apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)
2022スーパーGT第6戦SUGO apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)

嵯峨宏紀選手

「戦略的に、ことごとく裏目に出てしまったレースでした。自分のスティントのペースは、そんなに悪くなかったと思いますが、降ってきたらペースが良くなって、乾いてきたらペースが落ちてしまいました。目まぐるしくなった展開の中でミスはなかったですが、結果的に無線が不調だったみたいで、作戦がうまくいかなかった、そこに尽きると思います。千載一遇のチャンスだったので惜しいなと思いますけど、気を取り直して次、頑張ります」

中山友貴選手

「序盤の嵯峨選手のスティントで、無線がうまく噛み合っていなかったので、タイヤのインフォメーションが伝わらず、チームの判断だけになってしまったので、結果的に少し早まったチョイス、作戦をとったことで、チャンスを失ってしまったようです。まだまだ2戦あるので、頑張ります」

金曽裕人監督

「嵯峨選手のスティント途中から何を話しているのか全く聞き取れないほど、無線がおかしく、こちらからのインフォメーションしか入らない一方通行状態に。ウエットタイヤが厳しいという情報が最後に聞こえたコメントであり、ならば、早めにピットに入れようと。本当は予定どおりに、もっと引っ張りたかったのですが、入れざるを得ない状況になってしまいました。リスク回避のためにピットインしましたが、タラレバにはなりますが、あと10周引っ張っていたら、展開は大きく変わっていたでしょう。これもレースだね、と言ったらそのとおりですけれど、自ら落としてしまったのが残念でなりません。ウエットタイヤを最初に入れたタイミングは完璧でブリヂストンタイヤも最高にマッチしており、一気に8番手までジャンプアップし、優勝した2号車とランデブー走行であったのに…。その頃からです、無線がおかしくなったのは……。残り2戦、次のオートポリスは昨年優勝したサーキットでもあり、底力を見せたいと思います」

2022スーパーGT第6戦SUGO apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)
2022スーパーGT第6戦SUGO apr GR SPORT PRIUS GT(嵯峨宏紀/中山友貴)


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